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代表司法書士 石川宗徳の 所長ブログ&コラム

会員を広く募る一般社団法人は、社員と会員を定款で明確に分けておく

一般社団法人と会員ビジネス

いわゆる会員ビジネスや協会ビジネスを行う場合は、一般社団法人が利用されるケースがあります。

会員ビジネスをしている一般社団法人は、会員を広く募って、入会金や年会費を会員から徴収し、それを一般社団法人の運営費に充てたり会員へサービスを提供するビジネスモデルが一般的ではないでしょうか。

会員ビジネス自体は一般社団法人に限られた制度ではなく、個人事業主でも株式会社でも合同会社でも行うことができます。

しかし、個人事業主で行うより法人で行った方が信用度が高くなる(と思われる)傾向があり、また法人で契約をしたり法人口座を持てるということはビジネスを行っていく上で便利である面があります。

また、主に会員に対するサービスを行う法人としては、株式会社や合同会社よりもイメージが良いかもしれません(一般社団法人も営利目的で事業を行うことが可能です)。

一定条件を満たした一般社団法人は、非営利型の一般社団法人となり得る点もメリットと考える方もいるでしょう。

一般社団法人の社員とは

一般社団法人の「社員」の法律上の意味は、当該一般社団法人の従業員を指すものではありません。

一般社団法人の社員とは、当該一般社団法人の構成員であり、社員総会の決議事項について議決権を有しています。その議決権の行使を通じて一般社団法人の運営に参加することができます。

株式会社の株主をイメージすると分かりやすいでしょう。

社員総会で議決権を行使することができるということは、理事を選任、解任することができたり、あるいは定款の内容を変更したりすることができるため、社員には大きな権限があると言えます。

それらを踏まえた上で一般社団法人の構成を検討し、場合によっては社員はむやみに増やすのではなく、コアメンバーに限った方が運営がスムーズにいくことも少なくないでしょう。

NPO法人と異なり、社員に一定の条件(理事会の承認等)を付けることができる点も一般社団法人の特徴の一つです。

一般社団法人の会員とは

一般社団法人の「会員」とは、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(以下、「一般法人法」といいます)上の用語ではありません。

会員は当該一般社団法人が任意的に置いている仕組みで、会員という名称に限られませんので、その名称はメンバーでも何でもいいのですが、会員が分かりやすく一般的な用いられているためか、どの一般社団法人においても会員が用いられています。

会員になる方法や、会員ができること(権利)や会員がしなければならないこと(義務)は、当該一般社団法人の定款や会員規約等によって定めることになります。

社員と会員を定款で区別する

一般法人法上の社員と会員は区別することができます。

会員制度を設けるということは、広く会員を募っていくことが多いかと思いますので、会員全員に社員総会における議決権を持たせてしまうと社員の管理が大変です。

また、会員全員に議決権を持たせてしまうと、立ち上げメンバーの議決権割合が薄まっていきますので、当初の思いとは別の方向へ一般社団法人が進んでいくことになってしまうかもしれません。

会員に議決権を与えるかどうか

会員に議決権を与えるかどうかは、一般社団法人の設立時に検討しておいた方がいいでしょう。会員に議決権を与える、とは会員を一般法人法上の社員とすることを意味します。

会員制度は設けるけれども会員には議決権を与えないという設計も考えられますし、会員を3種類設けてその内の1種類についてのみ議決権を与えるという設計も考えられます。

なお、設立後も社員総会の決議によって定款を変更することも可能です。

社員と会員を区別する定款記載例

会員を3種類(正会員、賛助会員、名誉会員)設けて、その内正会員を一般法人法上の社員とする場合の定款記載例は次のとおりです。

正会員、賛助会員、名誉会員という名称は任意に付けているものですので、自由に設定することができます(一般会員、特別会員、法人会員等でもいいです)。

(会員の構成)
第5条 この法人の会員は、次の3種とし、正会員をもって一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(以下「一般法人法」という。)上の社員とする。
  (1) 正会員  この法人の目的に賛同して入会した個人又は団体
  (2) 賛助会員 この法人の事業を賛助するために入会した個人又は団体
  (3) 名誉会員 この法人に功労のあった者又は学識経験者で社員総会において推薦された者

≫公証役場HPからの抜粋

社員と会員を分け、会員は社員ではないとする場合は次のような記載が考えられます。

(社員及び会員の構成)
第5条 この法人の構成員は社員及び会員とし、社員をもって一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(以下「一般法人法」という。)上の社員とする。
  2 この法人の会員は次の3種類とする。
  (1) 正会員  この法人の目的に賛同して入会した個人又は団体
  (2) 賛助会員 この法人の事業を賛助するために入会した個人又は団体
  (3) 名誉会員 この法人に功労のあった者又は学識経験者で社員総会において推薦された者

会員の入会金や年会費、その他特典や義務等については、別途会員規約等で定めることが一般的です。


この記事の著者

司法書士
石川宗徳

代表司法書士・相続診断士 石川宗徳 [Munenori Ishikawa]

1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)

2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。

2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。

また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。

RSM汐留パートナーズ司法書士法人では、
商業登記不動産登記相続手続き遺言成年後見など、
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