RSM汐留パートナーズ・ニュースレター 2026年11月号
今月のニュースレターは以下の通りです。
税理士法人:2026年の年末調整の改正点
2026年分の年末調整について、基礎控除や給与所得控除の引上げ、扶養親族等の所得要件の見直し、特定親族特別控除などの改正点をお伝えします。
社会保険労務士法人:社会保険の適用拡大、次の節目は2027年10月
2026年10月の賃金要件撤廃に続き、2027年10月には企業規模要件が36人以上に引き下げられます。新たな対象企業が押さえたい加入要件と、保険料試算や従業員説明など今から行うべき準備を解説します。
行政書士法人:入管法等改正に伴う審査等の実例と市場の反応について
相次ぐ入管法等の改正は審査にどのような影響があったのか、また市場の反応はどうだったのかなど本コラムで実例に基づいた改正による影響をご紹介いたします。
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今月のニュースレターも、日々の実務にぜひお役立てください。

2026年の年末調整の改正点
年末調整の時期が近づいてきました。2026年は、物価上昇や「年収の壁」への対応として、所得税の基礎控除や給与所得控除などが引き上げられました。改正は2026年分の所得税から適用され、11月までの源泉徴収事務に変更はありませんが、12月の年末調整で新しい控除額が反映されます。今回は主な改正点を見ていきたいと思います。
基礎控除の引上げ
基礎控除の本則は、合計所得金額2,350万円以下の場合、58万円から62万円に引き上げられ、所得に応じた特例による上乗せも行われます。2026年・2027年分の控除額は、合計所得金額489万円以下で104万円、489万円超655万円以下で67万円、655万円超2,350万円以下で62万円です。なお、2028年分以後は別の控除額が定められています。
給与所得控除の引上げ
給与所得控除の最低保障額が65万円から74万円に引き上げられました。2026年・2027年分は、給与収入220万円以下の場合、控除額は74万円となります。基礎控除と合わせ、給与収入のみの方について、所得税がかかり始める年収の目安は160万円から178万円に引き上げられます。ただし、社会保険の加入基準や住民税の非課税基準とは異なります。年末調整では、2026年分の新しい給与所得控除後の金額の表を使用します。
扶養親族等の所得要件の見直し
扶養親族や同一生計配偶者の合計所得金額の要件は、58万円以下から62万円以下(給与収入のみの場合136万円以下)に引き上げられました。配偶者特別控除の対象となる配偶者の合計所得金額も、62万円超133万円以下に見直されました。
2025年に創設された「特定親族特別控除」も所得要件が見直され、19歳以上23歳未満の親族の合計所得金額が62万円超123万円以下(給与収入のみの場合136万円超197万円以下)の場合に対象となります。控除額は最大63万円で、親族の所得が一定額を超えると段階的に減少します。適用には、特定親族特別控除申告書の提出が必要です。
子育て世帯の生命保険料控除の特例
23歳未満の扶養親族がいる場合、2026年・2027年分は、新生命保険料に係る一般生命保険料控除の限度額が4万円から6万円に引き上げられます。ただし、生命保険料控除全体の限度額12万円は変わりません。共働きの夫婦の場合、扶養控除は同じ子について一方のみですが、この特例は夫婦それぞれが支払った保険料について、双方が適用を受けられます。
おわりに
今年の年末調整は、改正内容の説明や申告書の回収など、例年以上に確認事項が多くなります。従業員からの問い合わせも増えることが予想されますので、早めの周知と準備が重要です。2026年分の様式や記載例は、国税庁ホームページの「年末調整がよくわかるページ」で確認できます。ご不明点等ございましたら、弊社までお気軽にお問い合わせください。

社会保険の適用拡大、次の節目は2027年10月
2025年6月に成立した年金制度改正法により、短時間労働者への社会保険適用範囲が段階的に拡大されています。2026年10月1日には加入要件のうち賃金要件(月額8.8万円以上)が撤廃されました。続く2027年10月には、対象事業所の範囲を決める「企業規模要件」が引き下げられます。対象企業が一気に広がる最初の節目であり、該当する企業は今のうちから準備を進める必要があります。
企業規模要件引き下げのスケジュール
現在、短時間労働者の社会保険加入は、厚生年金保険の被保険者数が51人以上の企業(特定適用事業所)に限られています。これが2027年10月からは36人以上に引き下げられ、新たに多くの中小企業が対象となります。その後も21人以上(2029年10月)、11人以上(2032年10月)、10人以下(2035年10月)と段階的に拡大し、将来的にはすべての企業が対象となる予定です。なお、人数は短時間労働者を除いた厚生年金保険の被保険者数で数え、1年のうち6か月以上基準を上回ると見込まれる場合に該当します。法人の場合は、同一法人番号のすべての事業所の合計人数で判定します。
対象者の要件
加入対象となる短時間労働者の要件は、①週の所定労働時間が20時間以上であること、②雇用期間の見込みが2か月を超えること、③学生でないこと、の3点です(賃金要件はすでに撤廃済みです)。パートやアルバイトの方でも、これらを満たせば年収の多寡にかかわらず加入対象となります。
今から準備しておきたいこと
厚生年金保険の被保険者数(短時間労働者を除く)が36人以上50人以下の企業は、2027年10月から新たに特定適用事業所となり、該当する短時間労働者を社会保険に加入させる義務が生じます。自社の厚生年金保険の被保険者数が基準に該当するか、早めに確認しておくことが重要です。対象となる場合は、保険料の事業主負担増加を見込んだ資金計画(厚生年金保険料だけでも労使折半で標準報酬月額の9.15%が事業主負担となり、健康保険料等が加わります)に加え、対象従業員への説明、就業規則・労働条件通知書の見直しが必要です。なお、企業規模要件を満たさない企業でも、対象となる方の2分の1以上の同意を得て事業主が年金事務所に申し出ることで、短時間労働者を社会保険の対象とする「任意特定適用事業所」となることができます。
おわりに
2027年10月はまだ先に思えますが、対象者の洗い出しや保険料試算には相応の時間がかかります。自社の従業員数や対象者の状況を早めに確認し、計画的な準備を進めましょう。制度対応や実務面でご不明な点がございましたら、お気軽にご相談ください。

入管法等改正に伴う審査等の実例と市場の反応について
皆さんご存じの通り、手数料の変更など外国人の在留資格等の管理体制について相次ぐ改正が行われております。1年前まではこれらの改正が行われても報道されるケースは少なかったものの、国民の関心も高まり、最近はメディアでも優先して取り上げられているため、目に触れる機会も増えました。今回は在留資格に関する改正後、市場や入管はどのような反応を示したのか。経営・管理と技術・人文知識・国際業務について実際に弊社に問い合わせがあった件や入管の審査事例などをみていきたいと思います。
改正の背景について
経営・管理及び技術・人文知識・国際業務等の改正の源泉は令和8年1月23日外国人の受入れ・秩序ある共生社会実現に関する関係閣僚会議に端を発しております。
経営・管理については事業の実態に疑いが持たれる案件も存在することから許可基準が2025年10月16日に改正されております。
また技術・人文知識・国際業務においても派遣による就労の具体的内容の実態が十分に把握できていないこと、認められた活動内容に該当しない業務に従事することなどに起因し、技術・人文知識・国際業務で認められている活動以外の活動に従事させている受入機関や派遣先における活動状況を調査することや、活動に疑義がある場合は実態調査を行うことを継続して実施することが挙げられています。
共通しているのはどちらも付与される在留資格に基づく活動と実際行っている活動に相違がある疑いがみられるということです。
審査等の実例
冒頭でのべたとおり、昨今はメディアでも在留資格に関する報道があることも影響してからか、自社で調査した結果、現在の在留資格と実態に齟齬がある疑いがあるとして相談を受けることが多くなりました。ご相談のほとんどが技術・人文知識・国際業務の在留資格をお持ちの方が特定技能業務に従事している可能性があるというものです。このような反応は企業の自浄作用により良い方向へ検討するためのものですので、ポジティブなものと捉えております。技術・人文知識・国際業務と特定技能は一部業務がリンクする部分もあるため、ケースによって判断は非常に難くなり専門家の判断が必要です。登録支援機関は一定の場合、入管へ申請を取次ぐことはできますが、申請に係る書類を作成することができません(行政書士法第19条)。行政書士であれば書類作成の過程で申請人がどの在留資格に該当するのかの判断はできます。
経営・管理については一部報道でもありましたが、改正後の新規の申請が96%g減少し、「経営・管理」の在留資格を放棄して日本を出国した者は前年同期と比べて3.9倍増加したとのことです。
改正により新規入国者及び在留者数が減少していることが明らかです。また実際の審査においても厳しくなっており、特に更新申請において旧基準で在留している「経営・管理」については2028年10月16日までに新基準を満たせばよいということになっていますが、2028年10月16日までに新基準を満たすことができるのかという点も更新申請の際に審査され不許可とされているケースや労働保険料等が未納なケースにおいては4か月の在留期間を付与されその間に改善するように求められるケースが増えております。
その他について
技術・人文知識・国際業務で行える業務の判断やリスクについて行政書士は書類作成過程でアドバイスをすることができます。これらの判断は申請することが目的である非専門家には難しいところがあることは明白です。行政書士法改正により行政書士でない者、例えば登録支援機関やコンサルタントが申請書を作成してはならないことがあらためて明記されて以来、在留資格関連業務のみならず、許認可業務についてもこの改正をうけて適正に行いたいとする企業様からご相談を受けることが多々あります。これらはポジティブな市場の反応で、何か事が起こる前に既存の体制性を見直し変更することが必要です。
総括
このように複雑化する在留資格関連業務や行政書士法の改正を振り返るとあらためて専門家の存在が円滑な入管行政に必要だと認識されます。もしお困りであれば一度弊社にご連絡いただければ幸いです。
【今月のサービスPickup】
外国人雇用コンサルティング
外国人スタッフの雇用や在留資格管理は、知らないうちに法令リスクを抱えてしまうケースも少なくありません。在留資格の判断から更新手続きまで、行政書士・社会保険労務士が連携し、実務面も含めて一貫してサポートします。
サイバー攻撃被害対応支援
海外進出では、市場性だけでなく、現地の法規制・税務・労務・商習慣まで幅広く見通す必要があります。戦略検討から現地法人設立、進出後のバックオフィス実務まで、クロスボーダー支援の経験を活かして一貫してお手伝いします。
M&Aコンサルティングサービス
後継者問題や成長戦略、経営資源の選択と集中など、M&Aはさまざまな経営課題の解決手段となります。会計・税務・法務の専門家が一体となったワンストップ体制で、経営者の想いと企業価値を次世代へつなぐお手伝いをします。
