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代表司法書士 石川宗徳の 所長ブログ&コラム

公開会社が株式の全部に譲渡制限を設けて非公開会社になる手続きと登記

公開会社の株式全てに譲渡制限を設定する

公開会社とは、その発行する全部又は一部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設けていない株式会社のことをいいます(会社法第2条)。

譲渡制限の付いていない株式を1株でも発行できるように定款で定められている会社は、当該株式を実際に発行しているかどうかに関わらず公開会社となります。

公開会社が非公開会社になるには、全ての株式について譲渡制限を設ける方法によって行います。

非公開会社になる理由

公開会社から非公開会社に移行する理由としては、次のようなものが考えられます。

  • 知らない第三者に株式が渡ると困る状況になった
  • 取締役会を廃止したい
  • 監査役を廃止したい、監査役の監査権限を会計に関するものに限定したい
  • 役員の任期を伸長したい
株式の譲渡制限の設定手続き

全ての株式に、新たに譲渡制限を設定するには次の手続きが必要です。

株券発行会社かどうか、株券発行会社であっても実際に株券を発行しているかどうかによって手続きは変わってきます。

  • 株主総会の決議(特殊決議)
  • 株券等提出公告及び株主への通知(効力発生日の1ヶ月前まで)
  • 反対株主への通知(効力発生日の前日の20日前まで)
  • 登記申請(効力発生日から2週間以内)

「株券等提出公告及び株主への通知」は、株券発行会社であって実際に株券を発行している会社のみ必要な手続きです。

株券発行会社で、実際に株券を発行していると公告等の手続きが面倒なため、株券不所持の申出(会社法第217条)を利用する等して株券を実際に発行していない状態にしてから手続きをするとスムーズに非公開会社へ移行することができます。

公開会社が非公開会社となる手続きのスケジュール例

公開会社が非公開会社となる手続きのスケジュール例は次のとおりです。会社の公告方法が官報であることを前提としています。

■株券発行会社で、実際に株券を発行している会社のケース

日程
株式会社の手続き

7月1日
取締役会の決議(定款変更の承認、株主総会の招集決定)

官報へ株券等提出公告の申込み

7月9日
株主総会の招集通知の発送

※株主への通知(会社法第116条の通知、株券提出の通知)も盛り込む
7月10日
株券等提出公告が掲載(官報)

8月15日
株主総会の決議

株式譲渡制限の設定に関する定款変更の効力発生
8月15日以降
登記申請(2週間以内)

■株券発行会社で、実際に株券を発行していない会社及び株券不発行会社のケース
日程
株式会社の手続き
7月1日
取締役会の決議(定款変更の承認、株主総会の招集決定)

7月1日
株主総会の招集通知の発送

※株主への会社法第116条の通知も盛り込む

7月25日
株主総会の決議

株式譲渡制限の設定に関する定款変更の効力発生
7月25日以降
登記申請(2週間以内)

株主総会の決議(特殊決議)

その発行する全部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について当該株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設ける定款の変更を行う株主総会の決議は、特殊決議の要件を満たす必要があります(会社法第309条3項)。

この場合の特殊決議の要件は、当該株主総会において議決権を行使することができる株主の半数以上(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合以上)であって、当該株主の議決権の3分の2(これを上回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上に当たる多数の賛成です。 

株券等提出公告及び株主への通知

株式に譲渡制限を設定するときは、効力発生日までに当該株券発行会社に対し株券を提出しなければならない旨を効力発生日の1ヶ月月前までに、公告し、かつ、当該株式の株主及びその登録株式質権者には、各別にこれを通知しなければなりません(会社法第219条1項)。

公告かつ通知となっておりますので、両方を行う必要があります。

ただし、当該株式の全部について株券を発行していない場合は、この手続きは不要です。

株券等提出公告の掲載例は次のとおりです。

株式譲渡制限設定につき株券提出公告
 当社は、定款を変更して譲渡による株式の取得につき取締役会の承認を要する旨の定めを設けることにいたしましたので、当社の株券を所有する方は、株券提出日である平成三十年十一月一日までに当社にご提出下さい。
 平成三十年九月十九日
  東京都中央区銀座七丁目一三番八号
  汐留太郎株式会社 
  代表取締役 汐留 太郎
各株主への通知

会社が発行する株式に譲渡制限を設定するときは、その効力を生ずる日の20日前までに、譲渡制限を設定する株式の株主に対し、当該行為をする旨を通知しなければなりません(会社法第116条3項)。

この通知は、招集通知の内容に盛り込んでしまうことにより、株主への送付物を1回で済ませることができます。

この場合、株主総会の招集通知の発送期間(2週間)よりも早く(20日前)発送する点に注意が必要です。

譲渡制限を設定する旨の通知は、公告をすることによってこれに代えることができます(会社法第116条4項)。

効力の発生

株主総会の決議によって定められた効力発生日に、定款変更の効力が発生し、株式の全てに譲渡制限が設定されます。

効力発生日までに株券に関する手続きと反対株主への通知が終わっていることが効力発生の条件です。

登記申請

効力発生してから2週間以内に、株式の譲渡制限に関する規定の設定登記を申請します。

この登記の添付書類の一例は次のとおりです。

  • 株主総会議事録
  • 株主リスト
  • 株券等提出公告をした官報または株券を発行していないことの証明書

この登記の登録免許税は3万円です。

株券の廃止手続きを同時にする

会社法が施行された以降、会社の登記簿においては株券不発行が原則とされていて、また新しく設立される株式会社の多くは株券不発行会社です。

株券発行会社が株券不発行会社へ移行する例も多いです。

公開会社から非公開会社へ移行するときに併せて、株券不発行会社とする会社も少なくありません。

株券の廃止手続きも同時にされたい方は、当事務所へお気軽にご相談ください。

≫株券の廃止と登記手続き


この記事の著者

司法書士
石川宗徳

代表司法書士・相続診断士 石川宗徳 [Munenori Ishikawa]

1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)

2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。

2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。

また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。

汐留パートナーズ司法書士法人では、
商業登記不動産登記相続手続き遺言成年後見など、
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