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代表司法書士 石川宗徳の 所長ブログ&コラム

唯一の株主であり、かつ唯一の(代表)取締役である人の死亡

株主も取締役も1名(同一人物)である株式会社

平成18年5月1日に施行された会社法においては、取締役の人数や資本金の制限などが撤廃されたため、株式会社の設立は比較的容易となりました。

特に、1名の方が発起人(後の株主)となり、かつ(代表)取締役となる株式会社の設立は多いといえます。

ではその1名の方が死亡した場合はどのようになるのでしょうか。

なお、次の記事も併せてご参照ください。
≫株式の相続
≫合同会社と相続

取締役の相続人は、自動的には取締役になりません

相続とは、自然人の財産などの様々な権利義務を相続人が包括的に承継することをいいます。

一見、取締役の地位も相続するように思いますが、民法第896条には一身に専属したものについては相続の対象にはなりませんとあります。

そして、取締役の地位は一身に専属したもの、なので相続の対象とはなり得ず、相続人は取締役の地位を相続して当然に取締役となることはありません。

田中一郎さんの能力を見込んで取締役に選任したのに、田中一郎さんが亡くなったら取締役としての能力は皆無である田中二郎(田中一郎の相続人)が勝手に取締役となることは、会社の望むところではないでしょう。

民法第896条

相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。

株主の地位(株式)は相続の対象

取締役の地位は相続の対象ではありませんが、株主の地位(つまり株式)は相続の対象となります。

相続人は、亡くなった方(被相続人といいます)の所有していた株式を承継しますが、相続人が複数いる場合は準共有状態となりますので、遺産分割協議が成立するまでの間は株式の権利を行使する人を決めて議決権などを行使する必要があります。

≫株式の相続

株主総会で取締役を選任

1人しか取締役のいない株式会社では、その取締役が亡くなると会社の業務執行を行う者が不在というケースになり得ます。

そして、取締役の地位は相続人が当然には承継しませんので、株主総会において改めて選任しなくてはなりません。

1人株主1人取締役(同一人物)の会社において、相続人が1名であれば、その相続人が被相続人の株式を承継し、株主総会で取締役を選任することができますが、相続人が複数の場合は、株式の権利を行使する人を定めるか遺産分割協議によって株式を承継する人を決めたうえで取締役を選任することになります。

なお、株式の準共有状態においても、相続人全員が共同して株主総会で議決権を行使することにつき、会社が同意をすることはできます(会社法第106条)。

会社法第106条

株式が二以上の者の共有に属するときは、共有者は、当該株式についての権利を行使する者一人を定め、株式会社に対し、その者の氏名又は名称を通知しなければ、当該株式についての権利を行使することができない。ただし、株式会社が当該権利を行使することに同意した場合は、この限りでない。


この記事の著者

司法書士
石川宗徳

代表司法書士・相続診断士 石川宗徳 [Munenori Ishikawa]

1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)

2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。

2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。

また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。

RSM汐留パートナーズ司法書士法人では、
商業登記不動産登記相続手続き遺言成年後見など、
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