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【人事担当者向け】日本における外国人従業員の在留資格管理に関する主要な論点と実務上の注意点 

【人事担当者向け】日本における外国人従業員の在留資格管理に関する主要な論点と実務上の注意点 

日本進出, 外国人雇用・イミグレーション
2026年3月2日

日本国内で働く外国人労働者の数が増加の一途をたどる中、企業における「在留資格(ビザ)」の管理体制は、コンプライアンス上の最重要課題の一つとなっています。日本人従業員の雇用管理とは異なり、外国人従業員の場合は入管法(出入国管理及び難民認定法)に基づいた厳格な管理が求められます。万が一、適切な管理を怠った場合、企業側が予期せぬ法的責任を問われるリスクも否定できません。本記事では、日本における外国人従業員の在留資格管理について、企業が押さえておくべき主要な論点と実務上の注意点を解説します。

外国人従業員の雇用において、最も根本的な論点は「不法就労を防止する義務」が企業側にあるという点です。

企業が不法就労であることを知らなかったとしても、、「不法就労助長罪」に問われる可能性があります。これには、5年以下の懲役または500万円以下の罰金が科されることがあり、企業名が公表されるケースも存在します。したがって、企業は採用時のみならず、雇用期間全体を通じて、当該従業員が適法に就労できる状態にあるかを確認し続ける必要があります。

在留資格管理の基本は「在留カード」の確認ですが、単にカードの有無を見るだけでは不十分といえます。以下の項目を詳細に確認することが推奨されます。

在留カードの表面には「就労制限の有無」という欄があります。ここには大きく分けて以下のパターンが存在します。

「就労制限なし」:

永住者、日本人の配偶者等などが該当します。日本人と同様にあらゆる業務に従事可能です。

「在留資格に基づく就労活動のみ可」:

技術・人文知識・国際業務、特定技能などが該当します。許可された範囲内の業務にしか従事できません。

「就労不可」:

留学、家族滞在などが該当します。原則として就労はできませんが、裏面に「資格外活動許可」の記載があれば、週28時間以内のアルバイト等が認められます。

在留カードには有効期限が記載されています。期限が1日でも過ぎてしまえばオーバーステイ(不法滞在)となり、当然ながら就労も不法就労となります。更新許可申請中であれば、従前の在留期間が満了しても特例期間として適法に在留・就労が可能ですが、この「申請中であること」を企業側が把握していないケースも散見されます。更新申請を行った際には、在留カード裏面の「在留期間更新等許可申請中」のスタンプを確認するか、あるいは申請受付票の提示を求めるなどの対応が重要となります。

在留資格管理において特に判断が難しい論点が、「業務内容と在留資格の整合性」です。

オフィスワーク等のホワイトカラー職種で一般的な「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持っていても、現場での単純労働や、本人の大学等での専攻・実務経験と関連のない業務に従事させることは認められないとされています。例えば、通訳として採用した従業員を、恒常的に工場のライン作業や飲食店のホール業務に従事させた場合、資格外活動として摘発されるリスクがあります。人事異動や配置転換を行う際には、新しい業務内容が現有の在留資格で認められる範囲内であるか、慎重に検討する必要があります。

「留学」や「家族滞在」の在留資格を持つ者をアルバイトとして雇用する場合、「資格外活動許可」を得ていることの確認に加え、就労時間の管理が重要な論点となります。

週28時間の制限:

原則として週28時間以内の就労に限られます。これは残業時間を含み、他社とかけ持ちしている場合は合算で判断されます。

長期休業期間の特例:

留学生の場合、学則で定められた長期休業期間中(夏休み等)は1日8時間までの就労が認められる場合があります。

企業側としては、自社での労働時間だけでなく、他社での就労状況についても本人に申告させるなどの管理体制が必要となるでしょう。

中途採用(転職者)の場合、前の会社で取得した在留資格が、自社の業務内容にも適合するかどうかは自動的には保証されません。在留期限が残っていたとしても、業務内容が変わる場合、次回の更新時に不許可になるリスクがあります。このような不確実性を回避するための手段として、「就労資格証明書」の取得を本人に依頼することも一つの有効な方法です。これにより、自社での就労が法的に問題ないかを入管に事前に確認してもらうことが可能となります。

外国人従業員の在留資格管理は、単なる期限管理にとどまらず、従事する業務内容との適合性や、更新申請状況の把握など、多岐にわたる視点が必要です。また、法改正や入管の運用方針の変更も頻繁に行われるため、常に最新の情報をキャッチアップしておくことが望まれます。コンプライアンス違反を未然に防ぎ、安定的な雇用環境を維持するためには、社内で統一された管理ルールの策定と、定期的な運用状況のチェックが不可欠といえるでしょう。

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