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池田 孝太 Kota Ikeda

この記事の著者

池田 孝太 Kota Ikeda

コンサルタント  / 申請取次行政書士

日本人と中国人の婚姻手続きのルールと在留資格の申請手続きの論点

2022年11月24日

本記事では、日本人と中国人の婚姻手続きについて、またその中国人の方が日本で生活するための在留資格の申請手続きについて紹介いたします。

日本人と結婚した外国人の方は「日本人の配偶者等」という在留資格を取得することができますが、婚姻したことで自動的に取得できるものではありません。そのため、婚姻手続きと在留資格の申請手続きの2つを完了させる必要があります。

日本と中国における婚姻に関する法律上の要件

婚姻手続きにおいても在留資格の申請手続きにおいても、日本と中国の双方において,法的に有効な婚姻関係にあることが必要とされています。例えば、婚姻できる年齢について、日本と中国では下表のような違いがあります。

日本の民法中国の婚姻法
男性18歳以上22歳以上
女性16歳以上20歳以上

例を挙げれば、20歳の日本人男性は中国婚姻法の要件を満たしていませんので、中国の法律上、有効な婚姻を成立させることはできません。

まずは両国の婚姻関連の法律を確認し、要件を満たすようにしてください。

日本人と中国人の婚姻手続きについて

婚姻手続きは、中国国内で先に行うこともできますし、日本国内で先に行うこともできます。それぞれの方法について紹介します。

(1)中国国内で先に手続きする場合

①中国での手続き
日本人と中国人の双方が必要書類を持参し、中国人の戸籍所在地の省、自治区、直轄市の人民政府が指定する婚姻登記機関で登記手続きを行い、『結婚証』を受け取ります。必要書類は下表のとおりです。

必要書類
日本人・婚姻要件具備証明(通称:独身証明)(※)
・上証明書の中国語訳文
・パスポート
(※) 法務局で発行、
外務省及び在日本中国大使館(又は総領事館)で認証
中国人・居民戸口簿
・居民身分証 

②日本政府に対する婚姻届の提出
①で『結婚証』を受け取ってから3か月以内に、日本政府に対して『婚姻届』を提出します。この届出は日本人のみで行えます。届出先は以下のいずれかです。

届出先必要書類
在中国日本国大使館 ・日本人のパスポート
・戸籍謄本
・婚姻届
・結婚公証書(※)
・結婚公証書の和訳
・中国人の国籍公証書(※)
・中国人の国籍公証書の和訳
(※) 中国人の戸籍所在地の公証処で発行
日本の市区町村役場
(結婚証を日本に持ち帰って届け出る方法) 
事前に届け出る市区町村にお問い合わせください。 

(2)日本国内で先に手続きする場合

①日本での手続き
日本人と中国人の双方、又は中国人が来日していなければ日本人お一人が必要書類を持参し、市区町村役場で『婚姻届』を提出し、『婚姻受理証明』を受け取ります。必要書類については事前に届け出る市区町村にお問い合わせください。

②中国の戸籍簿のための手続き
日本で婚姻手続きした場合は、中国国内においても有効な婚姻と認められるため、(1)①で述べた中国国内での婚姻登記は必要ありません。ただし、中国人の戸籍簿の婚姻状況欄を「既婚」に変更する手続きが必要です。①で受け取った『婚姻受理証明』に、外務省及び在日本中国大使館(又は総領事館)でそれぞれ認証を得て、中国人の戸籍所在地の派出所に提出します。

(3)日本で先に申請する場合と、中国で先に申請する場合の違いについて

手続き国に渡航する必要があるか否か等の違いがあります。下表を参照してください。

渡航要否中国の『結婚証』の発行
(1)中国国内で先に手続きする場合 日本人は必ず中国に渡航する必要があります。 発行されます。 
(2)日本国内で先に手続きする場合 中国人は必ずしも来日する必要はありません。 発行されません。 

『結婚証』は次項の在留資格の申請手続きで使用できます。

中国人の在留資格申請手続きについて

両国における婚姻手続きが終わったら、在留資格の申請手続きに移ります。

(1)中国人が海外にいる場合

「日本人の配偶者等」という在留資格を取得して入国する必要があります。入国までの手順は次のとおりです。

①出入国在留管理庁へ在留資格認定証明書の交付申請をします。次のような書類を揃えて申請します。

書類名備考
日本人の戸籍謄本 婚姻事実の記載があるもの 
中国発行の結婚証明書 中国の『結婚証』など 
日本での滞在費用を証明する資料 日本人の住民税の課税証明書・納税証明書 
身元保証書(※) 日本人が身元保証人となって作成する 
質問書(※) 結婚に至る経緯等を回答する 
スナップ写真 2人で写っている写真複数枚 

(※) 出入国在留管理庁が定めた様式で作成します。

②交付された在留資格認定証明書を添付して、在中国日本国大使館・領事館に対して、査証の発給を申請します。
③査証を受けたパスポートと在留資格認定証明書を提示して、日本の空港等で上陸審査を受け、パスポートに許可の証印を受けます。
④「日本人の配偶者等」の在留資格を得られます。

(2)中国人が既に就労可能な在留資格等で日本にいる場合

たとえば、就労可能な在留資格を持って日本で働いている中国人の場合、現在の在留資格のまま日本に在留するか、「日本人の配偶者等」という在留資格に変更するかを選ぶことになります。

「日本人の配偶者等」への変更を希望する場合、婚姻手続きが完了次第、変更申請を行うこともできますし、現在の在留期限が近づいた際に変更することもできます。

「日本人の配偶者等」への在留資格の変更手続きに必要となる書類は(1)の①と同様です。

おわりに

今回は日本人と中国人が結婚する際に知っておくべきルールや法律について紹介しました。日本と中国では婚姻が許可されている年齢が異なることや、どちらの国で先に婚姻届けを出すかによってその後の流れが異なることなど、注意すべき点が多くあります。また、在留資格は結婚しただけでとれるものではなく、適切な手続きを行う必要があります。

もし、中国人との婚姻や、在留資格のことでお困りでしたら、外国人のサポートに関して豊富な実績がある弊社まで、お気軽にお問い合わせください。

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