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代表司法書士 石川宗徳の 所長ブログ&コラム

誤って資本金の額を多く登記してしまったので修正したい

株式会社の募集株式の発行

株式会社が募集株式の発行を行い、新たに株式を発行することにより資本金を増やすことがあります。

このときに、増加させる資本金が間違ってしまった場合はどうすればいいでしょうか。

例えば、本来は増加する資本金の額が1000万円であるのにも関わらず、株主総会の決議や割当契約書、総数引受契約書等の書類につき増加する資本金の額を2000万円として作成してしまい、そのまま増加する資本金の額を2000万円として登記申請をしてしまったようなケースです。

このような場合、間違っている登記を修正するために更正登記を申請することになります。

増資の更正登記

増資の登記をした際に資本金の額を誤って多く登記してしまったときは、管轄法務局へ資本金の額の更正登記を申請します。

この登記申請は、受理されることになっています(平成19年12月3日付け民商第2586号法務局民事行政部長(除く東京)、地方法務局長あて法務省民事局商事課長通知)

以下、当該通知を参照に記載しています。

添付書類

資本金の額を誤って多く登記してしまった場合の更正登記につき、申請書の添付書類は次のとおりです。

  1. 資本金の額の計上証明書が錯誤により作成されたことを証する上申書
    ※会社代表者(印鑑届出人)作成のもの
    ※当該証明書の作成者と上申書の作成者が異なる場合は、作成者全員の上申書及びその個人印鑑証明書)
  2. 錯誤により作成された添付書面に代え新たに作成された添付書面
資本金の額が減少することによる債権者保護手続き

資本金の額を誤って多く登記してしまった場合の更正登記は、資本金の額を減少させる登記手続きになりますので、減資の手続きのように債権者保護手続きを経なければならないようにも見えます。

しかし、会社法第449条2項の債権者保護手続きは、この更正登記を対象とはしていないため、この更正登記を申請する前提として、債権者保護手続きは不要とされています。

そのため、債権者保護手続きに関する書面の添付は不要です。

更正登記の登録免許税

更正登記の登録免許税は、1つの申請につき2万円です。

更正登記が受理されない場合

上記通知は「当該錯誤による登記後に更に資本金の額の変更の登記がされている場合を除き」資本金の額の更正登記ができるという内容です。

資本金の額につき、100万円から2100万円に増資(増資①)され、その後に5000万円に増資(増資②)されたようなケースにおいて、増資①の増資額に誤りがあった場合、その更正登記をすることは難しいということでしょう。

その場合は、増資②を抹消登記して増資①を更正登記し、改めて増資②の登記をする方法が考えられます。

ご注意

上記通知に関する照会には、なお書きとして、「当該更正登記申請があった場合には、公正証書原本不実記載罪(刑法第157条第1項)に該当する可能性があり、事案により司法官憲へ告発すべきであると考えますが、いささか疑義がありますので併せて照会します」とあり、その回答として「貴見のとおり取り扱って差し支えないものと考えます」とありますのでご注意ください。

また、増資後に減資をしたようなときに、減資の手続きを省略したい等を理由として、誤った内容の書類を作成して増資の登記を更正することで済ませるようなことはやめましょう。


この記事の著者

司法書士
石川宗徳

代表司法書士・相続診断士 石川宗徳 [Munenori Ishikawa]

1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)

2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。

2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。

また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。

RSM汐留パートナーズ司法書士法人では、
商業登記不動産登記相続手続き遺言成年後見など、
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