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代表司法書士・相続診断士 石川宗徳の 所長ブログ&コラム

新株予約権の発行時、各引受人にお互いの氏名や新株予約権の割当数を知られたくない

募集新株予約権の発行と新株予約権者の氏名

従業員へのストックオプション(新株予約権)を発行するときに、当該新株予約権の引受人である従業員へ、各引受人の氏名や新株予約権の割当数を知られないように手続きを行いたい、というニーズがあったとします。

このようなことは可能なのでしょうか。

引受人は取締役ではないという前提の下、まずは株主以外へ新株予約権を割り当てる場合を考えてみます。

ここでの株主以外へ新株予約権を割り当てる場合とは、第三者割当による募集新株予約権の発行のうち、株主以外の者に割り当てることをいいます。

総数引受契約方式

募集新株予約権の発行手続きを総数引受契約の方法で行うと、当該募集新株予約権の引受人は、他の引受人の氏名や引き受ける新株予約権の個数が分かります。

一つの募集新株予約権の発行において引受人が複数となるときは、総数引受契約が同一の機会にされた一体的なものと評価できる内容であることが求められているためです。

1,000個の新株予約権を発行するときに、ABCはAが500個、Bが300個、Cが200個引き受けることを理解した上で(自分が引き受ける個数だけを理解するのではなく、他の引受人の内容を把握した上で)、発行会社とそれぞれ契約をします。

申込み+割当て方式

募集新株予約権の発行手続きを申込み+割当て方式で行うと、各申込人は他の申込人の情報を得ることができません。

申込みをするときだけではなく、割当てを受け、新株予約権を引き受けるときも同様です。

新株予約権の割当ては、株主総会の決議(取締役会非設置会社)または取締役会の決議ですので、引受人が株主でも取締役でもなければ、誰に何個割り当てるのかを引受人が知ることはできません。

株主が新株予約権を引き受ける場合

ここでの株主が新株予約権を引き受ける場合とは、株主割当による募集新株予約権の発行(会社法第241条)に加えて、第三者割当による募集新株予約権の発行で株主へ割り当てるケースも含みます。

株主割当による募集新株予約権の発行

株主割当による募集新株予約権の発行は、各株主の持株比率に応じて新株予約権を割り当てるので、他の引受人及び割り当てる新株予約権の数が分かることになります。

第三者割当による募集新株予約権の発行

第三者割当による募集新株予約権の発行において、株主がその引受人となる場合はどうでしょうか。

上記のとおり総数引受契約の方式では、引受人は他の引受人の情報を知ることができます。

申込み+割当ての方式で、かつ、割当ての決議を取締役会で行う場合は、誰に何個割り当てるのかを引受人が知ることはできません。

引受人に他の引受人の情報を知られない方法

募集新株予約権の発行を申込み+割当て方式で行い、

  1. 引受人が株主ではない場合
  2. 引受人が株主だが取締役会設置会社である場合

は、引受人が他の引受人の情報を得ることはできなさそうです。

1人に対して1種類の新株予約権を発行することもできますが現実的ではないかもしれません。

なお、下記新株予約権原簿参照。

新株予約権原簿

株式会社は、新株予約権を発行した日以後遅滞なく、新株予約権原簿を作成しなければなりません(会社法第249条)。

新株予約権原簿には、「新株予約権者の氏名及び住所」や「各新株予約権者の有する新株予約権の内容及び数」その他を記載します。

≫新株予約権原簿の記載内容

新株予約権原簿の閲覧

株主及び債権者は、株式会社の営業時間内はいつでも、請求の理由を明らかにして、新株予約権原簿を閲覧することができます(会社法第252条2項)。

そして、新株予約権者は会社法第252条2項の「債権者」に該当するとされているため、新株予約権原簿の閲覧を請求することができます。

募集新株予約権の発行手続きにおいて、引受人同士でお互いの情報を知られることなく済ませることができても、新株予約権原簿を閲覧されると知られることになってしまいます。


この記事の著者

司法書士/相続診断士
石川宗徳

代表司法書士・相続診断士 石川宗徳 [Munenori Ishikawa]

1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士・相続診断士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)

2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。

2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。

また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。

汐留司法書士事務所では、
商業登記不動産登記相続手続き遺言成年後見など、
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