商業登記関係 司法書士が株式会社の定款の条文を解説します(株主総会の議長編)
定款の条文の内容を解説します。
会社法が施行されてから株式会社の設立も容易になり、また現在は色々なサイトで株式会社の設立に関する情報が溢れているため、起業される方自身で株式会社設立の手続きをされるケースも少なくありません。
しかし、インターネット上にある定款の内容の一部、あるいは全部をよく理解せずにそのまま利用している方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで、会社設立後にこんなはずではなかった、、、という方が一人でも少なくなるように、日本公証人連合会のホームページに掲載されている
1 小規模な会社(Small-Sized Company)
株式が非公開で、取締役が1名のみの小規模な株式会社の定款記載例であり、定款の内容も簡潔なものを紹介しています。
起業者の方が小規模な会社からスタートしたいと考える場合に、定款ドラフトの作成に当たって、参考にされる一つの定款記載例です。≫定款等記載例(Examples of Articles of Incorporation etc)【日本公証人連合会】
を基に、定款の各条文の内容について解説をしていきたいと思います。
ビジネスに専念したい方
一方で、会社設立の手続きは初めて行う方には時間がかかる上に、一生のうちにその知識を何度も使うわけではありません。
会社設立の手続きは専門家に任せて自分のビジネスに集中したい方は、こちらのページをご参照ください。
≫株式会社設立サービス
≫合同会社設立サービス
株主総会の議長に関する条文
第13条 株主総会の議長は、取締役がこれに当たる。
2 取締役に事故があるときは、当該株主総会で議長を選出する。
この規定は必ず株式会社の定款に定めなければならない事項ではありませんが、多くの会社の定款には定められています。
株主総会の議長
株主総会の進行は議長が行います。
加えて、議長の命令に従わない者や、株主総会の秩序を乱す者を退場させることができるという権限も持っています(会社法第315条2項)。
議長が誰になるのかは、どのように決めるのでしょうか。
先に決めておく
定款であらかじめ議長を定めておく会社が多いのではないでしょうか。
上記定款記載例は、取締役1名の株式会社であるため「取締役」が議長になると定めています。1名しかいないので、議長が誰か特定できるためです。
一方で、取締役が複数いる場合や、これから取締役を増やす予定がある会社であれば、議長を「(代表)取締役社長」等とすることも一案です。
加えて、取締役社長に事故がある場合に備えて「(代表)取締役社長に事故、もしくは支障があるときは、取締役の過半数の決定によってあらかじめ定めた順序に従い、他の取締役がこれに代わる。」等と定めておくと、運営がスムーズとなるでしょう。
株主総会で決める
定款で議長が定められていないとき、あるいは定款で議長は定められているけれども議長が不在のときは、株主総会の冒頭で議長を決めることになります。
推薦、指名、立候補等により、その場にいる誰かが議長になるのでしょう。
株主が議長となることも可能です。
この記事の著者
司法書士
石川宗徳
1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)
2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。
2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。
また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。