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在留資格「永住者の配偶者等」に関する申請方法や就労可否の論点~就労制限のない身分系在留資格のメリットと取得要件の解説~

在留資格「永住者の配偶者等」に関する申請方法や就労可否の論点~就労制限のない身分系在留資格のメリットと取得要件の解説~

人事・労務
2025年12月2日

日本に永住許可を受けて在留している外国人の方(永住者)が、配偶者やお子様と共に日本で暮らすことを希望する場合、検討すべき在留資格が「永住者の配偶者等」です。この在留資格は、就労ビザなどの活動に基づく資格とは異なり、個人の身分関係に基づく「身分系在留資格」に分類されます。そのため、活動内容に制限が少なく、日本で生活基盤を築く上で非常に有利な条件が整っています。本記事では、これから申請を検討されている方に向けて、「永住者の配偶者等」の該当範囲、就労に関する規定、そして申請に際して重要となる実務上のポイントについて解説します。

この在留資格の対象となるのは、主に以下の身分関係にある方です。
 

(1) 永住者の配偶者

現に婚姻関係にあることが要件となります。 ここで重要となるのは、法律上の婚姻関係が必要であるという点です。事実婚や内縁関係のパートナーは、原則としてこの在留資格の対象とはなりません。また、相手方である永住者が死亡した場合や離婚した場合は、該当性(在留資格の根拠)を失うことになります。
 

(2) 永住者の子

以下の要件を満たすお子様が対象となります。

  • 永住者の子として日本で出生し、その後も継続して日本に在留していること。

※実務上の注意点(海外で出生した子の場合)

「永住者の配偶者等」における「子」の要件は、「日本で出生したこと」が前提となっています。永住者の子であっても、海外で出生し、日本に呼び寄せる場合は、在留資格「永住者の配偶者等」ではなく、「定住者」の在留資格に該当するケースが一般的です。この区分けは混同されやすいため、申請前に正確な判断が必要です。
 

「永住者の配偶者等」を取得する最大のメリットの一つは、就労活動に制限がないことです。
 

職種や時間の制限がない 

一般的な就労ビザ(「技術・人文知識・国際業務」など)では、許可された職務内容以外の仕事をすることは認められません。また、「家族滞在」や「留学」の場合は、資格外活動許可を得ても「週28時間以内」という制限があります。しかし、「永住者の配偶者等」にはこれらの制限がありません。 

  • 単純労働を含む幅広い職種での就労が可能です。 
  • フルタイム(正社員)、パートタイム、アルバイトなど、雇用形態を問いません。 
  • 自ら会社を設立して経営を行うことも可能です。 
  • もちろん、専業主婦(主夫)として就労しない選択も可能です。 

このように、日本人配偶者と同様に、日本社会において自由な経済活動が認められているのが大きな特徴です。

申請にあたっては、単に身分関係があることの証明だけでなく、日本での安定した生活が見込まれるかどうかが審査されます。
 

(1) 婚姻の実態(配偶者の場合) 

法律上の婚姻手続きが完了していることに加え、「同居し、互いに協力し扶助し合っている社会通念上の夫婦の実態」が求められます。 別居をしている場合や、交際経緯に不自然な点がある場合は、偽装結婚を疑われないよう、合理的な理由の説明や立証資料(スナップ写真、通信記録等)が重要視されます。
 

(2) 生計維持能力 

世帯として、日本で公共の負担にならずに生活できるだけの資産や収入があることが求められます。 申請人本人に収入がなくても、配偶者である永住者側に十分な扶養能力があれば問題ありません。ただし、近年は住民税や年金などの公的義務の履行状況(納税証明書等)が厳格に確認される傾向にあります。 

現在の状況に応じて、以下のいずれかの手続きを行います。
 

(1) 海外から呼び寄せる場合(在留資格認定証明書交付申請)

海外に住んでいる配偶者を日本に招へいする場合の手続きです。 日本の入管に対して「在留資格認定証明書」の交付申請を行い、許可された後に現地の日本公館で査証(ビザ)の発給を受け、来日するという流れになります。
 

(2) 他のビザから変更する場合(在留資格変更許可申請)

すでに「就労ビザ」や「留学」、「家族滞在」などで日本に在留している方が対象です。 例えば、就労ビザを持つ外国人が永住者と結婚した場合や、永住権を取得した方の配偶者が「家族滞在」から切り替える場合などが該当します。「家族滞在」から「永住者の配偶者等」への変更は、就労制限が解除されるため、変更のメリットが非常に大きい手続きと言えます。

「家族滞在」との違い 

永住者の配偶者であっても、要件を満たせば「家族滞在」のままでいることも可能です。しかし、「家族滞在」には就労制限(週28時間以内)があります。将来的にフルタイムで働く可能性がある場合や、より安定した在留資格を希望する場合は、「永住者の配偶者等」への変更が推奨されます。
 

離婚後の在留資格について 

万が一、永住者と離婚(または死別)した場合、「永住者の配偶者等」の更新は原則として認められなくなります。 引き続き日本への在留を希望する場合は、実子を監護養育する場合や、婚姻期間が一定期間(目安として3年以上など)継続していた場合などに、「定住者」への変更が認められる可能性があります。これらは個別の事情による判断が大きく影響するため、慎重な対応が必要です。 

在留資格「永住者の配偶者等」は、就労制限がなく、日本で安定した生活を送るために非常に強力な資格です。一方で、申請にあたっては、海外出生子の「定住者」該当性や、納税義務の履行状況など、専門的な知識に基づく判断が必要な場面も少なくありません。これから結婚される方、あるいは既に日本にお住まいで在留資格の変更を検討されている方は、ご自身の状況に合わせた適切な申請準備を行うことが、許可への近道となります。 

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