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代表司法書士 石川宗徳の 所長ブログ&コラム

(2022年1月1日)株式会社の定款認証に係る公証人手数料改定

株式会社の設立と公証人の定款認証

株式会社を設立するには、発起人が定款を作成し、その全員がこれに署名し、又は記名押印しなければなりません(会社法第26条1項)。

そして当該定款は、公証人の認証を受けなければ、その効力を生じないとされています(会社法第30条1項)。

株式会社以外にも、一般社団法人又は一般財団法人を設立するときは同様に、定款につき公証人の認証が求められています。

公証人の定款認証手数料

公証人の定款認証手数料は、公証人手数料令で定められています。

公証人手数料令第35条
会社法第30条第1項並びに一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第13条及び第155条の規定による定款の認証についての手数料の額は、5万円とする。
(一部記載を省略しています)

つまり、2021年において公証人の定款認証手数料は、株式会社、一般社団法人又は一般財団法人につき一律5万円となっています。

株式会社の定款認証手数料の変更

公証人手数料令の一部が改正され、株式会社の定款認証に係る公証人手数料につき、起業促進の観点から、資本的規模の小さな会社に係る当該手数料をその規模に応じて引き下げることなりました。

具体的には、次のとおり資本金の額等(後記参照)によって手数料が決まります。

手数料は設立する株式会社の資本金の額等が100万円未満の場合は3万円、100万円以上300万円未満の場合は4万円、その他の場合は5万円です。

資本金の額は、100万円、300万円又は500万円のようにキリの良い数字にすることが多く、1人法人においては100万円を選択することが少なくないことから、100万円「未満」の場合ではなく、100万円「以下」の場合、であれば起業家サイドとしてはより良かった気がします。

出資額又は資本金の額と定款の定め

株式会社の設立時の定款には、設立に際して出資される財産の価額又はその最低額を記載し又は記録しなければならず(会社法第27条4号)、成立後の株式会社の資本金及び資本準備金の額に関する事項を定款に定めていないときは、それを発起人の全員の同意によって定めます。

資本金の額等は次のように判定されます。

定款に設立時の資本金の額の記載がある場合

定款に「設立時の資本金の額」の記載がある場合は、その金額が公証人手数料の基準となります。

定款に設立時の資本金の額として「設立に際して出資される財産の全額」を資本金とする旨の記載がある場合は、その財産の価額が公証人手数料の基準となります。

定款に「設立に際して出資される財産の最低額」を記載していて、出資された財産の全額を資本金とする旨の記載がある場合は、公証人手数料は5万円となります。

定款に設立時の資本金の額の記載がない場合

定款に「設立に際して出資される財産の価額」を記載している場合は、その金額が公証人手数料の基準となります。

定款に「設立に際して出資される財産の最低額」を記載している場合は、その金額に関わらず公証人手数料は5万円です。

前者においては、150万円出資をして75万円を資本金とする場合でも公証人手数料は4万円となります。

後者においては、出資される財産の最低額を10万円ととりあえず定款に記載しておき、実際に10万円出資される場合でも公証人手数料は5万円となります。

上記のとおり、定款に「設立に際して出資される財産の最低額」を記載する方法だと、公証人手数料は一律5万円となるため、設立時の資本金の額が300万円未満であれば、資本金の額を定款で定めておくのが無難でしょうか。

公証人手数料令の一部改正が適用される時期

公証人手数料令の改定は、2022年1月1日から施行されます。

2021年に公証役場へ電子定款を送り、2022年に公証人の定款認証を受けた場合は、改正前の公証人手数料が適用されますので注意が必要です。

2022年1月4日以降に公証役場に電子定款を送り、定款認証を受けた場合は改正後の公証人手数料が適用されます。

一般社団法人又は一般財団法人の定款認証手数料

公証人の定款認証手数料が改定されるのは株式会社に対するものだけです。

一般社団法人又は一般財団法人の当該手数料は、引き続き5万円です。

定款認証手数料以外の費用

書面で定款を作成すると4万円の収入印紙を貼付しなければならず、電子定款の場合は当該印紙は不要とされている関係で、電子定款で作成することがほとんどかと思います。

電子定款の場合、電磁的記録の保存として1件につき300円がかかります。

また、定款の同一情報の提供として1件につき700円かかり、書面による同一情報の提供の場合は、その書面の用紙1枚ごとに20円が加算されます。

定款がA4サイズ8枚にわたる場合は、定款に記載された資本金10万円の株式会社の電子定款の認証費用は、30,000円+300円+700円+160円=31,160円です。


この記事の著者

司法書士
石川宗徳

代表司法書士・相続診断士 石川宗徳 [Munenori Ishikawa]

1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)

2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。

2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。

また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。

RSM汐留パートナーズ司法書士法人では、
商業登記不動産登記相続手続き遺言成年後見など、
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