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RSM汐留パートナーズ・ニュースレター 2026年7月号

RSM汐留パートナーズ・ニュースレター 2026年7月号

ニュースレター
2026年7月6日

今月のニュースレターは以下の通りです。

  • 税理士法人:大胆な設備投資促進税制の創設と留意点
  • 社会保険労務士法人:2026年春闘から読み解く実務的論点
  • 行政書士法人:高度専門職の最新の注意点
  • 今月のサービスPickup

税理士法人では、2026年5月29日に成立した改正産業競争力強化法に基づく「特定生産性向上設備等投資促進税制」について、制度概要と適用にあたっての留意点をお伝えします。

社会保険労務士法人では、2026年春闘から読み解く実務的論点についてお伝えします。2026年春闘では高水準の賃上げが続き、企業には単なる引上げ対応にとどまらず、賃金制度や評価制度、人件費構造を一体で見直す視点が求められています。

行政書士法人では、「高度専門職の最新の注意点」について高度専門職の転職時に人事の方が見落としがちなケースにおいて従来ならば許可されるところ昨今は不許可となるケースが頻出しており、弊社のケースをもとに事例を紹介いたします。

今月のニュースレターも、日々の実務にぜひお役立てください。


 

大胆な設備投資促進税制の創設と留意点

令和8年度税制改正において「特定生産性向上設備等投資促進税制」が創設され、その適用手続を規定する改正産業競争力強化法が2026年5月29日に成立しました。本制度は、生産性向上に資する国内投資を税制で支援し、競争力強化と国内投資促進を図るもので、いよいよ実務適用の段階を迎えます。

制度概要

青色申告法人が、改正産業競争力強化法の施行日から令和11年3月31日(指定期間)までに経済産業大臣の確認を受けた投資計画に基づき、確認日から5年以内に対象設備を取得等・事業供用した場合、即時償却又は税額控除(機械装置・工具・器具備品・ソフトウェア等は取得価額の7%、建物・建物附属設備・構築物は4%、いずれも調整前法人税額の20%が上限)を選択できます。なお、税額控除額が法人税額の上限(20%)を超える場合、一定の要件を満たす法人は翌期以降3年間の繰越しが認められます。対象設備は機械装置、工具・器具備品、建物、建物附属設備、構築物、ソフトウェアと幅広い一方、事務用器具備品・本店・福利厚生施設・貸付用資産等は除かれます。投資計画の主な要件は、①対象設備の取得価額合計が35億円以上(中小企業者等は5億円以上)、②年平均投資利益率15%以上の見込み、③取締役会等の意思決定に基づくものであることです。

適用にあたっての留意点

実務上は、投資計画全体の金額要件と、個々の設備の取得価額要件を分けて確認します。機械装置は1台160万円以上、建物は1,000万円以上、ソフトウェアは70万円以上が基準です。工具・器具備品は原則1台120万円以上ですが、1台40万円以上のものは、同一投資計画内で一事業年度の取得価額合計が120万円以上であれば対象となります。但し、投資計画に記載のない設備は合算の対象外となるため、計画への記載漏れに注意が必要です。

また、投資計画の確認を受けた法人は、計画期間内において、地域未来投資促進税制、中小企業経営強化税制及びカーボンニュートラル投資促進税制との併用ができません。但し、中小企業経営強化税制の繰越税額控除制度は引き続き適用可能です。

大企業では、当期所得が前期所得を上回る一定の場合、継続雇用者給与等支給額の前期比増加(原則1%以上)及び国内設備投資額が当期償却費総額の30%超の要件を満たさない事業年度は、特別償却・税額控除を適用できません。なお、資本金10億円以上かつ常時使用従業員数1,000人以上、又は常時使用従業員数2,000人超の大企業については、各々2%以上・40%超がその基準となります。

おわりに

本制度は国内設備投資を予定する企業にとって強力な税務上のメリットをもたらします。一方、まず経済産業大臣への投資計画の確認申請が必要であり、その準備には一定時間を要します。また、投資計画の要件・取得価額要件・他税制との適用関係を誤ると適用できない可能性があります。よって、今後の施行を見据え、早期の検討をお勧めします。ご不明点等ございましたら、弊社までお気軽にお問い合わせください。
 

2026年春闘から読み解く実務的論点

2026年の春闘は、平均5.26%という高水準の賃上げでスタートしました。3年連続で5%を上回る結果となり、日本における賃上げは一時的な景気対応から、持続的な構造変化へと移行しつつあると評価できます。従来は賃上げの実施有無が論点でしたが、現在では賃上げを前提としたうえで、その水準や配分のあり方が問われる局面に入っています。

2026年賃上げ結果の特徴

今回の特徴は、定期昇給に加え、ベースアップ部分が約3.8%と高水準に達している点です。これは単なる賃上げではなく、賃金テーブルそのものの引き上げを意味し、従来の年功的賃金カーブにも影響を及ぼします。また、大手企業を中心に満額回答が相次ぐなど、企業側も賃上げを織り込んだ経営判断を行っている点は、実務上見逃せない変化です。人手不足やインフレ環境を背景に、「人件費=コスト」ではなく「人材投資」としての位置付けが明確になりつつあります。

一方で、実務上は複数の課題が顕在化しています。第一に、賃上げと実質賃金の乖離です。物価上昇による購買力低下が続く中、名目賃金の上昇が従業員の満足度向上に直結しないケースが増えています。第二に、企業規模間における原資確保力の差です。中小企業でも賃上げ率は5%台に到達しているものの、引き上げ額や継続性の面では依然として大企業との差が残っており、価格転嫁との連動が重要な論点となっています。

賃上げと人事制度の整合性

さらに重要なのが、賃上げと人事制度との整合性です。ベースアップが続く中で、従来の賃金カーブや等級制度を維持したままでは、人件費構造が歪むリスクがあります。特に若年層への配分強化や初任給引き上げが進む一方で、中高年層との逆転や圧縮が生じるケースも見受けられます。これらは処遇不均衡のみならず、労務リスクの温床にもなり得るため、制度全体の再設計が求められます。加えて、賃上げ後の運用管理も重要な実務課題です。固定的賃金の上昇は、割増賃金単価や各種手当の基礎額、さらには社会保険料の負担にも影響を及ぼすため、労基法対応や賃金規程の整備も含めた総合的な見直しが必要となります。単年度の対応にとどめるのではなく、中期的な人件費戦略として位置付けることが不可欠です。

おわりに

2026年は、賃上げが「例外的対応」から「制度前提」へと転換した節目の年といえます。今後は賃上げの“量”を確保するだけでなく、賃金構造の整合性や持続可能性といった“質”の観点がより重要になるでしょう。

こうした環境変化を踏まえ、自社の賃金制度や評価制度の整合性に課題を感じられている企業様も多いのではないでしょうか。賃上げ対応に伴う賃金テーブルの見直しや、等級制度・評価制度を含めた人事制度の再構築についてお悩みの際は、どうぞお気軽にご相談ください。実務と制度の双方の観点から、貴社に適した形での解決策をご提案させていただきます。
 

高度専門職の最新の注意点

2025年10月16日に経営・管理の基準等が改正されたのを皮切りに矢継ぎ早に出入国在留管理関連の申請の運用・ガイドラインの変更が相次いでおります。それらは令和8年1月23日の関係閣僚会議において決定された事項に基づくものですが、その決定に基づくもの以外の高度専門職に係る事項について弊社で気づいた変化について本日はお知らせさせていただければと思います。

高度専門職1号ロの方の転職について

技術・人文知識・国際業務で在留する外国人が転職する場合、在留期間が3か月以上あるのであれば外国人に法的義務として課せられている所属機関等に関する届出を提出すればよいということになっております。技術・人文知識・国際業務の就労者数がとても多いので会社の人事を任されている方は高度専門職1号ロの在留資格をお持ちの方についても同様の手続きをすればよいと誤解しているケースがいままで数多くありました。

高度専門職1号ロの方は前述の所属機関等に関する届出に加えて高度専門職1号ロへの在留資格変更許可申請が必要になります。

同じ在留資格に「変更」するという意味が分かりづらいのですが、高度専門職の方は法務大臣から指定書によって就労する所属機関が指定されています。その「変更」をする必要があるということです。

このため転職先の就労開始時期は在留資格変更許可申請後に新しい在留カードを受領し、パスポートに指定書があらたに貼られてからということになります。

いままでの運用

今までは在留資格変更許可申請を行わずに新しい転職先で就労をしてしまったパターンにおいて、気づいた時点で在留資格変更許可申請をすれば「高度専門職1号ロ」は付与されておりました。私の経験上の話になりますが、就労してしまっていた時期の長短関係なく、許可されていたと認識しております。

現在の運用

しかし、弊社の関知している限りではここ1~2年ほど前からこのような申請において不許可とされる案件が出てきました。

弊社での事例では不許可となったあと、不許可理由を伺う際に技術・人文知識・国際業務等、もととなる在留資格に変更するように指導いただき、その指導の下、再申請を行うと許可されるというパターンです。ただし、在留資格は付与されるものの在留期間は1年となります。入管に伺ったところ高度専門職に戻るにはしばらく様子を見させていただいたうえでという話でしたので、すぐに変更許可申請をしても不許可となる可能性があります。ただ、すべてがすべて不許可となるわけではなく、例えば転職先で就労してしまった期間が2か月ほどと比較的短いケースにおいてはそのまま「高度専門職1号ロ」への在留資格変更許可申請が何事もなく認められるという事例もありました。当然、当該違反事実に対して認知したこと、反省、今後の対策等を示した文書をあらかじめ作成して提出するなどの対策はしたうえでの話です。

その他注意事項

前述の事例はあくまで弊社での事例であり、他では違った扱いのケースも耳に入ってきております。このようにガイドライン等で明確に変更された以外の部分についても、注意が必要になっており、このような変化は日々入管業務に接している専門家しかつかめないものも中にはございます。もしお困りのことがあれば一度弊社にご連絡いただければ幸いです。
 

【今月のサービスPickup】

海外進出支援

海外進出では、市場性だけでなく、現地の法規制・税務・労務・商習慣まで幅広く見通す必要があります。戦略検討から現地法人設立、進出後のバックオフィス実務まで、クロスボーダー支援の経験を活かして一貫してお手伝いします。

就労ビザ申請代行

外国人材の雇用では、職務内容や学歴・職歴に応じた適切な在留資格の判断が重要です。在留資格ごとに要件や必要書類が異なるため、就労ビザの新規取得から更新・変更まで、行政書士が要件整理から申請対応まで丁寧にサポートします。

M&Aコンサルティングサービス

後継者問題や成長戦略、経営資源の選択と集中など、M&Aはさまざまな経営課題の解決手段となります。会計・税務・法務の専門家が一体となったワンストップ体制で、経営者の想いと企業価値を次世代へつなぐお手伝いをします。