商業登記関係 代表取締役の辞任届に押す印鑑
代表取締役の辞任
代表取締役がその地位を辞任するとき、または代表取締役の地位の前提となる取締役を辞任するときは、その登記の添付書類として辞任届が必要となります。
辞任をする代表取締役が法務局へ印鑑を届け出ている代表取締役である場合、商業登記規則が改正される前は当該辞任届に押す印鑑は認印でも何でもOKでしたが、商業登記規則が改正されてからは当該辞任届に押す印鑑は会社実印(代表取締役が法務局に届け出ている印鑑をいいます。以下同じ)または当該辞任届を提出する代表取締役の個人実印でなければならなくなりました。
代表取締役の地位のみの辞任については、こちらの記事をご参照ください。
対象は印鑑を届け出ている代表取締役
代表取締役の辞任届に会社実印または個人実印が必要となるケースは、法務局に印鑑を届け出ている代表取締役が辞任をするときです。
例えば代表取締役AB、印鑑届出者はAというケースで、代表取締役Bが代表取締役の地位を辞任するときは、その辞任届に個人実印での押印は不要です(Bは印鑑を届け出ていないためBの会社実印はありません)。また、代表取締役Bの辞任届に代表取締役Aの会社実印を押印する必要はありません。
辞任届には会社実印
代表取締役XY、印鑑届出者XYというケースでは、Xが代表取締役の地位を辞任をするときはその辞任届にはXが法務局に届け出ている印鑑を押印します(Yが法務局に届け出ている印鑑を押印しても、法務局へ辞任届の再提出が必要となってしまいます)。
個人実印を押す場合は印鑑証明書が必要
印鑑を届け出ている代表取締役が辞任をするときは、その辞任届に押す印鑑について、会社実印以外にも個人実印を押すことも可能です。
辞任届に個人実印を押印した場合は、その個人実印にかかる印鑑登録証明書の添付が必要となります。
代表取締役が外国人である場合
印鑑を届け出ている代表取締役が外国人で、その辞任届に会社実印を押印せずにサインをしている場合は、当該サインが本人のものであることについての本国官憲の作成した証明書(サイン証明書)の添付が必要となります。
代表取締役が外国人であるときも、辞任届に会社実印を押印するのであれば、サインやサイン証明書は不要です。
この記事の著者
司法書士
石川宗徳
1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)
2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。
2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。
また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。