会社設立・商業登記・不動産登記等は東京都港区の【RSM汐留パートナーズ司法書士法人】- 法人設立代行・創業支援

代表司法書士 石川宗徳の 所長ブログ&コラム

合同会社×合同会社の吸収合併の手続きと登記

吸収合併

吸収合併とは、会社が他の会社とする合併であって、合併により消滅する会社の権利義務の全部を合併後存続する会社に承継させるものをいいます(会社法第2条)。

合併後に存続する会社を存続会社といい、合併により消滅する会社を消滅会社といいます。

合同会社は、存続会社にも消滅会社にもなることができますので、合同会社同士で吸収合併を行うこともできます。

≫組織再編(合併、分割、株式交換、株式移転)をすることができる会社形態一覧

吸収合併のスケジュール

合同会社同士で吸収合併をするときに、4月1日を効力発生日とするスケジュール例は次のとおりです。

日程
存続会社
消滅会社
1月中旬合併の準備
(合併契約内容、債権者の確認等)
合併の準備
(合併契約内容、債権者の確認等)
2月1日業務執行社員の決定
(合併契約承認)

官報公告の申込み
業務執行社員の決定
(合併契約承認)

官報公告の申込み
2月10日合併契約の締結合併契約の締結
2月25日官報に合併公告が掲載

債権者への個別催告
官報に合併公告が掲載

債権者への個別催告
3月25日総社員の同意(合併契約承認)

債権者異議申述期間満了
総社員の同意(合併契約承認)

債権者異議申述期間満了
4月1日合併の効力発生合併の効力発生
4月1日以降合併の登記申請(2週間以内)合併の登記申請(2週間以内)

吸収合併の一般的な手続き

吸収合併の一般的な手続きは次のとおりです。

ここでは、会社法や登記に関する手続きを挙げていますので、税務、労務、保険、特許、商標、許認可に関する変更手続きには触れていません。

  1. 吸収合併の内容決定
  2. 吸収合併の承認
  3. 債権者保護手続き
  4. 登記申請
吸収合併の内容決定

吸収合併の内容をを決定します。

効力発生日、消滅会社の社員に交付する対価、効力発生日後の業務執行社員や代表社員、増加する資本金等の額、合併時に存続会社の目的を追加するか、消滅会社を支店として残すか、それらに伴う手続きは何か等、がよくある検討事項です。

吸収合併契約の締結

吸収合併をする会社は、合併契約の締結が必須です(会社法第748条)。

合併契約書には最低限、次の事項を定める必要があります(会社法第751条)。

  • 存続会社及び消滅会社の商号及び住所
  • 消滅会社の社員が存続会社の社員となるときは、当該社員の氏名又は名称及び住所並びに出資の価額
  • 存続会社が吸収合併に際して消滅会社の社員に対してその持分に代わる金銭等を交付するときは、当該金銭等に関する事項
  • 効力発生日
官報公告

存続会社及び消滅会社はそれぞれの会社の債権者保護のために、官報によって次の事項を公告します(会社法第789条2項、第799条2項)。

  1. 吸収合併をする旨
  2. 存続会社の商号及び住所
  3. 消滅会社の商号及び住所
  4. 債権者が一定の期間内に異議を述べることができる旨

これは会社の公告方法として、日刊新聞紙や電子公告と定めている場合も、官報公告は必ずしなければなりません。

株式会社の債権者保護手続きと異なり、合同会社の場合は最終の貸借対照表の要旨の掲載は不要です。

合併公告
 左記会社は合併して甲は乙の権利義務全部を承継して存続し乙は解散することにいたしました。
 この合併に対し異議のある債権者は、本公告掲載の翌日から一箇月以内にお申し出下さい。
 東京都中央区銀座七丁目13番8号
(甲)ABC合同会社 
 代表社員 汐留一郎 
 東京都中央区銀座七丁目13番8号
(乙)XYZ合同会社 
 代表社員 汐留花子
債権者への個別催告

吸収合併の債権者保護手続きにおいて、官報公告と併せて、知れている債権者がいるときは、当該債権者へ各別に催告することも必要とされています。

この知れている債権者への各別の催告は、定款で公告方法を日刊新聞紙や電子公告と定めているときは、官報公告に加えて定款の公告方法による公告を行うことにより省略することができます。

公告方法が官報である会社は、知れている債権者への各別の催告を省略をするこできません。

そのため、知れている債権者への各別の催告を省略するために、公告方法の変更及びその登記を先行する会社もあります。

≫いわゆるダブル(二重)公告

総社員の同意

吸収合併をする合同会社は、効力発生日の前日までに、定款に別段の定めがある場合を除き、吸収合併契約について当該合同会社の総社員の同意を得なければなりません(会社法第793条1項、第802条1項)。

吸収合併の効力発生

吸収合併においては、登記が効力発生要件ではないため、吸収合併契約において効力発生日と定めた日に吸収合併の効力が発生します。

そのため、効力発生日として法務局が開いていない土日祝日を定めることも可能です。

吸収合併の登記申請

吸収合併の登記は、効力発生日から2週間以内に、存続会社の変更登記と消滅会社の解散登記を連件でしなければなりません。

【存続会社にかかる登記申請添付書類(一例)】

  • 吸収合併契約書
  • 合併契約を承認した総社員の同意書(存続会社・消滅会社)
  • 債権者保護手続き関係書面
  • 消滅会社の登記事項証明書(存続会社と管轄法務局が異なる場合)
  • 資本金の計上証明書

【消滅会社にかかる登記申請添付書類】
不要


この記事の著者

司法書士
石川宗徳

代表司法書士・相続診断士 石川宗徳 [Munenori Ishikawa]

1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)

2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。

2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。

また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。

RSM汐留パートナーズ司法書士法人では、
商業登記不動産登記相続手続き遺言成年後見など、
様々なサポートを行っております。


ご相談・お問い合わせは
こちらからどうぞ

お見積りは無料です。

   

〒105-7133 東京都港区東新橋一丁目5番2号 汐留シティセンター33階