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代表司法書士 石川宗徳の 所長ブログ&コラム

募集株式の発行時、出資者が株主となる時期

募集株式の発行と金銭の払い込みのタイミング

株式会社が新しく株式を発行する、あるいは自己株式の処分としてその引受人を募集する場合、次に掲げる事項を定めなければならないとされています(会社法第199条)。

  • 募集株式と引換えにする金銭の払込みまたは財産の給付の期日またはその期間

払い込みの期日を定めた場合

募集株式の引受人は、株主総会または取締役会で定めた払い込みの期日に、出資の履行をした募集株式の株主となるとされています(会社法第209条)。

期日前の払い込み

払込期日を定めた場合、当該払込期日の当日に払い込まなくてはいけない、というわけではありません。

払込期日前に払い込みをしたとしても無効ではなく、当該払込期日に株主となります。払込期日前に払い込みをしたとしても、払い込んだらすぐに株主となれるわけではありません。

なお、募集株式にかかる株主総会または取締役会の決議の日より前に払い込みをしても、その払い込みが何に対する払い込みなのか判明しないため、募集株式の決議より前に払い込むのは避けたほうがよさそうです。

払い込みの期間を定めた場合

募集株式の引受人は、株主総会または取締役会で定めた払い込みの期間中において、出資の履行した日に募集株式の株主となるとされています(会社法第209条)。

例えば、10月1日から10月15日までを払込期間と定め、引受人Xが10月5日、引受人Yが10月8日、引受人Zが10月12日に払い込みをした場合は、それぞれ10月5日、8日、12日が、それぞれの引受人が株主となる日となります。

払込期間の初日より前の払い込み

払込期日前の払い込みは申込証拠金として払い込みがされることもあり、実務上は認められています。対して、払込期間前の払い込みについては明確にはされていないように思います。

しかし、払込期日前の払い込みはOKであるのに払込期間前の払い込みはNGというのは整合性が無いと言えます。

払込期日前の払い込みと比較しても、引受人や会社側にも不利益はありません。もし払込期間前の払い込みがOKであるのであれば、当該払い込みをした引受人が株主となる時期は、払込期間の初日になるでしょうか(私見)。

登記申請における効力発生日

募集株式の発行をする場合で新株を発行するのであれば、発行済株式総数と資本金の額が変わるためその変更登記を申請する必要があります。

上記の例では10月5日、8日、12日に新株引受けの効力が発生しているため、その登記の効力発生日を10月5日、8日、12日に分けて登記申請をすることができます。

ただし、払込期間の末日(10月15日)を効力発生日として、3日分をまとめて登記申請をすることもできます(会社法第915条)。

株主となる権利喪失

募集株式の引受人は、出資の履行をしないときは、募集株式の株主となる権利を失うとされています(会社法第208条)。


この記事の著者

司法書士
石川宗徳

代表司法書士・相続診断士 石川宗徳 [Munenori Ishikawa]

1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)

2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。

2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。

また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。

RSM汐留パートナーズ司法書士法人では、
商業登記不動産登記相続手続き遺言成年後見など、
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