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代表司法書士 石川宗徳の 所長ブログ&コラム

合同会社の社員のうち1名が後見開始の審判を受けたときはどうなるか

合同会社の社員の退社事由

合同会社の社員は、一定の事由が生じたときに退社することとされており、その法定退社事由の一部は次のとおりです(会社法第607条1項)。

  1. 定款で定めた事由の発生
  2. 総社員の同意
  3. 死亡
  4. 当該合同会社が消滅会社となる合併
  5. 破産手続開始の決定
  6. 解散
  7. 後見開始の審判を受けたこと
  8. 除名
後見開始の審判と退社

認知症等によって判断能力を欠く常況にある人は、家庭裁判所にその審判の申立てをする方法によって、成年後見制度を利用することができます。

成年後見の申立てを家庭裁判所にして、後見開始の審判を受けた社員は、定款に別段の定めのない限り、合同会社の社員を退社します。

社員が、単に認知症等によって意思能力が欠く常況になっただけでは退社せず、後見開始の審判を受けて初めて退社することになります。

後見開始の審判を受けても退社しないケース

合同会社は定款で、後見開始の審判を受けた社員が退社しない旨を定款で定めることができます(会社法第607条2項)。

定款にこの定めのある合同会社の社員が後見開始の審判を受けたとしても、当該社員はそれをもって退社はしません。

この場合、社員としての意思表示等については成年後見人が行うことになりますが、成年後見人が会社の運営に関与することまで想定していないケースが多く、この定款の定めのある合同会社は少ないでしょう。

社員の退社と払戻し

合同会社の社員が退社をするときは、退社をする社員は持分の払戻しを受けることができます(会社法第611条1項)。

持分の払戻しは、退社の時における持分会社の財産の状況に従ってしなければなりませんので(会社法第611条2項)、出資時よりも会社が成長してれば、その分払戻しの金額も大きくなる可能性があります。

持分の払戻しについては、こちらの記事をご参照ください。

≫合同会社の社員が退社をするときの持分の払戻しと退社手続き

唯一の社員の退社と解散

社員が1名の合同会社において、当該唯一の社員が後見開始の審判を受けたときは、定款に別段の定めのない限り、この合同会社は解散します(会社法第641条4号)。

この場合の清算人は誰になるでしょうか。

清算人は業務を執行する社員、定款で定める人、社員の過半数の同意によって定める人(会社法第647条1項)のいずれかになりますが、社員は退社していなくなっています。

定款に清算人の定めがあればその人が清算人になりますが、定款に清算人の定めがない合同会社清算人がいないという状況になるでしょう。

清算人のいない合同会社では、裁判所が、利害関係人の申立てにより、清算人を選任することが可能ですので、この制度を利用することになります(会社法第647条2項)。

社員の退社と登記手続き

社員が後見開始の審判を受けて退社をしたときに、次の事項が生じたときはその変更登記の申請をしなければなりません。

  • 退社をした社員が業務執行社員であった
  • 持分の払戻しによって資本金が減少した
  • 社員が欠けたことにより解散した

これら全てが生じないようであれば、登記手続きは不要です。


この記事の著者

司法書士
石川宗徳

代表司法書士・相続診断士 石川宗徳 [Munenori Ishikawa]

1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)

2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。

2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。

また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。

RSM汐留パートナーズ司法書士法人では、
商業登記不動産登記相続手続き遺言成年後見など、
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