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代表司法書士 石川宗徳の 所長ブログ&コラム

株式会社は株主総会のみで本店移転の決議を行うことができるか

本店移転の意思決定機関

株式会社が本店を移転し、本店の移転にかかる登記手続きするには、当該株式会社においてその旨の意思決定をしたことを証する書面が求められます。

株式会社の本店の所在地は定款の記載事項ですので(会社法第第27条3号)、本店の所在地の変更が伴う本店移転の場合は、株主総会の特別決議によって定款を変更します。

当会社は本店を東京都中央区に置く → 当会社は本店を東京都千代田区に置く
当会社は本店を埼玉県新座市に置く → 当会社は本店を東京都渋谷区に置く

定款に本店の所在場所まで記載している会社は、本店移転の度に定款変更の手続きを行います。

当会社は本店を東京都中央区銀座一丁目1番1号に置く

当会社は本店を東京都中央区銀座一丁目1番2号に置く

ところで、よくいただく質問として、定款の附則に設立時の本店の所在場所を定めている会社において、本店移転の際にこの設立時の本店の所在場所も変更するのかというものがありますが、変更は不要です。

当該記載はあくまで設立時の本店の所在場所であるためです。

本店の移転と定款の記載

本店移転をするときにどの機関で決議を行うのかは、①取締役会設置会社かどうか、②定款変更が必要かどうかによって決まります。

多くの会社においては、定款に本店の所在地までしか記載していないため、定款に本店の所在地までしか記載していない会社をここでは対象にしています。

取締役会非設置会社の本店移転

取締役会非設置会社において、株主総会は、会社法に規定する事項及び株式会社の組織、運営、管理その他株式会社に関する一切の事項について決議をすることができますので(会社法第295条1項)、本店移転の決議機関は次のように整理することができます。

  • 東京都中央区銀座から東京都港区新橋へ移転
    → 株主総会の決議のみ又は株主総会の決議+取締役の決定
  • 東京都中央区内で移転
    → 株主総会の決議のみ又は取締役の決定のみ

取締役会設置会社の本店移転

取締役会設置会社において、株主総会は、会社法に規定する事項及び定款で定めた事項に限り、決議をすることができますので(会社法第295条2項)、本店移転の決議機関は次のように整理することができます。

原則として、取締役会設置会社の本店移転は次のように決議します。

  • 東京都中央区銀座から東京都港区新橋へ移転
    → 株主総会の決議+取締役会の決議
  • 東京都中央区内で移転
    → 取締役会の決議

定款の変更は株主総会の決議で、移転先の具体的な本店の場所と本店の移転日の決定は取締役会の決議で行うことになります。

株主総会の決議だけで本店移転ができるか

取締役会設置会社において、株主総会の決議のみで本店移転をしたいというニーズがあったときに、これを行うことができるのでしょうか。

以下は、東京法務局の某出張所の回答のため、他の法務局では扱いが異なる可能性もありますが、商業登記ハンドブックや商業登記書式精義も、添付書類として株主総会議事録及び取締役会議事録となっているので(株主総会議事録のみでOKとなっていないので)、そういうことなのでしょう。

2022年5月1日付けで本店を「東京都中央区銀座一丁目1番1号」から「東京都港区新橋一丁目1番1号」に移転する例で見てみます。

株主総会で具体的な本店の場所及び移転日を決定

株主総会の決議で定款一部変更、移転先の具体的な本店の場所及び本店の移転日を決定することはできるでしょうか。

株主総会の議案は次のとおりです。

  • 第1号議案 定款一部変更の件
    (定款の本店の所在地を中央区から港区へ変更)
  • 第2号議案 本店移転の件
    (移転先の具体的な本店の場所及び本店の移転日を決定)

登記申請の添付書類として上記の内容を記した株主総会議事録を添付したとしても、取締役会議事録の添付が別途求められます。

定款で具体的な本店の場所を定める

定款に移転先の具体的な本店の場所を定める方法を用いた場合、株主総会の決議のみで本店移転の決定を行うことができるでしょうか。

株主総会の議案は次のとおりです。

  • 議案 定款一部変更の件
    (当会社の本店は東京都中央区に置く→当会社の本店は東京都港区新橋一丁目1番1号に置く)

この方法でも、取締役会議事録の添付が別途求められます。

定款で具体的な場所を定め、かつ、株主総会で具体的な本店の場所及び移転日を決定

株主総会の議案は次のとおりです。

  • 第1号議案 定款一部変更の件
    (本店を東京都中央区に置く→本店を東京都港区新橋一丁目1番1号に置く)
  • 第2号議案 本店移転の件
    (移転先の具体的な本店の場所及び本店の移転日を決定)

この方法でも、取締役会議事録の添付が別途求められます。

定款で本店の移転先及び移転日に関する決定権を株主総会にも付与

定款に、本店の移転先の住所及び移転日の決定を株主総会の決議において「も」行うことができる旨を定める方法があります。

取締役会設置会社において、株主総会は、会社法に規定する事項及び定款で定めた事項に限り、決議をすることができるからです(会社法295条2項)。

株主総会の議案は次のとおりです。

  • 第1号議案 定款一部変更の件
    (定款の本店の所在地を中央区から港区へ変更+株主総会の権限追加)
  • 第2号議案 本店移転の件
    (移転先の具体的な本店の場所及び本店の移転日を決定)

この方法であれば株主総会のみで本店移転の決議を行うことが可能です。


この記事の著者

司法書士
石川宗徳

代表司法書士・相続診断士 石川宗徳 [Munenori Ishikawa]

1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)

2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。

2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。

また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。

汐留パートナーズ司法書士法人では、
商業登記不動産登記相続手続き遺言成年後見など、
様々なサポートを行っております。


 

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