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代表司法書士 石川宗徳の 所長ブログ&コラム

代表取締役、代表社員又は代表理事の住所変更登記に住民票の添付を要しないことの善し悪し

代表取締役等の住所変更登記

株式会社の代表取締役、合同会社の代表社員、一般社団法人や一般財団法人の代表理事(以下、「代表取締役等」といいます)の住所は登記事項とされています。

合同会社の場合、代表社員が法人であれば当該法人の住所及び名称並びに職務執行者の住所及び氏名が登記簿に記載されます。

代表取締役等又は合同会社の代表社員の職務執行者の住所に変更が生じたときは、当該変更が生じた時から2週間以内にその変更登記をしなければなりません(会社法第915条1項)。

代表取締役等の住所変更登記の添付書類

代表取締役等の住所変更登記には、代理人に委任する場合を除き、添付書類は不要です。

つまり、代表取締役等の住所が変更したことを証する書面(住民票や戸籍の附票)の添付が求められていません。

なお、代理人に委任して代理人が登記申請をする場合は、委任状が必要です。

代表取締役等の重任(再任)登記も同様

代表取締役等の重任登記の際、登記簿上の代表取締役等の住所と現在の代表取締役等の住所が異なるときは、現在の住所で重任の登記をすることが可能とされています。

代表取締役Aの登記簿上の住所が東京都、現在の住所が神奈川県である場合、一度東京都→神奈川県に住所変更登記をしてから重任の登記をすることなく、Aの住所を神奈川県としてそのまま重任の登記をすることができます。

このときに、代表取締役を選定した書面等は必要ですが、代表取締役の住所の変更を証する書面は、代表取締役の住所変更登記同様に求められません。

申請書に記載した住所がそのまま登記される

上記のとおり、代表取締役等の住所変更登記や、移転後の住所で重任登記を行う場合は、住所の変更を証する書面の添付が求められていません。

これは、登記申請の添付書類を用意しなくても良いため負担が軽くなるように見えますが、申請書に申請人が記載した代表取締役等の住所がそのまま登記簿に記載されることを意味します。

つまり、申請書に記載された変更後の代表取締役等の住所が誤っていたとしても、それがそのまま登記されてしまうということです。

間違っているように見えても登記される?

東京都中央区銀座という住所は、全て調べたわけではありませんが、マンションを除き基本的には●丁目●番●号で記載されます(丁目番地ではなく)。

一例として、東京都中央区銀座一丁目1番1号(東京都中央区銀座1-1-1)という表記になります。

ここで、代表取締役等の住所を東京都中央区銀座1-1として登記申請した場合、このままの記載で登記される可能性は高いと思われます。

登記官は、申請された住所に代表取締役等の住所があるのか調査しない(できない)ためです。

有名な地名で、明らかに1番地1(1-1)ではなく、一丁目1番1号(1-1-1)であるのであれば、もしかしたら登記官が丁寧に申請者に確認をしてくれるかもしれません。なお、このような確認をされたことは私はありません。

ところで、東京都中央区銀座一丁目1番1号でも東京都中央区銀座1-1-1でも登記はされ、事実が記載されているので問題ないのかなと思いますが、住民票と同じ記載である前者が好みではあります。

間違った内容でも登記が通る怖さ

登記簿には正しい情報が記載されるよう、登記申請時に一定の資料を添付するよう求められているところ、代表取締役等の住所変更登記にはそれが求められていません。

そのため、申請者(代表取締役等)の責任において、正しい住所を登記簿に記載しなければなりません。

添付書類が少なくなることにより作業量が減るメリットがある反面、間違った内容でも登記が通ってしまうという怖さもあるかなと思います。

間違った住所を直すには更正登記

もし代表取締役等の住所を間違った内容で登記してしまった場合、登記簿の記載を修正することも可能です。

ただし、これは法務局に電話をして簡単に直してもらえるというものではなく、改めて更正の登記というものを法務局に申請する方法によって行います。

この更正の登記には、登録免許税が2万円かかります。

資本金の額が1億円以下の株式会社又は合同会社並びに一般社団法人又は一般財団法人は、代表取締役等の住所変更登記の登録免許税は1万円ですが、更正の登記をすると追加で2万円かかってしまいますのでご注意ください。

司法書士に依頼する場合

司法書士に代表取締役等の住所変更登記の代理申請を依頼する場合、司法書士は住民票等の住所変更したことが分かる資料を求めることが一般的です。

住民票等を用意することは一見面倒なようですが、間違えて登記をしてしまうことよりは作業量も費用負担も少なくなります。

登記を間違えたくない方や、自分で登記をする時間がない経営者の方は、お近くの司法書士に登記をご依頼されるのがよろしいかと思います。


この記事の著者

司法書士
石川宗徳

代表司法書士・相続診断士 石川宗徳 [Munenori Ishikawa]

1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)

2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。

2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。

また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。

RSM汐留パートナーズ司法書士法人では、
商業登記不動産登記相続手続き遺言成年後見など、
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