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代表司法書士 石川宗徳の 所長ブログ&コラム

【2022年9月1日以降】役員の氏名につき、併記可能な旧氏の範囲が拡大されます

役員の氏名と旧姓の併記

2022年8月現在、役員(取締役、監査役、執行役、会計参与又は会計監査人をいい、以下同じ)は、婚姻前の氏をも記録するよう申し出ることができます(商業登記規則第81条の2第1項)。

鈴木一郎さんが婚姻により田中一郎に氏が変わったケースにおいて、上記申出をすると、登記簿には役員の氏名として、田中一郎(鈴木一郎)と記載されます。

上記申出は、併記することができる氏は「婚姻前の氏」に限られているため、田中一郎さんが離婚によって鈴木一郎に氏が変わったとしても、鈴木一郎(田中一郎)と離婚前の田中の姓を併記することはできませんし、養子縁組によって姓が変わった場合も併記ができません。

また、旧姓併記の申出ができるタイミングも限られており、設立の登記、清算人の登記、役員若しくは清算人の就任による変更の登記又は役員若しくは清算人の氏の変更の登記の申請と同時に申出をする必要があります(商業登記規則第81条の2第1項)。

商業登記規則の一部改正

2022年9月1日から商業登記規則の一部を改正する省令が施行されることにより、役員の旧姓併記の申出に関してもルールが変わります。

主な変更点は次のとおりです。

  1. 併記可能な旧氏の範囲の拡大
  2. 登記の申請時以外の申出も可能に
併記可能な旧氏の範囲の拡大

2022年9月1日以降、登記簿に記録するよう申出をできる旧氏の範囲が「婚姻前の氏」から、住民基本台帳法施行令第30条の13に規定する旧氏とされています(改正後商業登記規則第81条の2第1項)。

この商業登記規則の改正により養子縁組前の氏や離婚後婚姻中の氏も、役員の氏に併記することができるようになります。

あくまで旧姓は併記することができるだけであり、旧姓のみを役員の氏に記録できるわけではありません。

登記の申請時以外の申出も可能に

旧姓併記の申出は設立、役員変更等の登記申請と同時に行う必要があったところ、2022年9月1日以降はいつでも申出を行うことができるようになります。

旧姓併記をしようと思っていたけれども登記時にし忘れた人、設立時に旧姓併記の制度がなく任期満了のタイミングが何年も先であるような人にとっては良い変更ではないでしょうか。

この申出の添付書類は「旧氏を証する書面」ですので、戸籍謄本等の変更前の氏が記載されたを書類が該当します。

旧姓併記の申出は登記申請ではないため、単独で行った場合も登録免許税はかからないものと思われます。

申出書のひな形は、後日こちらのページにて公開されるようです。
≫商業登記規則等が改正され、令和4年9月1日から施行されます(法務省)
 

商業登記規則第81条の2第1項の新旧対照表

会社の代表者は、役員(取締役、監査役、執行役、会計参与又は会計監査人をいう。以下この条において同じ。)又は清算人の一の旧氏(住民基本台帳法施行令(昭和四十二年政令第二百九十二号)第三十条の十三に規定する旧氏であつて、記録すべき氏と同一であるときを除く。以下同じ。)を登記簿に記録するよう申し出ることができる。この場合において、当該登記簿(閉鎖した登記事項を除く。)にその役員又は清算人について旧氏の記録がされていたことがあるときは、最後に記録されていた旧氏より後に称していた旧氏に限り、登記簿に記録 するよう申し出ることができる。設立の登記、清算人の登記、役員(取締役、監査役、執行役、会計参与又は会計監査人をいう。以下この条において同じ。)若しくは清算人の就任による変更の登記又は役員若しくは清算人の氏の変更の登記の申請をする者は、婚姻により氏を改めた役員又は清算人であつて、その申請により登記簿に氏名を記録すべきものにつき、婚姻前の氏(記録すべき氏と同一であるときを除く。)をも記録するよう申し出ることができる。


この記事の著者

司法書士
石川宗徳

代表司法書士・相続診断士 石川宗徳 [Munenori Ishikawa]

1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)

2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。

2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。

また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。

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