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RSM汐留パートナーズ・ニュースレター 2026年8月号

RSM汐留パートナーズ・ニュースレター 2026年8月号

ニュースレター
2026年8月3日

今月のニュースレターは以下の通りです。
 

税理士法人:法人版事業承継税制の留意点

「法人版事業承継税制(特例措置)」が2027年12月末をもって終了することから、制度の概要と活用にあたっての留意点をお伝えします。 
 

社会保険労務士法人:カスハラ・就活セクハラ対策について

近年、顧客等によるカスタマーハラスメントや、採用活動中の就活セクハラが社会問題となっており、企業には従業員や求職者を守るための適切な対策が求められます。
 

司法書士法人:事業において合同会社を選択するときの注意点

複数名で会社を設立する際、株式会社であれば防げたかもしれない合同会社のトラブルが散見されます。複数名で会社を設立する際の合同会社特有の注意点をお伝えします。
 

今月のサービスPickup

  • サイバーセキュリティ支援
  • 内部監査DX支援
  • M&Aコンサルティングサービス

今月のニュースレターも、日々の実務にぜひお役立てください。


 

法人版事業承継税制の留意点

中小企業にとって、後継者への自社株式の 承継は、企業存続に関わる重要な経営課題で す。特に自社株式の評価額が高い非上場会社 では、贈与・相続に伴う税負担が大きく、円 滑な事業承継の妨げとなることがあります。

この税負担を軽減し、事業承継を後押しす る制度が「法人版事業承継税制」です。なか でも2018年度税制改正で創設された「特例措 置」は一般措置より有利な内容ですが、2027 年12月31日までの時限措置です。活用を検 討している場合は、期限を見据えた早めの準 備が必要です。

制度概要

法人版事業承継税制は、後継者が、経営承継円滑化法の認定を受けた非上場会社の株式等を、贈与または相続等により取得した場合に、その株式等に係る贈与税・相続税の納税を猶予する制度です。後継者の死亡や、次の後継者への一定の事業承継など、所定の事由が生じた場合には、猶予されている税額の納付が免除されることがあります。

特例措置では、一般措置における対象株式数の上限が撤廃され、一定の要件を満たす全株式が納税猶予の対象となります。また、贈与税・相続税ともに猶予割合は100%で、最大3人の後継者への承継が認められるなど、事業承継時の税負担を大幅に軽減できる仕組みとなっています。

適用にあたっての留意点

実務上は、投資計画全体の金額要件と、個々の設備の取得価額要件を分けて確認します。機械装置は1台160万円以上、建物は1,000万円以上、ソフトウェア特例措置の利用にあたり、特に注意したいのは期限が二段階に分かれている点です。認定経営革新等支援機関の関与のもとで作成した「特例承継計画」を2027年9月30日までに都道府県へ提出し、その上で2027年12月31日までに実際の株式承継(贈与・相続等)を完了させる必要があります。計画提出のみでは適用は受けられず、「計画と実行の双方が期限内に完了していること」が重要です。

また、本制度は税額が直ちに免除されるわけではなく、まず納税が猶予される制度です。適用後も株式の継続保有や定期的な届出など一定の要件を満たし続ける必要があり、満たせなくなった場合は、猶予税額に利子税を加えて納付しなければならないことがあります。

更に、後継者の選定、自社株式の評価、株主構成の整理、関係者間の合意形成には相応の時間を要します。将来のM&Aや廃業なども視野に入れる場合は別の承継方法が適することもあるため、税負担だけでなく中長期的な経営方針を踏まえた検討が重要です。

おわりに

特例承継計画の提出期限が延長されたことで、時間に余裕があるように感じられるかもしれません。しかし、実際の株式承継の期限である2027年12月31日は延長されておらず、準備期間を考えると検討を先送りできる状況にはありません。

利用を検討する場合には、まず自社が制度の対象となり得るかを確認し、他の承継方法も含めて早期に検討を始めることが大切です。ご不明点等ございましたら、弊社までお気軽にお問い合わせください。
 

カスハラ・就活セクハラ対策について

「カスハラ」(顧客等からの著しい迷惑行為)や、就職活動中の学生等に対する「求職者等セクハラ」(いわゆる就活セクハラ)は、労働者の就業環境や求職者等の職業選択に深刻な影響を及ぼす問題です。2025年6月に関連法が公布され、2026年2月には具体的な防止指針が公布されました。2026年10月1日から、カスハラおよび求職者等セクハラの防止措置を講じることが、事業主の義務となります。本稿では、施行に向けて人事・労務担当者が押さえておきたい実務上のポイントをご案内します。これらの措置義務は、企業規模を問わず、すべての事業主が対象です。

カスハラ・就活セクハラ対策の実務ポイント

カスハラ対策では、事業主の方針を明確にし、労働者に周知・啓発するとともに、相談に応じて適切に対応するための体制を整備します。相談窓口は、既存のハラスメント相談窓口と一体的に運用することも可能です。加えて、相談後の事実確認、被害を受けた労働者への配慮、行為者への対応、再発防止までの手順をあらかじめ定めておくことが重要です。現場では、一人で抱え込まず速やかに上司や所定の窓口へ報告すること、必要に応じて記録を残すことなど、具体的な対応ルールをマニュアル化し、研修を通じて共有しましょう。暴言、長時間の拘束、土下座の要求などは、カスハラに該当し得る典型的な言動です。

求職者等セクハラ対策では、禁止方針を明確にし、労働者に周知・啓発するほか、求職者等からの相談に応じる体制を整備します。相談窓口は社外にも分かりやすく周知し、相談者・行為者等のプライバシーを保護する必要があります。また、事実関係を迅速かつ正確に確認し、行為者への適切な措置、被害を受けた求職者等への配慮、再発防止を行います。面談の場所や時間帯、SNS等での連絡方法をあらかじめ定めること、可能な限り複数名で対応することなども、発生防止に有効です。

実務対応を進める順序と注意点

まず、現行の規程・相談体制・対応手順を確認し、不足事項を洗い出します。そのうえで、方針や規程の整備、相談窓口と対応フローの明確化、社内外への周知、研修を計画的に進めましょう。2026年8月中に方針と担当体制を決定し、9月中に周知・研修を行い、10月1日の施行時点で運用を開始できる状態にすることが一つの目安です。既存のパワハラ・セクハラ対応を活用する場合も、カスハラおよび求職者等セクハラの対象範囲や相談者の違いを踏まえ、受付方法、初動対応、記録、関係部署への連携、再発防止までの流れを具体化しておくことが重要です。

おわりに

2026年10月からの義務化に向けては、規程を整えるだけでなく、現場で実際に機能する仕組みを構築することが大切です。早めに準備を始め、相談を受けた際に迷わず対応できる体制を整えましょう。貴社の状況に応じて、規程の整備から相談体制の構築、研修、運用定着までサポートいたします。就業規則等の改定案作成や相談窓口の整備、研修の進め方でお困りの際は、どうぞお気軽にご相談ください。
 

事業において合同会社を選択するときの注意点

会社法上の営利法人には株式会社と持分会社があり、持分会社には合名会社・合資会社・合同会社の3種類あるところ、新たに設立される持分会社のほとんどが合同会社です。合同会社は、設立手続きにおいて公証人の定款認証が不要である点や、設立コストが株式会社よりも低いという点から人気があります。一方で、株式会社にはない合同会社特有の注意点もあり、新しく会社を設立するときに、営利法人のうち合同会社を選択するときは、合同会社の特徴を理解した上で選択することが重要です。

社員しか役員になることができない

株式会社と異なり、社員(合同会社の出資者のことをいいます。以下同じ)しか業務執行社員や代表社員になることができません。そのため、出資はXが行い、役員にはYが就任するということができず、Yが役員になるためには、Yが1円でも出資をしYも社員になる必要があります。

総社員の同意が求められる事項が多い

定款の変更その他、合同会社の重要事項の決定において、会社法上、総社員の同意が求められる事項が少なくありません。社員が1名の合同会社であればこの点が問題になることはありませんが、社員が複数いるときには1名でも反対する者がいると先に進めることができません。

定款自治の範囲が広い

定款自治が広く認められているため、解散等の一部の事項を除き、総社員の同意が求められている事項の多くは、定款に別段の定めを置くことで、特定の社員の同意や決定で行うことが可能となります。社員を複数置くときは、必要に応じて定款を工夫しておくと、後のトラブルを防げることがあります。

社員が死亡時に退社する

社員が死亡すると退社するため、社員が1名の合同会社は当該社員が死亡すると解散します。定款に、社員が死亡した場合における当該社員の相続人が当該社員の持分を承継する旨を定款で定めておくことでそれを回避することができます。

社員を除名することが難しい

社員の除名は、会社法第859条に掲げる一定の事由があるときに、訴えをもって請求することができます。訴えをもってということは、裁判所の関与が必要となるため除名をすることのハードルは低くありません。 

重要な事項の決定には総社員の同意が求められる点、社員しか役員になることができない点、そして社員を除名することが難しい点が、複数名で事業を行うときに、合同会社を選択することの大きなデメリットになりやすいように思います。

株式会社であれば、株主がXで役員をYとしたいときに、Yに株式を持ってもらうことは必須ではなく、また、Yの任期を短くしておくことでXにYの退任に係る選択機会を増やすことや、株主総会の決議で解任するという選択肢も残ります。また、株式会社には少数株主をスクイーズアウトする方法が会社法に用意されている点で、除名しかない合同会社とは異なります。

1人法人ではなく、複数の人・法人が出資や役員になる場合、合同会社を選択するのであれば、これらの合同会社の特徴をよく理解した上で選択することをお勧めします。
 

【今月のサービスPickup】

サイバーセキュリティ支援

サイバー攻撃や情報漏えいへの備えは、IT部門だけでなく経営全体で取り組むべき課題です。現状のギャップ分析からリスクの特定、方針・対策の策定、マネジメント体制の構築まで、継続的な改善を見据えて支援します。

内部監査DX支援

内部監査でデータ活用が進むと、サンプル抽出や異常値の把握にかかる時間を減らし、重点領域に集中しやすくなります。BIツール等を用いた可視化、自動抽出、分析プロセスの整備を通じて、監査業務の高度化を支援します。

M&Aコンサルティングサービス

後継者問題や成長戦略、経営資源の選択と集中など、M&Aはさまざまな経営課題の解決手段となります。会計・税務・法務の専門家が一体となったワンストップ体制で、経営者の想いと企業価値を次世代へつなぐお手伝いをします。