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代表司法書士 石川宗徳の 所長ブログ&コラム

取締役会設置会社の代表取締役の選定方法

代表取締役は取締役会の決議

取締役会を置いている会社(取締役会設置会社といいます)の代表取締役は、取締役会の決議によって選定します。

会社法第362条第2項によると、取締役会は、代表取締役の選定及び解職を行うとありますので、一般的には会社法第362条の規定のとおりとしている会社がほとんどかと思います。

選任と選定

取締役は選任する、代表取締役は選定する、という表現をよくされますが、選任とは、不特定多数の者の中から選ぶことをいい、選定とは、特定された者の中から選ぶことをいいます。

取締役は通常、不特定多数の者の中から選ばれますので選任という表現が用いられ、代表取締役は取締役の中から選ばなければなりませんので(会社法第362条第3項)選定という表現が用いられます。

但し、代表取締役を選任するという取締役会議事録や就任承諾書を添付しても、登記手続き上はそれが原因で補正になることはありません。

取締役会設置会社の代表取締役を、株主総会の決議で選定する

取締役会設置会社において、代表取締役の選定を取締役会の決議ではなく、株主総会の決議によってすることはできるのでしょうか。株主総会の権限を定めている会社法第295条2項は次のとおりです。

会社法第295条
(株主総会の権限)
前項の規定にかかわらず、取締役会設置会社においては、株主総会は、この法律に規定する事項及び定款で定めた事項に限り、決議をすることができる。

つまり取締役会設置会社において、(会社法で規定された事項に加え)定款で定めた事項については、株主総会の決議で行うことができるということになります。

取締役会設置会社において、株主総会の決議で代表取締役を選定することは可能

定款に、代表取締役は~~~~~~株主総会の決議によって定めることもできる、というような定めがあれば、取締役会設置会社の代表取締役も株主総会の決議によって定めることができることになります。

登記実務においても、代表取締役を株主総会の決議によって選定する方法が認められています。

最高裁平成29年2月21日第3小法定決定

先日、次のような決定が最高裁から出ています。

最高裁平成29年2月21日第3小法定決定  裁判趣旨
取締役会設置会社である非公開会社における,取締役会の決議によるほか株主総会の決議によっても代表取締役を定めることができる旨の定款の定めは有効である。

代表取締役選定の登記申請と添付書類

別段の定めがない限り、取締役会設置会社の代表取締役は取締役会の決議によって選定することから、代表取締役の選定を証する書面として株主総会議事録を添付するときは、別段の定めがあることを登記官に証明しなければなりません。

つまり、添付書類として「定款」が必要です。なお、株主総会の第1号議案で代表取締役の選定を株主総会で行うことができるとする定款変更の決議(議事録に新旧対照表あるいは変更後の内容を記載)、第2号議案で代表取締役の選定を行っているときは、独立した定款そのもの自体の添付は不要となります。

その他に、「株主総会議事録」や「株主リスト」、それぞれのケースに応じて「就任承諾書」、そして就任承諾書や商業登記規則第61条第4項に対応する印鑑証明書などが必要となります。


この記事の著者

司法書士
石川宗徳

代表司法書士・相続診断士 石川宗徳 [Munenori Ishikawa]

1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)

2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。

2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。

また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。

RSM汐留パートナーズ司法書士法人では、
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