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代表司法書士 石川宗徳の 所長ブログ&コラム

株券を喪失してしまったときの手続きと株式譲渡

株券発行会社の株式譲渡と株券の喪失

株券発行会社の株主が株式を譲渡するときに、株券を相手に交付します。

株券発行会社の株式の譲渡は、当該株式に係る株券を交付しなければ、その効力を生じないとされているためです(会社法第128条1項)。

≫非公開会社の株式を譲渡する方法と対抗要件

つまり、「売ります買います」「あげますもらいます」だけでは、株式譲渡の効力が生じません。

これは、株券不所持の申出が行われていることで株券発行会社の株券が実際に発行されていない場合も、対象会社が株券発行会社である以上、株券を発行してもらい株券を相手へ交付しなければ株式を譲渡できないということです。

ところで、株券を発行して持っていたのにそれをなくしてしまった株主は、株式譲渡をすることができなくなってしまうのでしょうか。

株券の保有と権利の推定

株券を喪失してしまっても、再度株券発行会社に株券を再度すぐに発行してもらえば良いかというと、話はそう簡単ではありません。

株券の交付を受けた者は、当該株券に係る株式についての権利を取得し、株券の占有者は、当該株券に係る株式についての権利を適法に有するものと推定されます(会社法第131条)。

仮に喪失した株券を誰かが拾い、それが善意無重過失の第三者に譲渡されてしまったときは、当該第三者が株主になり得るということです。

そのような善意無重過失の第三者が出現する可能性があるため、株券発行会社は、簡単には何度も株券を発行することができない仕組みとなっています。

株券を再発行するには株券の喪失手続きを踏む必要があり、再発行までは最短でも1年はかかってしまうため、株式譲渡を控えている場合、この1年という期間はとても長く感じることでしょう。

株券喪失の手続き

株券を喪失した者は、株券発行会社に対し、当該株券についての株券喪失登録簿記載事項を株券喪失登録簿に記載(記録)することを請求することができます(会社法第223条)。

株券をなくしてしまったことを会社に伝えるということです。

会社によっては、特定の申請書を用意していることもありますので、その場合はその申請書を提出することになるでしょう。

株券喪失登録簿に記載

株主から上記請求を受けた株券発行会社は、株券喪失登録簿を作成し、これに次に掲げる事項を記載(記録)します(会社法第221条)。

  1. 株券喪失登録の請求に係る株券の番号
  2. 上記1の株券を喪失した者の氏名(名称)及び住所
  3. 上記1の株券に係る株式の株主又は登録株式質権者として株主名簿に記載(記録)されている者の氏名(名称)及び住所
  4. 上記1の株券につきに上記123に掲げる事項を記載(記録)した日
株式名義人への通知

株券発行会社が株券喪失登録をした場合において、当該請求に係る株券を喪失した者として株券喪失登録簿に記載(記録)された者が当該株券に係る株式の名義人でないときは、株券発行会社は、遅滞なく、当該名義人に対して通知しなければなりません(会社法第224条1項)。

株券をなくしましたと会社に申し出た人が、当該株券の所有者として株主名簿に記載されている人と異なるときは、当該株主名簿に記載されている人に対して株券喪失登録がされた旨を通知するということです。

株券喪失登録を申請した人と株券の所有者として株主名簿に記載されている人が同一人物であるときは、この通知は不要です。

株券の再発行

株券喪失登録がされた株券は、株券喪失登録日の翌日から起算して1年を経過した日に無効となります(会社法第228条1項)。

上記手続きによって株券が無効となった場合には、株券発行会社は、当該株券についての株券喪失登録者に対し、株券を再発行しなければなりません(会社法第228条2項)。

ここまで手続きをしてようやく、株券が無効となり新しい株券を発行することができるようになります。

株券不所持の申出

株券発行会社の株主は、当該株券発行会社に対し、当該株主の有する株式に係る株券の所持を希望しない旨を申し出ることができます(会社法第217条1項)。

この申出を、「株券不所持の申出」といいます。

(株券発行会社において)まだ株券が実際に発行されていないときは、株券不所持の申出はその申出に係る株式の数を明らかにして行うだけで済みますが、株券が実際に発行されているときは、当該株券を株券発行会社に提出しなければなりません(会社法第217条2項)。

株券が発行されていて、その株券を喪失してしまっているときは、株券を会社に提出することができないため、株券不所持の申出を行うことは難しいでしょう。

株式譲渡を行いたいのに株券を喪失しているため株券を譲渡できない、となると困ってしまいます。

株券不発行会社への移行

株券不発行会社へ移行すれば、株券の譲渡の問題に悩まずに株式譲渡を行うことができます。

そのため、株券発行会社の株主が株式を譲渡するときに、その株券を喪失してしまっている場合は、株式譲渡を行う前提として株券不発行会社へ移行することが考えられます。

ただし、ケースとしては少ないものと思われますが、株券喪失登録がされた株券を所持する者(株券喪失登録者以外の人)が当該株券喪失登録の抹消を申請している場合は、株券廃止の効力発生日においても、当該株券に係る株券喪失登録は抹消されません(会社法第227条)。

株券を廃止するまでの期間

株券を実際に発行している株券発行会社がその株券を廃止するときは、公告+株主への通知が必要となり、その公告+通知が行われてから2週間の期間を置かなければなりません。

公告方法が官報である株式会社においては、株券廃止に関する公告が官報に掲載されるまで、申込みから掲載まで5営業日程度かかることから、どんなに急いでも株券を廃止することができるまで3週間+かかることになります。

株券を廃止する手続きについては、こちらの記事をご確認ください。

≫株式会社が株券を廃止するときの手続きと登記


この記事の著者

司法書士
石川宗徳

代表司法書士・相続診断士 石川宗徳 [Munenori Ishikawa]

1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)

2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。

2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。

また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。

RSM汐留パートナーズ司法書士法人では、
商業登記不動産登記相続手続き遺言成年後見など、
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