商業登記関係 組織再編(合併、分割、株式交換、株式移転)をすることができる会社形態一覧
組織再編と会社形態
組織再編は必ずしも全ての会社が当事者となって行うことができるわけではありません。
例えば、株式交換の完全子会社はその株式を全て完全親会社に交付しますので、株式交換の完全子会社は「株式会社」でなければならないとされています。
組織再編行為とは、次の6つの行為のことを指します。
- 吸収合併
- 新設合併
- 吸収分割
- 新設分割
- 株式交換
- 株式移転
会社とは
会社法上、会社とは次の4つのことを指します(会社法第2条1号)。
- 株式会社
- 合名会社
- 合資会社
- 合同会社
この4つに加えて、会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律第2条1項により株式会社として存続するものとされる「特例有限会社」も会社の一つになりますが、同法により株式会社とは異なる扱いを受けることがありますので、株式会社とは分けて考えます。
吸収合併、新設合併
吸収合併、新設合併を行うことができる会社形態は次のとおりです。
特例有限会社を新たに設立することはできないため、特例有限会社は新設合併の新設会社になることはできません。
(新設会社) |
||
---|---|---|
吸収合併、新設合併の手続きについては次の記事をご参照ください。
≫吸収合併の手続き
≫新設合併の手続き
吸収分割、新設分割
合名会社、合資会社は分割会社となることができません。これらの会社が吸収分割、新設分割を行うには前提として組織変更をすることになります。
特例有限会社を新たに設立することはできないため、特例有限会社は新設分割の新設会社になることはできません。
(新設会社) |
||
---|---|---|
吸収分割、新設分割の手続きについては次の記事をご参照ください。
≫吸収分割の手続き
≫新設分割の手続き
株式交換
株式交換は完全子会社の株式を完全親会社に取得させる手続きですので、完全子会社は株式会社のみです。
特例有限会社も株式を発行していますが、完全子会社になることはできず、完全子会社(あるいは完全親会社)となるには組織変更をして株式会社になる必要があります。
持分会社のうち、合同会社のみ株式交換の完全親会社になることができます。
株式交換の手続きについては次の記事をご参照ください。
≫株式交換の手続き
株式移転
株式移転の当時会社には、株式会社しかなることができません。
特例有限会社も株式を発行していますが、完全子会社になることはできず、完全子会社となるには組織変更をして株式会社になる必要があります。
株式移転の手続きについては次の記事をご参照ください。
≫株式移転の手続き
組織変更
株式会社が持分会社(合名会社、合資会社、合同会社)になること、あるいは持分会社が株式会社となることを組織変更といいます。
組織変更においては、株式会社から合名会社になることはできない、合資会社から株式会社になることはできない、ということはありません。
株式会社は全ての種類の持分会社になることができ、また全ての種類の持分会社は株式会社になることが可能です。
なお、持分会社から持分会社への変更(例えば、合名会社から合同会社への変更)することもできます。この行為は、組織変更ではなく種類変更等と呼ばれています。
この記事の著者
司法書士
石川宗徳
1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)
2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。
2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。
また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。