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代表司法書士 石川宗徳の 所長ブログ&コラム

株式会社の公告方法は約83%が官報であり、官報で実際に決算公告をしている株式会社は1.5%

株式会社の公告方法

株式会社は、公告方法として、次に掲げる方法のいずれかを定款で定めることができます(会社法第939条1項)。

  1. 官報に掲載する方法
  2. 時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載する方法
  3. 電子公告

定款で公告方法を定めていない株式会社は、その公告方法は「官報に掲載する方法」となります(会社法第939条4項)。

株式会社の決算公告義務

株式会社は、法務省令で定めるところにより、定時株主総会の終結後遅滞なく、貸借対照表(大会社にあっては、貸借対照表及び損益計算書)を公告しなければなりません(会社法第440条1項)。

当該公告は「決算公告」と呼ばれており、定款に定められた公告方法(定めていない場合は官報)で行いますが、公告方法が官報又は日刊新聞紙の株式会社は上記貸借対照表の要旨を掲載すれば足ります(会社法第440条2項)。

有価証券報告書を内閣総理大臣に提出しなければならない株式会社については決算公告は不要です。

株式会社の公告方法の割合

株式会社東京商工リサーチ社のこちらの記事に、株式会社の公告方法及び決算公告に関するデータがあります。

≫[官報]決算公告の実施会社「わずか1.5%」 株式会社東京商工リサーチ

上記記事から、株式会社が採用している各公告方法の割合と決算公告を行っている株式会社の割合が分かります。

株式会社が選択している公告方法の割合

株式会社の公告方法は「官報」「日刊新聞紙」「電子」のいずれかであるところ、「官報」を選択している株式会社が約8割のようです。

東京商工リサーチ(TSR)が保有する企業データベースによると、株式会社の公告方法は「官報」が83.1%と大半を占め、日刊新聞紙ほかが14.5%、電子公告が2.4%だった。
https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20220309_01.html

「日刊新聞紙」は、昔からある株式会社又は吸収合併や減資等の手続きでダブル公告を行いたい株式会社が、公告方法として選択しているイメージがあります。

「電子」は、ダブル公告を行いたい株式会社、上場会社及びその子会社、決算公告に費用をかけたくない株式会社、役員が比較的若めな株式会社で採用されているイメージのある公告方法です。

実務を行っている中で、株式会社の公告方法として「官報」の割合が多いのだろうなとは思っていましたが、「電子」の割合が思っていたよりも少ないという結果です。

決算公告をしている株式会社の割合

株式会社は決算公告をする義務があり、この義務に違反すると会社法に該当するため100万円以下の過料の対象となりますが(会社法第976条)、2021年に官報に決算公告をした株式会社は全体の1.5%ということでした。

2021年に官報に決算公告した株式会社は4万154社で、全株式会社のわずか1.5%にとどまることがわかった。経営の透明性が重要視されているが、情報開示に消極的な中小企業が多いようだ。
https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20220309_01.html

母数は全株式会社となっているため、例えば公告方法を「電子」としている株式会社も含まれているでしょうか。

決算公告をしていないことに対する過料は、実務的には科されることがほとんどないこともあり(決算公告をしないことを勧めるものではありません)、決算公告をしている株式会社はとても少なく、1.5%という割合でも多いという印象です。

決算公告を今後は行っていこうと考えた大会社以外の株式会社は、貸借対照表の要旨として何を掲載すれば良いのかにつき、こちらのページが参考になります。

≫「会社法」における株式会社の分類と決算公告記載科目(株式会社兵庫県官報販売所)

決算公告に限らず官報への公告申込みを行うときは、弊社はいつも株式会社兵庫県官報販売所さんに助けていただいております。


この記事の著者

司法書士
石川宗徳

代表司法書士・相続診断士 石川宗徳 [Munenori Ishikawa]

1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)

2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。

2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。

また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。

RSM汐留パートナーズ司法書士法人では、
商業登記不動産登記相続手続き遺言成年後見など、
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