相続関係 生命保険契約の存在を確認してくれる「生命保険契約照会制度」
生命保険契約照会制度
生命保険の被保険者が死亡したときは、受取人が生命保険金を受け取ることになります。
相続が発生したときに、被相続人が生命保険に加入していたのかどうかを調査することになりますが、生前に生命保険の存在について相続人が知っていた場合は調査が容易かもしれません。
そうでない場合は、被相続人宛ての郵便物や、生命保険の契約書等から生命保険の存在を把握することができますが、今回、生命保険契約の有無について一括して生命保険各社に調査依頼をすることができる「生命保険契約照会制度(一般社団法人生命保険協会)」が創設されました。
今回創設する「生命保険契約照会制度」では、契約者・被保険者がお亡くなりになった場合、認知判断能力が低下している場合において、法定相続人、法定代理人、3親等内の親族などからの照会を生命保険協会が受け付け、照会対象者に関する生命保険契約の有無について一括して生命保険各社に調査依頼を行い、生命保険各社における調査結果をとりまとめて照会者に回答いたします。
相続手続きにおいて、生命保険契約の調査が非常にしやすくなったと思います。
以下、詳細は下記リンク先をご確認いただければと思いますが、下記リンク先を参考に、簡単に制度の概要について記載します。
調査対象となる生命保険契約の範囲
生命保険協会が照会を受け付けた日現在有効に継続している個人保険契約
(ただし、財形保険契約及び財形年金保険契約、支払いが開始した年金保険契約、保険金等が据え置きとなっている保険契約は対象から除外)
利用できるとき
次のいずれかに該当する場合は、生命保険契約照会制度を利用できます。
- 親や家族が死亡したとき
- 親や家族の認知判断能力が低下したとき
- (災害時)災害救助法が適用された地域で被災したことによる死亡又は行方不明のとき
なお、この制度を利用するかどうかは任意ですので、もし仮に被相続人が被保険者となっている生命保険について全て把握している場合は、この制度を利用する必要性は低いといえます。
ただし、漏れがないか心配な方は、この制度を利用されるのがよろしいかと思います。
照会申請をすることができる人
照会対象者が死亡している場合
- 照会対象者の法定相続人
- 照会対象者の法定相続人の法定代理人又は任意代理人※
- 照会対象者の遺言執行人
照会対象者の認知判断能力が低下している場合
- 照会対象者の法定代理人又は任意後見制度に基づく任意代理人
- 照会対象者の任意代理人(上記1の任意代理人を除く)。ただし、上記1の法定代理人又は任意代理人が選任されている場合には、この規定で定める任意代理人からの照会申出は受け付けない。※
- 照会対象者の3親等内の親族及びその任意代理人※
※任意代理人の範囲は、弁護士、司法書士その他照会対象者の財産管理を適切に行うために照会対象者にかかる生命保険契約の有無を照会するにふさわしいと一般社団法人生命保険協会が認めた者
照会申請に必要な書類
一例として、照会対象者が亡くなっていて、照会対象者の法定相続人が照会申請をする場合は次の書類が求められます。
- 照会者の本人確認書類
- 法定相続情報一覧図又は相続人と被相続人の関係を示す戸籍等
- 照会対象者の死亡診断書
戸籍から照会対象者が死亡している事実が分かりそうですが、死亡診断書も必要と記載されております。
照会対象者の住所を証する書面が必要となるか等、制度を利用する機会があったときは確認してみたいと思います。
利用料金
1照会当たり3,000円(税込み)です。
災害時は、利用料は不要のようです。
生命保険契約があることを確認できた後
この制度では、あくまで生命保険各社に生命保険契約があるかどうかを調査するだけですので、生命保険金の請求は、生命保険契約のある保険会社へ直接連絡をする方法によって行います。
具体的な請求手続きは、当該保険会社にお問い合わせいただく必要があります。
相続手続きにおいて相続財産の調査が大変ですが、今後も調査がしやすくなる制度ができてくるといいですね。
- 生命保険契約・・・生命保険契約照会制度
- 公正証書遺言・・・遺言検索システム
- 自筆証書遺言・・・遺言書保管事実証明書の交付の請求 ※法務局に預けている場合
- 不動産・・・・・・所有不動産記録証明書(仮称) ※今後実施予定、実施時期未定
この記事の著者
司法書士
石川宗徳
1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)
2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。
2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。
また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。