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代表司法書士 石川宗徳の 所長ブログ&コラム

株式会社の株式の譲渡制限の定めとその注意点

株主が株式を譲渡することを制限する旨の定めを置く

株式会社の株主は、その会社の株主総会における議決権を1株につき1個持っています(議決権制限株式や単元未満株式等を除きます)。

会社を運営するにあたって、株主が誰であるかは会社の関心事項・重要事項であり、頻繁に株主が変わってしまっては安定した会社の運営の妨げになってしまうかもしれません。

そこで、株式会社はその株式の譲渡をする際には、当該株式会社の承認を要する旨の定めを定款に設けることができるとされています。

なお、有限会社においてはその旨の規定が定款にあるとみなされています。

譲渡をする際に会社の承認を要する株式を譲渡制限株式といいます。譲渡制限株式の会社法上の定義は次のとおりです。

「譲渡制限株式とは、株式会社がその発行する全部又は一部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要する旨の定めを設けている場合における当該株式をいう。」(会社法第2条17項)。

相続などにより株式を取得するとき

相続や合併などの一般承継によって株式を取得したときは、非公開会社においてもその取得にかかる承認決議は不要とされています。

≫株式の相続

譲渡制限会社か否かは大きな違い

非公開会社(譲渡制限会社)とは、全ての株式について譲渡制限が設けられている株式会社のことをいいます。

1株でも譲渡制限が設けられていない株式が存在するのであれば、譲渡制限会社ではなく譲渡制限会社以外の会社(公開会社といいます)になります。その1株が(いつでも発行できるという状態になっているだけで)実際には発行されていない場合も同様です。

非公開会社か公開会社かは、株式会社の設計において大きな分岐点であり、非公開会社と公開会社では次のような違いが生まれます。

≫非公開会社と公開会社の違い

会社法施行以降に新しく設立される会社のほとんどが非公開会社として設立されており、例えば昭和の昔からある株式会社や一部上場会社を除き、今存在する株式会社のほとんどが非公開会社だと思います(昔は公開会社が一般的でした)。

定款への記載方法

譲渡制限株式とは、譲渡による当該株式の取得について、当該株式会社の承認を要する旨の定めを定款に設けられている株式のことをいいます。

つまり株式の譲渡制限にかかる定款の記載は、

当会社の株式を譲渡により取得するには、当会社の承認を要する。

のような記載で足りることになります。

この場合の「当会社の承認」とは具体的には誰の承認になるのかというと、取締役会設置会社であれば取締役会の承認であり、取締役会が設置されていない会社であれば株主総会の承認ということになります。

承認機関を具体的に

株式の譲渡制限の規定において、多くの会社では承認機関の箇所につき「当会社の承認を要する」ではなく、「取締役会の承認を要する」「株主総会の承認を要する」「代表取締役の承認を要する」などのように承認機関を具体的に定めているように思います。

このような定め方であれば、会社の登記簿や定款を見た人が、株式を譲渡する際に誰の承認が得ればいいのかが分かりやすいといえます。

「当会社の承認を要する」と規定するメリット

「当会社の承認を要する」の「当会社」は、会社の機関設計によって承認権者が変わることは上述のとおりです。

つまり、例えば会社がその機関設計を変更した際に、譲渡制限に関する規定の変更をしなくても良いということになります。

譲渡制限に関する規定は登記事項ですので、変更が生じたときはその効力発生日から2週間以内に変更にかかる登記申請をしなければなりません。また、登録免許税として3万円を納める必要があります。

取締役会を設定している会社が取締役会を廃止したときや、取締役会のなかった会社が取締役会を新しく設置したとき、取締役会のある会社が解散をするときなどの場面において、「当会社の承認を要する」と規定・登記している会社はその譲渡制限の規定に関する事項の変更登記は不要となりますが、「取締役会の承認を要する」「株主総会の承認を要する」のように具体的な承認機関を定めていた場合は、定款の変更と登記事項の変更をする必要があります。

代表取締役の承認を要する

譲渡承認機関を代表取締役とすることも可能とされています。

ただし、代表取締役=株主=譲渡人(譲受人)である場合に、代表取締役が承認の決定をすることにつき、忠実義務(会社法第355条)違反のおそれがあるという見解もありますので、気になる方は紛争予防の観点から、「株主総会」や「取締役会」を承認機関に設定するのはいかがでしょうか。

会社が承認したものとみなす旨の記載

株主間の株式の譲渡については当該株式会社の承認が不要であるという定め方もできます。

例えば、

当会社の株式を譲渡するには、取締役会の承認を要する。ただし、当会社の株主が当会社の株式を譲渡により取得するときは、当会社が承認をしたものとみなす。

のような記載です。

このような定めは、譲受人が既存の株主となるため、知らない第三者の手に渡ることがなく既存の株主に渡るのであれば、わざわざ取締役会(株主総会)を開催してまで譲渡承認の決議をしなくてもいいと考える会社が設けます。

しかし株主間の株式の移動とはいえ、会社の知らないところで株式が移動することになり、そのことによって議決権の割合が変わってしまいますので、それが好ましくないと考える場合は上記のような定め方はしない方がいいと思います。

会社が承認したものとみなす旨の記載は登記事項

定款に、

当会社の株式を譲渡するには、取締役会の承認を要する。ただし、当会社の株主が当会社の株式を譲渡により取得するときは、当会社が承認をしたものとみなす。

と定められている場合、ただし書き以降(ただし、当会社の株主が当会社の株式を譲渡により取得するときは、当会社が承認をしたものとみなす。の箇所)も登記事項となります。

株主平等の原則

上述のとおり譲受人が株主である場合は、当該譲渡につき会社が承認をしたものとみなすという定めを定款に設けるができます。

では、例えば譲渡人が従業員である場合は、当該譲渡につき当該株式会社が承認をしたものとみなすという定めを定款に設けることは可能でしょうか。

結論としましては、株主平等の原則からこのような定めを設けることは難しいとされています。株主が資本回収のために株式を譲渡する行為は株主の大事な権利であるので、株主ごとに差を設けることは「株式会社は、株主を、その有する株式の内容及び数に応じて、平等に取り扱わなければならない(会社法第109条1項)。」に反することになってしまうからです。

株式の譲渡制限を新たに設定する方法

昭和の時代に設立をした公開会社で、取締役会を廃止したいというご相談をいただくことがあります。

公開会社は必ず取締役会を置かなければならないため、そのままでは取締役会を廃止することはできません。

そこで、取締役会を廃止するために公開会社から非公開会社へ移行しなければならないため、新しく株式の譲渡制限に関する規定を定款に設ける必要があります。

株券提出公告及び通知(株券発行会社)

株券発行会社のおいては、株券提出公告「及び」株主への通知が必要です。ただし、株式の全部について実際には株券を発行していない会社は、株券提出公告及び通知は不要です。

反対株主の株式買取請求に関する通知

効力発生日の20日前までに、株主に対して、定款に株式の譲渡制限規定を設定する旨の通知「または」公告をします。この通知は、株主総会にかかる招集通知と同一の書面で行うことも可能です。

株主総会の決議

株式の全部の種類に譲渡制限規定を設けるときは、株主総会の特殊決議を得る必要があります(会社法第309条3項1号)。

特殊決議とは、議決権を行使することができる株主の半数以上であって、当該株主の議決権の3分の2以上に当たる多数の賛成による決議のことをいいます(定款で別段の定めがあるときを除きます)。

登記申請

効力発生日から2週間以内に、管轄法務局へ株式の譲渡制限に関する規定の設定にかかる登記申請をします。

登記申請の添付書類は次のとおりです。

  • 株主総会議事録
  • 株主リスト
  • 公告をしたことを証する書面(株券発行会社で実際に株券発行している会社
  • 株主名簿など(株券発行会社で実際に株券を発行していない会社)

この記事の著者

司法書士
石川宗徳

代表司法書士・相続診断士 石川宗徳 [Munenori Ishikawa]

1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)

2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。

2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。

また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。

汐留パートナーズ司法書士法人では、
商業登記不動産登記相続手続き遺言成年後見など、
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