商業登記関係 士業法人の社員の入退社にともなう登記すべき事項は「加入」「脱退」
士業法人の社員と登記事項
士業法人の社員の住所及び氏名は登記簿の記載事項であり、社員が複数いるときに代表社員を置いたときは、当該社員の資格は代表社員として記載されます。
東京都港区●●●
社員 甲野一郎
東京都中央区●●●
代表社員 乙野二郎
その他に、士業法人の種類によっては特定社員等の記載がされることがあります。
社員の入退社と登記の原因
社員の住所及び氏名は登記事項ですので、社員が入退社したときはその効力が生じてから2週間以内に管轄登記所に登記申請を行う必要があります。
この登記の原因は、現在は「加入」「脱退」に統一されています。
丙野三郎さんが社員として士業法人にジョインするときの登記すべきは「東京都渋谷区●●● 社員 丙野三郎 令和4年4月1日加入」となります。
甲野一郎さんが士業法人から抜けるときの登記すべき事項は「東京都港区●●● 社員 甲野一郎 令和4年3月31日脱退」となります。
なお、昔から「入社」「退社」で登記をし続けてきている士業法人に関しては、引き続き「入社」「退社」でも登記は受け付けられるようです(いつ運用が変更されるかは分かりません)。
代表社員の資格変更
社員のうち代表社員を定めたときは、当該社員の資格は代表社員として登記されます。
株式会社のように「取締役AB 代表取締役A」と登記されるのではなく、「代表社員A 社員B」のようにAの(住所及び)氏名は1個所のみ記載されます。
既存の社員が代表社員になる、あるいは代表社員が社員になるような場合は、その登記原因は「資格変更」です。
社員ABとして登記されている士業法人がAを代表社員と定めたときは「東京都港区●●● 代表社員 A 令和4年4月1日資格変更」となります。
代表社員A社員Bとして登記されている士業法人がABともに共同代表とするときは「東京都港区●●● 社員 A 令和4年4月1日資格変更」となります。
この記事の著者
司法書士
石川宗徳
1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)
2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。
2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。
また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。