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代表司法書士 石川宗徳の 所長ブログ&コラム

株式会社に監査役会を設置するときの手続きと登記

監査役会の設置が必須である会社

大会社であり、かつ、公開会社である株式会社は、監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社を除き、監査役会及び会計監査人を置かなければなりません(会社法第328条)。

なお、上記に該当しない株式会社であっても、定款に定めることにより、監査役会を置くことができます(会社法第326条2項)。

監査役会設置会社においては、監査役は、3人以上で、そのうち半数以上は社外監査役でなければなりません(会社法第335条3項)。

≫監査役の社外要件(平成27年5月1日以降)

監査役会を設置したときに必要となる機関

監査役会設置会社は、取締役会を置かなければなりません(会社法第327条1項)。

そのため、取締役会を置いていない株式会社が監査役会を置くときは、取締役会を同時に置くことになります。

特例有限会社と監査役会

特例有限会社に監査役会を置くことはできません(会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律第17条)。

特例有限会社が監査役会を置こうとするのであれば、株式会社へ組織変更し取締役会を設置して行うことになります。

社外取締役を置く義務(令和元年改正会社法)

事業年度の末日において監査役会設置会社(公開会社であり、かつ、大会社であるものに限る。)であって有価証券報告書を提出している株式会社が社外取締役を置いていない場合には、取締役は、当該事業年度に関する定時株主総会において、社外取締役を置くことが相当でない理由を説明しなければなりません(会社法第327条の2)。

なお、2021年3月1日に施行される改正会社法において、上記会社は、少なくとも1人以上の社外取締役の設置が義務付けられることになっています(会社法第327条の2)。

監査役会を設置する

監査役会を置くときは定款にその旨を定める必要がありますので、株主総会を開催し(又は会社法第319条1項に基づくみなし決議によって)、監査役会設置に関する定款変更の決議をし、監査役が3名以上いないのであればそれを満たすよう監査役の選任決議も同時に行います。

※監査役を初めて設置する場合は、併せて監査役を設置する旨も定款に定めることになります。

監査役会を置く定款変更の効力が生じ、選任した監査役が就任を承諾する等して監査役が3名以上(その半数以上が社外監査役)の要件を満たした後は、法務局へ登記申請を行います。

以下、取締役会設置会社で、かつ、監査役設置会社である株式会社(取締役3名、監査役1名)が監査役会を新たに設置するケースを前提としています。

株主総会の決議

株主総会の特別決議によって、監査役会を設置する旨の定款変更を行います。また、同じ株主総会において、特殊普通決議によって監査役2名以上を選任します。

監査役会は半数以上が社外監査役でなければなりませんので、既存の監査役が社外監査役でないときは、新たに選任する監査役2名はどちらも社外監査役であることが求められます。

このタイミングで、監査役と責任限定契約を締結できる旨(会社法第427条1項)や、取締役会の決議によって監査役の責任(の一部)を免除することができる旨(会社法第426条1項)を定款に盛り込む会社が少なくないのではないでしょうか。

監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定め

仮に監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある場合は、監査役会設置会社ではこの規定を置くことができないのでこれを削除するとともに(会社法第389条1項)、この規定を削除すると現監査役は退任するため(会社法第336条4項3号)、再任を含め当該監査役に代わる監査役を選任する必要があります。

また、監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めのある株式会社は、定款で、会社法第370条に基づくみなし決議に関する記載や、取締役会議事録への記名押印(電子署名)する者から監査役を外していますので、監査役会を設置する定款変更のタイミングでそれらも変更します。

監査役の就任承諾

株式会社と監査役との関係は、委任に関する規定に従いますので(会社法第330条)、選任された監査役はその就任を承諾することにより株式会社の監査役となります。

監査役会設置会社には監査役3人以上を置く必要がありますので、監査役会設置会社に関する定款変更日と監査役の就任日は同日であることが一般的です。

登記申請

監査役会設置及び監査役の就任承諾が効力を生じた時(同日を想定)から2週間以内に、法務局へその旨の変更登記を申請します(会社法第915条1項)。

なお、監査役会設置会社においては社外監査役である旨が登記事項となりますので、監査役会設置の登記申請においては、社外監査役である監査役については社外監査役である旨も(一つの申請において)併せて登記します。

添付書類

監査役会設置会社の定めの設定及び監査役の変更登記にかかる添付書類の一例は次のとおりです。

  1. 株主総会議事録
  2. 株主リスト
  3. 定款
  4. 新任監査役の就任承諾書
  5. 新任監査役の本人確認証明書
    ≫取締役・監査役の就任と本人確認証明書
登録免許税

<資本金が1億円以下の会社>
3万円(監査役会設置登記分)+1万円(監査役就任登記分)で4万円です。

<資本金が1億円を超える会社>
3万円(監査役会設置登記分)+3万円(監査役就任登記分)で6万円です。

<取締役のみ置いている会社が監査役会を新たに置き、その会社の資本金が1億円以下の場合>
3万円(取締役会及び監査役会設置登記分)+3万円(監査役設置登記分)+1万円(監査役就任登記分)で7万円です。


この記事の著者

司法書士
石川宗徳

代表司法書士・相続診断士 石川宗徳 [Munenori Ishikawa]

1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)

2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。

2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。

また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。

RSM汐留パートナーズ司法書士法人では、
商業登記不動産登記相続手続き遺言成年後見など、
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