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代表司法書士 石川宗徳の 所長ブログ&コラム

2024年3月31日以前に契約された税制適格ストックオプションと、令和6年度税制改正ストックオプション税制

令和6年度税制改正ストックオプション税制

IPOを目指すスタートアップでは、税制適格ストックオプションを発行する機会も多いかと思います。

2024年4月1日に施行された令和6年度税制改正に関して、それより前に契約がなされた税制適格ストックオプションに係る契約であっても、2024年12月31日までに下記2点に関して契約の内容を変更した場合は、改正後税制の要件が定められている契約とみなされ、改正後税制のメリットを享受できます。

  1. 年間権利行使価額の限度額の引上げ
  2. 発行会社自身による株式管理スキーム

詳細はこちらの経済産業省の資料をご確認ください。(画像をクリックすると経済産業省の資料が開きます)


(引用元:≫ストックオプション税制(経済産業省)

税制適格ストックオプションに係る税制・税務につきましては、当社(司法書士法人)ではアドバイス等をすることができませんので、税制・税務の詳細は顧問税理士の先生にご確認ください。
契約変更にかかる留意事項、契約変更と税制適格要件

上記に係る契約内容の変更は、一定の要件の範囲内で変更をする必要があります。

契約変更に際して、「税制適格要件とは関係のない契約事項の変更」または「税制適格要件を満たす範囲内での変更」で、変更後の権利行使についても当初の契約に従って行われるものと同様と認められるものについては、原則として、税制適格性は失われません。

なお、「税制適格要件を満たす範囲内での変更」だとしても、経過措置に即した変更を除き、例えば当初契約の行使期間を〈3~8年〉→〈2~10年〉に変更する場合など、当初契約の範囲を超える場合には、当初の契約に従った権利行使とは認められないため、税制適格ストックオプションとして取り扱うことができない点ご留意ください。

【引用元】≫ストックオプション税制改正の経過措置(経済産業省)

ストックオプション税制に係る令和6年度税制改正の概要

以下、税制適格ストックオプションに係る令和6年度税制改正の一部を簡易的に記載しています。2024年3月31日以前に締結したストックオプションに係る契約につき、次の事項を変更して令和6年度税制改正に係る税務メリットを享受するのであれば2024年12月31日までに契約変更をする必要があります。

  1. 年間権利行使価額の限度額の引上げ
  2. 発行会社自身による株式管理スキーム

契約の変更をされる予定の会社は、2024年12月31日までに契約の変更をすることをお勧めします。

また、本件とは関係しませんが、令和6年度及び令和5年度の税制改正では税制適格ストックオプションに関して次の事項についても改正がされています。

  • 【参考】付与対象者の範囲の拡充(社外高度人材の範囲の拡充)
  • 【参考】権利行使期間の延長(令和5年度税制改正)
1. 年間権利行使価額の限度額の引上げ

令和6年度税制改正において、次のとおりストックオプションについて年間の権利行使価額の限度額の引上げがありました。

対象会社
年間権利行使価額の限度額
改正前
上限1,200万円/年
設立の日以後の期間が5年未満の株式会社
上限2,400万円/年
設立の日以後の期間が5年以上20年未満の株式会社のうち、非上場会社又は上場の日以後の期間が5年未満の上場会社
上限3,600万円/年

2. 発行会社自身による株式管理スキーム

譲渡制限株式について、発行会社による株式の管理がされる場合には、証券会社等による株式の保管委託に代えて発行会社による株式の管理も可能となりました。

≫発行会社自身による株式管理スキーム(経済産業省)

【参考】付与対象者の範囲の拡充(社外高度人材の範囲の拡充)

ストックオプション税制の要件の一つとして付与対象者の範囲がありますが、令和6年度税制改正において、そのうち社外高度人材の範囲が拡充されました。

≫社外高度人材に対するストックオプション税制(経済産業省)

<付与対象者の範囲>
発行会社及びその子会社の取締役、執行役及び使用人並びに一定の要件を満たす社外高度人材

【参考】権利行使期間の延長

令和5年度税制改正において、一部の株式会社を対象に権利行使期間が延長されています。

対象会社
行使期間
設立から5年未満の非上場会社付与決議日後2年を経過した日から付与決議日後15年を経過する日まで
上記以外の株式会社付与決議日後2年を経過した日から付与決議日後10年を経過する日まで


この記事の著者

司法書士
石川宗徳

代表司法書士・相続診断士 石川宗徳 [Munenori Ishikawa]

1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)

2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。

2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。

また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。

RSM汐留パートナーズ司法書士法人では、
商業登記不動産登記相続手続き遺言成年後見など、
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