商業登記関係 合同会社の商号(会社名)変更手続きと登録免許税
合同会社の商号の変更
合同会社は設立するときに商号(会社名のことです)を必ず定めなければならず、商号は登記事項とされていますので登記簿にも記載されています。
商号の付け方には一定のルールがあり、当該ルールについてはこちらの記事をご参照ください。
合同会社のは会社設立後も変更することができ、変更したときはその変更登記をしなければなりません。
商号を変更する方法
合同会社の商号は定款の記載事項ですので、商号を変更するときは、定款に別段の定めがある場合を除き、総社員の同意によって定款の商号に関する規定を変更します(会社法第637条)。
定款に「当会社の定款は、代表社員全員の同意によって変更する。」等とあれば、代表社員の全員の同意によって変更することになります。
合同会社の商号は登記事項ですので、会社の商号を変更したときは、その効力発生日から2週間以内に、その旨の変更登記を法務局へ申請します。
総社員が一堂に会する必要があるか
合同会社の総社員の同意については、株式会社の株主総会や一般社団法人の社員総会のように「会」を開催する必要はなく、総社員全員がそれぞれ個別に同意をすれば問題はありません。
もちろん、社員全員が一堂に会して話し合いをし、その場で社員全員が同意をするという方法でもOKです。
なお、商号変更にかかる登記申請の添付書類に総社員の同意書が必要となるため、当該書類に社員全員の押印が必要となります。
変更後の商号が分かるように記載する
総社員の同意書には、変更後の商号が分かるように記載しておく必要があり、具体的には次の3つの方法がよくあるパターンです。
変更後の商号を直接記載する方法
当会社の定款第1条を次のとおり変更すること。
新旧対照表を記載する方法
当会社の定款第1条を次のとおり変更すること。
(商号) 第1条 当会社は、ABC合同会社と称する。 | (商号) 第1条 当会社は、XYZ合同会社と称する。 |
別紙定款の記載のとおりとする方法
当会社の定款を別紙のとおり変更すること。
この場合は、変更後の定款を合綴+割印をするか、独立した定款に原本証明+会社実印を押印します。
商号の英語表記を追加する
定款で商号の英文表示を定めている会社も少なくありません。
「当会社は、XYZ合同会社と称する。」と定款にある会社が「当会社は、XYZ合同会社と称する。英文ではXYZ LLC.と表示する。」と変更するには、総社員の同意等によって定款変更を行います。
なお、英文表示は登記事項ではありませんので、単に定款を変更して英文表示を追加しただけの場合は変更登記の申請は不要です。
商号変更登記に必要な書類
総社員の同意によって商号を変更したときの、登記申請の添付書類は次のとおりです。
- 総社員の同意書
- 定款(同意書で変更内容が分かる場合は不要)
代表社員全員の同意によって商号を変更したときの、登記申請の添付書類は次のとおりです。
- 代表社員全員の同意書
- 定款(代表社員の同意によって定款を変更することができることを証するため)
商号変更登記の登録免許税は3万円です。
会社実印も変更するときは、その届出が必要
ABC合同会社が商号を変更してその商号をXYZ合同会社にしたときは、会社実印も併せて変更するケースがほとんどかと思います(ABC合同会社と彫られている印鑑をXYZ合同会社と彫られている印鑑に変更する)。
商号の変更登記をすれば自動的に会社実印が新しい商号のものに変わるわけではなく、会社の実印を変更した旨の届出(印鑑(改印)届書)を法務局にすることにより、会社実印も新しい商号のものに変わることになります。
通常、商号変更登記の申請と同時に、新しい会社実印への改印の届出も行います。
この改印届には、会社実印の提出者たる代表社員の個人印鑑登録証明書(発行後3ヶ月以内のもの)を添付しなければなりません。
会社実印の改印(変更)は必ず行わなければならないという決まりはなく、変更前の商号(上記例ではABC合同会社)の会社実印のままでも法律上は問題ありません。
しかし、商取引上、ABC合同会社の印鑑のままでは不都合が生じることも想定されるため、新しい商号の会社実印へ改印されるかどうかを毎回確認させていただいております。
この記事の著者
司法書士
石川宗徳
1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)
2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。
2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。
また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。