商業登記関係 株式会社が会計参与を設置する方法とその登記手続き
会計参与とは
会計参与とは、取締役と共同して、計算書類等を作成する株式会社の機関であり(会社法第374条1項)、株式会社は任意に設置することができます。
会計参与は、会計参与報告等備置場所として会計参与設置会社の本店又は支店と異なる場所を定めなければならないとされています(会社法施行規則第103条3項)。
取締役会設置会社は監査役を設置しなければならないところ、非公開会社で会計参与を置いている株式会社においては、監査役の設置義務はありません(会社法第327条2項)。
会計参与になることができる人
会計参与は、公認会計士若しくは監査法人又は税理士若しくは税理士法人でなければなりません(会社法第333条1項)。
会計参与が監査法人又は税理士法人である場合は、その社員の中から会計参与の職務を行うべき者を選定し、これを株式会社に通知します(会社法第333条2項)。
なお、当該株式会社又はその子会社の取締役、監査役若しくは執行役又は支配人その他の使用人は、会計参与になることができません(会社法第333条1項)。
会計参与の任期
会計参与にも任期があり、その任期が満了すると退任します(再任可)。
会計参与の任期は選任後2年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとなっています。
定款又は株主総会の決議によって、その任期を短縮することも可能であり、非公開会社であれば10年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで伸長することも可能です。
会計参与を設置する
会計参与を設置するには、次のステップで行うことができます。
- 株主総会で決議する
- 会計参与が就任を承諾する
- 登記申請をする
株主総会の決議
会計参与を置くには、その旨を定款に記載する必要があるため(会社法第326条2項)、株主総会の特別決議によって定款一部変更の決議をします。
第●条 当会社は、株主総会及び取締役のほか、取締役会及び会計参与を設置する。
加えて、≫特殊普通決議によって会計参与を選任します(会社法第329条1項)。
就任の承諾
会社と会計参与は委任に関する規定に従いますので(会社法第330条)、選任された会計参与がその就任を承諾したときに、会計参与となります。
承諾した事実を残しておくために、また、登記申請の添付書類として使用することもできますので、就任承諾書に押印をもらっておきます。
登記申請をする
新たに会計参与設置会社の定款の定めを設定し、会計参与が就任したときは、それらの効力が発生した日から2週間以内に登記申請をします(会社法第915条1項)。
この登記の添付書類の一例は次のとおりです。
- 株主総会議事録
- 定款
- 株主リスト
- 税理士法人・監査法人の登記事項証明書または税理士・公認会計士であることの証明書
なお、監査役の登記と異なり、書類等備置場所も登記事項とされていますので注意が必要です。
登録免許税
会計参与の選任・就任登記の登録免許税は1万円(資本金の額が1億円を超える会社は3万円)です。
また、会計参与設置会社の定め設定の登記の登録免許税として別途3万円が必要となります。
この記事の著者
司法書士
石川宗徳
1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)
2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。
2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。
また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。