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代表司法書士 石川宗徳の 所長ブログ&コラム

発行可能株式総数=発行済株式数とするメリット・デメリット

発行可能株式総数

株式会社は、成立までに発行可能株式総数を定款に定めなければならず(会社法第37条1項)、定款を変更して発行可能株式総数についての定めを廃止することができません(会社法第113条1項)。

≫株式会社における発行可能株式総数について

発行可能株式総数とは、当該株式会社が発行できる株式の数を表しており、

  • 発行可能株式総数 1000株
  • 発行済株式数 100株

という株式会社であれば、あと株式を900株発行することが可能です。

発行可能株式総数と発行済株式数が同数

発行可能株式総数と発行済株式数が同数の会社もあります。

特例有限会社の場合は、ほとんどの会社がそうでしょう。
(発行可能株式総数60株、発行済株式数60株)

発行可能株式総数と発行済株式数が同数の株式会社及び特例有限会社が、新たに株式を発行するときは、株主総会の特別決議によって定款変更をし、発行可能株式総数を増やさなければなりません。

≫有限会社の特別決議は、株式会社の特別決議と要件が異なるというお話

一方で、新たに株式を発行する予定がない場合は、発行可能株式総数と発行済株式数が同数のままで特段問題ありません。

発行可能株式総数と発行済株式数が同数としておくメリット・デメリットはどのようなものがあるでしょうか。

発行可能株式総数=発行済株式数のメリット

発行可能株式総数=発行済株式数としておくメリットは、特定の状況における株主が保護される点でしょうか。

取締役会の決議(取締役の決定)で募集株式の発行を行えるケースにおいては、特別決議に対する拒否権を持っている株主がいたとしても、当該株主の意向に関係なく募集株式の発行が行えてしまいます。

≫募集株式の決定を取締役会決議で行うことができるケース

この募集株式の発行が行われると、当該株主に割り当てられない限り、当該株主の議決権比率が低下します。

発行可能株式総数=発行済株式数としておけば、募集株式の発行の前提として、株主総会の特別決議によって発行可能株式総数を変更する必要が生じるため、当該株主を通さずに手続きを進めることができません。

会社側のメリットというよりは、株主側のメリットといえます。その条件なら出資するという人からの出資を受けられるという点は、会社側のメリットになり得るでしょうか。

発行可能株式総数=発行済株式数のデメリット

発行可能株式総数=発行済株式数としておくデメリットは、新たに株式を発行する際に、発行可能株式総数の変更手続き+登記も必要となる点です。

株主総会の特別決議で募集株式の発行を行う場合は、同じ株主総会において、特別決議によって定款変更をすれば済むため大きく負担は増えません。

一方で、取締役会の決議(取締役の決定)で募集株式の発行を行える場合は、発行可能株式総数を変更するために株主総会を開催する必要が生じます。

また、発行可能株式総数の変更登記を申請するときは、募集株式の発行の登録免許税とは別に、登録免許税が3万円かかります。

発行可能株式総数の変更登記に関する登録免許税の区分は、商号変更や目的変更、公告方法の変更等と同じ区分ですので、それらの変更登記をする機会があるときは、増資に備えて一緒に発行可能株式総数も増やしておく会社もあります。


この記事の著者

司法書士
石川宗徳

代表司法書士・相続診断士 石川宗徳 [Munenori Ishikawa]

1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)

2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。

2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。

また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。

RSM汐留パートナーズ司法書士法人では、
商業登記不動産登記相続手続き遺言成年後見など、
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