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代表司法書士 石川宗徳の 所長ブログ&コラム

代表取締役の就任登記時に添付する印鑑証明書の数が少なくなるパターン

代表取締役の選任登記と印鑑証明書

株式会社の代表取締役の住所・氏名は登記事項であり、代表取締役が就任したときは、その時から2週間以内にその旨の登記申請をします。

代表取締役の就任に関する登記申請においては、原則として、次の印鑑につき印鑑証明書の添付が求められます(商業登記規則第61条6項、7項)。

  1. 代表取締役を選定したことを証する書面に押印した印鑑
  2. 代表取締役が就任を承諾したことを証する書面に押印した印鑑

上記2の「就任を承諾したことを証する書面に押印した印鑑」に関する印鑑証明書の添付は必須となりますが、当該代表取締役が再任(重任)の場合は不要です。

これは1つの申請である限り、「重任」ではなく任期満了による「退任」+「就任」の場合も同様です。

代表取締役を選定したことを証する書面

代表取締役を選定したことを証する書面とは次のとおりです。

代表取締役の選定方法
代表取締役の選定を証する書面
株主総会の決議株主総会議事録
種類株主総会の決議種類株主総会議事録
取締役の互選互選を証する書面
取締役会の決議取締役会議事録

なお、その都度自由な方法で代表取締役を選定できるわけではなく、会社法や定款によって選定方法が定められています。

≫代表取締役の選定をする方法にはどのようなものがあるか(株主総会?取締役の互選?)
≫取締役会設置会社の代表取締役の選定方法

必要となる印鑑証明書

新たに代表取締役が就任したときに、その変更登記に添付する印鑑証明書が多くなるパターンは、変更前の代表取締役が変更後の代表取締役の選定を証する書面にその届出印を押印しないパターンです。

<変更前>
取締役ABCDE 代表取締役A
<変更後>
取締役BCDEF 代表取締役F

取締役会の決議で代表取締役Fを選定したことを前提としますが、このときにAが取締役会に出席する権限がない、あるいは権限はあるけれど出席してその届出印を議事録に押印していない場合は、BCDEFの印鑑証明書が求められます。

実印の押印や印鑑証明書を集めるのは大変

新任代表取締役Fの印鑑証明書は必ず準備しなければなりませんが、BCDE全員から実印の押印+印鑑証明書を集めることが大変な会社もあります。

取締役に海外居住者がいる場合、書面にサインをもらったりサイン証明書を取得してもらうのも大変であるため、できればそれを避けたいということもあるでしょう。

取締役会への出席者を減らして押印する人や必要な印鑑証明書を減らすことはできますが、登記手続きだけのために当該役員の取締役会への出席義務を違反するのはお勧めできません。

取締役Aが取締役会に参加できる場合

取締役Aが取締役会参加し、Aがその届出印を議事録に押印すれば、用意する印鑑証明書はFのものだけで済みます。

また、株主総会議事録に出席取締役の記名押印又は署名が必要と定款で定められている会社においても、株主総会を書面orメール決議(会社法第319条1項)で行い、取締役会を書面orメール決議(会社法第370条)で行いAが議事録を作成すれば、A以外の押印も不要となります。

一方で、3/31にAが辞任し、4/1の取締役会でFが選定されたり、定時株主総会でAが再任されずその後の取締役会でFが選定されたりするようなケースでは、Aは取締役会に参加できません。

株主総会の決議で代表取締役を選定する

取締役会設置会社においても、定款に定めることにより株主総会の決議で代表取締役を選定することは可能です(会社法第295条2項)。

代表取締役を選定した株主総会議事録には、議長及び出席した取締役が株主総会の議事録に押印した印鑑の印鑑証明書が必要となります(商業登記規則第61条6項1)。

ところで、この株主総会を書面又は電磁的記録による決議(会社法第319条1項)で行った場合はどうでしょうか。

この場合の株主総会議事録は、議事録作成者の記名押印しか求められていません。

そのため、Fが議事録作成者となれば、Fだけの印鑑証明書で登記を済ますことが可能となります。


この記事の著者

司法書士
石川宗徳

代表司法書士・相続診断士 石川宗徳 [Munenori Ishikawa]

1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)

2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。

2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。

また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。

RSM汐留パートナーズ司法書士法人では、
商業登記不動産登記相続手続き遺言成年後見など、
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