商業登記関係 親会社による子会社株式等の譲渡
一定の場合、子会社株式または持分を譲渡するときは株主総会の承認が必要に
平成26年の改正会社法により、一定の条件の下においては、その子会社の株式等(株式または持分のことをいいます)を譲渡するときは、当該株式会社の株主総会の決議による承認が必要とされました。
一定の条件の下における子会社の株式等の譲渡は、事業譲渡と実質的に等しい影響が当該株式会社に及ぶことが理由とされています。
一定の条件
一定の条件とは次のとおりで、その全てに該当する場合に株主総会の承認が必要となります(会社法第467条1項2の2号)。
①譲渡する株式等の帳簿価格が、当該株式会社の総資産額として法務省令で定める方法により算定される額の5分の1を超えるとき
②当該株式会社が効力発生日において子会社の議決権の総数の過半数の議決権を有しないとき
譲渡先が当該株式会社の別子会社
当該株式会社が子会社Aの株式等を、当該株式会社の他の子会社Bに全部譲渡する場合も、子会社Aは当該株式会社の孫会社となりますが、あくまで上記②の要件は直接保有している議決権に限られますので、この場合でも①を満たせば当該株式会社の株主総会の承認は必要です。
譲渡前から議決権の過半数を有していない
親会社の定義上、親会社は子会社の議決件の過半数を必ずしも有しているわけではありません。
その場合でも、上記①に該当する場合は、株主総会の承認は必要となります。上記②の要件は、自動的に満たしていることになります。
株主総会の特別決議
上記条件の全てに該当する場合は、効力発生日の前日までに、株主総会の特別決議により当該株式等の譲渡の承認が必要となります。
この記事の著者
司法書士
石川宗徳
1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)
2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。
2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。
また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。