はじめに
M&Aは、契約を締結して代金を支払えば終わりではありません。期待したシナジーを実現できるかどうかは、その後の統合プロセス、いわゆるPMI(Post Merger Integration)に大きく左右されます。
もっとも、PMIでは、すべての人事労務の制度を一律に統一すればよいわけではありません。対象会社の独自性や自律性を維持することが、M&Aの目的にかなう場合もあります。まずはM&Aの目的や統合後の経営方針を踏まえ、何を統合し、何を残すのかを決めることが重要です。
本稿では、PMIにおける人事労務の課題を整理したうえで、人事制度をどの範囲まで統合するのか、また、統合を進める際にどのような点に注意すべきかを解説します。特に、制度統合によって労働条件の引き下げが生じる場合の考え方と実務対応を詳しく取り上げます。
1.PMIにおける人事労務の課題
PMIにおける人事労務の課題は多岐にわたります。M&Aのスキームに応じて必要となる労使協定や社会保険等の手続に加え、労務デューデリジェンス(労務DD)で判明した問題の是正、人事・賃金制度の統合、組織や役職体系の整理などを進めていく必要があります。
制度統合の前提として労務上の問題を整理する
労務DDなどで法令違反や不適切な運用が判明している場合には、制度統合を待たずに早期に是正を進める必要があります。未払賃金などの問題を放置すれば債務が拡大する可能性があるほか、問題のある制度や運用を前提に統合後の制度を設計することにもなりかねません。
そのため、PMIでは、既存の労務上の問題の整理・是正を先行させるか、制度統合と並行して進めることが基本となります。
本稿では、法令違反の具体的な是正方法には立ち入らず、PMIの主要なテーマの一つである「人事制度の統合」に焦点を当てます。
統合には時間がかかる
人事労務の制度を統合する場合には、まず両社の制度や運用の違いを把握し、どこまで統合するのか方針を決めます。そのうえで、新たな制度を設計し、必要に応じて従業員への説明や労働条件変更の手続を行い、就業規則や賃金規程などに反映していきます。
こうした制度統合には一定の時間を要します。一方で、統合方針が長期間示されない状態が続けば、従業員は自分の処遇や今後の働き方について不安を抱えることになります。特に、統合後も事業の中核を担う人材の離職は、M&A後の事業運営にも大きな影響を与えます。
そのため、細部に至るまですべて確定してから説明するのではなく、統合の基本方針や今後のスケジュールについては、決まった段階で大枠の方向性を伝えておくこともあり得ます。
2.M&Aスキームによって異なる労働契約の承継
PMIで人事制度の統合を検討する際は、まず、M&A後に従業員の労働契約や労働条件がどのように引き継がれるのかを確認する必要があります。労働契約の承継方法はM&Aのスキームによって異なり、それによって制度統合の出発点も変わります。
スキームごとの労働契約の扱い
| スキーム | 労働契約の扱い |
|---|---|
株式譲渡・株式交換・株式移転 | 株主が変わっても、労働契約上の使用者である対象会社は変わりません。労働契約も労働条件もそのまま続きます。 |
合併 | 存続会社(新設合併では新設会社)が、消滅会社の労働契約を労働条件ごと包括的に承継します。従業員の個別の同意は要りません。 |
会社分割 | 労働契約承継法に基づく手続に従い、分割契約または分割計画の内容に応じて労働契約が承継されます。承継される労働条件は原則として維持され、一定の労働者には異議申出の手続が設けられています。 |
事業譲渡 | 労働契約の移転には、従業員本人の同意が必要です。労働契約を承継する方法のほか、譲渡会社をいったん退職し、譲受会社と新たに雇用契約を結ぶ転籍の方法もあります。 |
M&Aスキームによって異なる制度統合の出発点
株式譲渡・株式交換・株式移転では使用者そのものが変わらず、合併や会社分割でも、承継された労働契約の労働条件は原則として維持されます。そのため、M&Aが実行されたことだけを理由に、従業員の労働条件が当然に統一されるわけではありません。
合併や会社分割によって異なる人事・賃金制度を持つ会社の従業員が同じ会社に所属することになれば、統合直後は複数の労働条件や人事制度が併存することがあります。PMIでは、こうした状態を前提として、制度を統一するのか、併存させるのか、あるいは一部のみを統合するのかを検討していくことになります。
制度統合によって既存の労働条件を変更する場合には、その内容にも注意が必要です。特に、賃金や手当など一部の従業員にとって労働条件の引き下げとなる場合には、第5章で解説する不利益変更の問題が生じます。
一方、事業譲渡では、労働契約の移転に従業員本人の同意が必要となるため、譲受会社への移籍にあわせて労働条件を提示し、新たな条件について合意する余地があります。ただし、既存の労働条件から大幅な引き下げを提示すれば、従業員が移籍に同意せず、事業運営に必要な人材を承継できない可能性もあります。
このように、PMIにおける人事制度の統合は、M&A後にどのような労働契約・労働条件が引き継がれているのかを出発点として検討する必要があります。
3.統合範囲は買収後の運営構想から決める
最初に決めるべきはM&A後の運営の姿
制度統合すること自体が目的ではなく、M&Aによって実現したい事業上の目的やシナジーを踏まえ、どのような組織・人材運営を行うのかを考えたうえで、その実現に必要な範囲で制度を統合していくことが基本です。
そのため、制度ごとの統合方法を検討する前に、まずはM&A後の運営構想を明確にし、そこから逆算して、何を統合し、何を残すのかを決めていきます。
代表的な三つの運営構想
M&A後の運営構想は、統合の程度に応じて、大きく次の三つに整理できます。実際には、事業や機能によって異なる考え方を組み合わせる場合もあります。
| 運営構想 | 内容 | 統合の考え方 |
|---|---|---|
独立運営 | M&Aで取得した会社・事業を買主側の既存の組織とは独立した単位として運営し、経営や人事労務の運用を基本的にその単位に委ねる | 統合は、グループとして共通管理する人事情報やコンプライアンス方針など、共通化の必要性が高い領域にとどめる |
部分統合 | 事業の運営は買主側の組織と分けたまま、一部の機能や人材交流の仕組みを共通化する | 等級・評価の枠組み、給与計算などの運用基盤、人材交流のルールなど、連携に必要な領域を選んで統合する |
一体運営 | 取得した会社・事業を買主側の組織と一体的に運営し、人材の異動や配置も横断的に行う | 処遇や就業ルールを含め、広い範囲で統合を検討する |
また、当面は独立運営や部分統合とし、一定期間後に一体運営へ移行するなど、運営構想そのものを段階的に移行していく場合もあります。その場合は、将来の姿を見据えて、先に統合しておく領域と後に回す領域を整理しておきます。
統合範囲を考えるうえでは、M&A後に両社の従業員が同じ法人に所属するかどうかも重要な要素です。合併では実行時点から両社の従業員が同じ法人に所属し、吸収分割や買主が事業を譲り受ける事業譲渡でも、承継・移籍した従業員は買主側の従業員と同じ法人で働くことになります。
同じ法人の中で異なる人事制度や労働条件を併存させること自体が直ちに問題となるわけではありませんが、人材の一体運用を進める場合には制度の違いが異動や配置の障害になることや、管理負担が増加することが懸念されます。
制度の統合範囲を具体化する際の判断要素
運営構想を決めたら、次の要素を踏まえて統合の範囲を具体化していきます。主な判断要素は次のとおりです。
- 人材の一体運用の度合い:異動や出向、共同での業務遂行をどの程度行うかを見極めます。人の行き来が多いほど、等級や処遇の違いが運用上の支障になります。
- 制度統合による効果:制度を統合することで得られる管理効率や人材活用上の効果、事業運営におけるシナジーを検証します。
- 制度を併存させるコスト:複数の制度を維持・管理する場合のコストを検証します。
- 対象会社の強みの維持:対象会社独自の処遇や働き方が、採用力や人材の定着、事業の強みにつながっている場合があります。統合によって採用・定着や事業運営に支障が生じないかを確認します。
- 従業員への影響:制度統合によって労働条件が変わる従業員や、不利益変更となる可能性のある従業員がどの程度いるか、その影響がどの程度大きいかを把握します。
- 法的・制度的な制約:退職金・企業年金のように、制度の種類によっては移行に制約がある場合があります。移行上の制約の有無を確認し、統合が実現できるかを見極めます。
検討の結果、一部の領域、あるいは全体について統合しないという判断もあり得ます。重要なのは、統合すること自体を目的とせず、M&A後の運営構想との整合性を踏まえて判断することです。
4.領域ごとに統合の必要性と統合方法を検討する
第3章で定めたM&A後の運営構想を踏まえ、次に、人事労務の各領域について統合の要否と方法を具体的に検討します。
一体運営を目指す場合であっても、すべての制度を同時に一本化する必要はありません。統合による効果や必要性、実施の難易度は領域によって異なるため、それぞれの特性を踏まえて判断していくことが重要です。
領域ごとの判断の目安
人事労務の主な領域を、「処遇の制度」「人材の運用」「労働条件・就業ルール」「運用基盤」の4つに整理し、統合の必要性が高まる場面と、制度を併存させやすい場面をまとめると、次のようになります。
| 種別 | 領域 | 統合の必要性が高まる条件 | 制度を併存させやすい条件 |
|---|---|---|---|
処遇の制度 | 等級・評価・賃金 | 人材の相互活用や異動を行う。同一・類似業務を両社の従業員が担う | 事業や勤務地が分かれ、人材の行き来が限定的 |
処遇の制度 | 退職金・企業年金 | 合併等により一体運営する。将来的な一本化を予定している | 制度の種類や加入形態、給付設計が大きく異なる |
人材の運用 | 採用・育成 | グループ横断で人材を活用する。採用や育成を共通化したい | 求める人材像や採用市場、育成方針が異なる |
人材の運用 | 雇用区分・配置・異動 | 異動・出向を行う。人材活用の単位を共通化する | 採用・配置が各社・各事業で完結している |
労働条件・就業ルール | 労働時間制度・休日休暇 | 同一事業場で勤務する。同じ業務を共同で行う | 職種、勤務形態、繁閑の特性が異なる |
労働条件・就業ルール | 福利厚生 | 同じ職場で勤務し、制度差が採用・定着や従業員の納得感に影響する | 対象者、利用実態、事業特性が異なる |
労働条件・就業ルール | その他の就業ルール(服務規律、休職、懲戒等) | 同一事業場で運用する。組織再編によって一法人になる | 法人・事業場ごとに異なる運用を継続する合理性がある |
運用基盤 | 給与計算・勤怠管理 | 管理効率やコスト削減を重視する | 賃金体系、締日・支給日、勤怠制度が大きく異なる |
運用基盤 | 人事情報の管理 | 人員・人件費・人材情報をグループ共通の基準で把握・活用したい | 各社で必要となる情報項目や利用目的が大きく異なる |
統合する場合の方法
統合すると判断した領域については、次に、どのように統合するかを検討します。代表的な方法は、次の三つです。
| 型 | 内容 | 選びやすい場面 | 注意点 |
|---|---|---|---|
一方の制度にそろえる | いずれか一方の制度を統合後の制度として採用する | 一方の制度を中心に組織・人材運営を行う場合 | 制度を変更する側の従業員への影響が大きくなりやすい |
両社の制度を組み合わせる | 項目ごとに両社の制度を比較し、採用する仕組みを組み合わせる | 両社の制度にそれぞれ残すべき特徴がある場合や、一方へ全面的に寄せることが難しい場合 | 有利条件だけを組み合わせると人件費が膨らむ可能性がある |
新しい制度を作る | 両社の制度を見直し、新たに設計し直す | 双方の制度が大きく異なる場合や、統合を機に既存の制度を抜本的に見直したい場合 | 時間と費用がかかり、移行までの期間が長くなる |
一方の制度にそろえる場合には、買主側の制度をベースとすることが比較的多いと考えられますが、対象会社の制度の方が統合後の事業や人材運営に適している場合には、その制度をベースにすることも考えられます。なお、いずれの方法でも、設計の内容によっては、対象会社の従業員だけでなく買主側の従業員の労働条件も変わる可能性があります。
売主グループの福利厚生制度やシェアードサービスを利用していた場合
買収した会社や事業が、売主グループの福利厚生制度や管理部門のシェアードサービスを利用していた場合には、通常の制度統合とは異なる検討が必要になります。
例えば、対象会社の給与計算を売主グループのシェアードサービス部門が行っていた場合、M&A後もそのまま給与計算を続けてもらえるとは限りません。売主グループの福利厚生制度や企業年金に加入していた場合も、グループから離脱することで利用資格を失うことがあります。
このように従前の福利厚生制度やシェアードサービスを利用できなくなる場合には、代替となる措置を講じる必要があります。
例えば、次のような対応が考えられます。
- 給与計算・勤怠管理
売主グループのシェアードサービスを利用していた場合には、買主グループの勤怠管理・給与計算オペレーションに組み込むのか、対象会社が独自に勤怠管理・給与計算体制を構築するのか、外部へ委託するのかといった方向性を決める必要があります。 - 福利厚生
売主グループの団体保険、社宅制度、福利厚生サービス、持株会、各種割引制度などを利用していた場合には、M&A後も利用できるかを確認します。利用できなくなる場合には、買主グループの制度へ移行する、対象会社独自の制度を設ける、外部サービスで代替するなどの対応を検討します。 - 退職金・企業年金
売主グループの退職金制度や確定給付企業年金、確定拠出年金などに加入していた場合には、M&A後の取扱いを確認する必要があります。買主側の制度へ移行できるのか、対象会社で別の制度を設けるのか、従前の制度に係る権利をどのように取り扱うのかなど、制度の種類に応じた検討が必要になります。 - 人事システム・人事情報管理
人事情報、勤怠、評価、給与などを売主グループ共通のシステムで管理していた場合には、クロージング後もそのシステムを利用できるとは限りません。買主側システムへの移行、新システムの導入、データ移行の方法や時期などをあらかじめ決めておく必要があります。
このように、売主グループへの依存度が高い対象会社では、クロージング後の事業運営を止めないために、どの制度・機能をどの方法で引き継ぐかを整理しておくことも重要です。
恒久的な体制をクロージングまでに整えることが難しい場合には、一定期間、売主から給与計算やシステム利用などのサービス提供を受ける移行サービス契約(TSA)を利用する方法もあります。その間に、買主グループへの統合や独自体制への移行を進めます。
また、代替制度へ移行した結果、退職金、福利厚生その他の労働条件が従前より不利になる場合には、単なるシステム移行の問題ではなく、労働条件の不利益変更としての検討も必要になります。
5.労働条件の不利益変更への対応
制度統合によって、一部の従業員の労働条件が引き下がることがあります。例えば、賃金や手当、退職金、休日などについて、条件の異なる二つの制度を一本化する場合です。
こうした労働条件の引き下げは、会社が自由に行えるものではありません。統合後の制度を設計する際には、誰にどの程度の不利益が生じるのかを確認し、その内容に応じた変更方法を検討する必要があります。
不利益の程度を把握する
変更方法を検討する前提として、統合案の候補ができた段階で、従業員ごとに統合前後の労働条件を比較し、不利益が生じる対象者とその程度を試算します。全体として処遇水準が上がる制度であっても、項目別・個人別に見ると一部の従業員に不利益が生じることがあるため、平均値や人件費総額ではなく、個人単位で確認することがポイントです。
比較する項目は賃金額だけではありません。所定労働時間や休日・休暇のほか、変形労働時間制、フレックスタイム制、みなし労働時間制など適用される労働時間制度が変われば、賃金額が同じでも実質的な労働条件に影響が生じます。固定残業代も、有無や金額、対象となる時間数、基本給との配分が変われば、割増賃金の計算基礎に影響することがあるため、月給総額だけでなく制度の構成まで含めて確認します。
不利益の程度に応じて変更方法を検討する
労働条件を変更する主な方法には、従業員との個別合意による方法と、就業規則の変更による方法があります。
実務上は、変更する労働条件の内容や従業員が受ける不利益の程度などを踏まえていずれの方法をとるか、あるいは両者を組み合わせるかを検討します。
特に、賃金や退職金の引き下げなど、従業員への影響が大きい変更については、会社から変更の必要性や具体的な影響を丁寧に説明し、従業員の理解を得たうえで個別の合意形成を進めることが有用です。個別にコミュニケーションを行うことで、変更内容についての認識の相違や、変更後のトラブルを防ぐことにもつながります。
一方、不利益の程度や変更の必要性、制度全体の内容などを踏まえて、就業規則の変更によって統一を進める場合もあります。また、就業規則を改定したうえで、影響の大きい従業員については個別に説明し、合意を得るなど、両者を組み合わせて進めることもあります。
個別合意を得る場合の注意点
労働契約法では、労働者と使用者の合意によって労働条件を変更することが認められています。
ただし、不利益な変更については、同意書への署名があればそれだけで十分というわけではありません。特に賃金や退職金など重要な労働条件を変更する場合には、従業員が変更内容や自らに生じる不利益を理解したうえで、自らの自由な意思で同意したといえることが重要になります。
最高裁判例でも、不利益の内容や程度、同意に至った経緯、事前の情報提供や説明の内容などを踏まえて、同意が労働者の自由な意思に基づくものかを判断する考え方が示されています。
そのため、PMIにおいて個別合意を得る場合には、新旧の労働条件や具体的な影響を示し、変更の理由を説明するとともに、従業員が内容を確認・検討できる機会を設けることが重要です。
就業規則を変更する場合の注意点
就業規則の変更によって労働条件を引き下げる場合には、変更後の就業規則を従業員に周知するとともに、その変更が合理的なものであることが必要です。
変更の合理性は、従業員が受ける不利益の程度、変更の必要性、変更後の制度内容の相当性、労働組合等との交渉状況などを踏まえて総合的に判断されます。
そのため、制度統合の必要性があるからといって、直ちにどのような引き下げでも認められるわけではありません。不利益が大きい場合には、統合前後の賃金差額を調整給として一定期間支給する、数年かけて段階的に新制度へ移行する、他の労働条件を改善して影響を補うといった緩和措置もあわせて検討します。こうした措置は、就業規則の変更による場合は変更の合理性の判断において、個別合意による場合は同意が自由な意思に基づくものかの判断において、考慮される事情にもなり得ます。
6.新制度への移行
統合後の制度が決まったら、適用開始日に向けて実際の運用へ落とし込みます。制度設計が適切でも、移行の準備が不十分であれば、給与計算の誤りや従業員との認識のずれにつながるため、制度の切替え後の初期運用までを一連のプロセスとして進めることが重要です。
移行日から逆算して準備する
まず、新制度の適用開始日を決め、そこから逆算して必要な対応を整理します。
就業規則や賃金規程の改定、必要な労使手続・届出、従業員への説明、給与・勤怠システムの設定変更など、それぞれに必要な準備期間を踏まえてスケジュールを組みます。
複数の制度を統合する場合も、すべてを同じ日に切り替える必要はありません。労働条件への影響や準備に要する期間を踏まえ、段階的に移行することも検討します。
従業員への説明を移行プロセスに組み込む
制度変更の内容だけでなく、なぜ統合するのか、いつから変わるのか、自身の労働条件にどのような影響があるのかを従業員が理解できるように説明します。
特に不利益が大きい従業員については、第5章で述べた個別の合意形成も含め、十分なコミュニケーションを図ることが重要です。
初回の運用を必ず確認する
新制度への切替え後は、最初の給与計算や勤怠処理が設計どおりに行われているかを確認します。
特に賃金制度や労働時間制度を変更した場合には、システム設定の誤りによって、基本給・各種手当・割増賃金などが想定と異なる計算になることがあります。新制度の適用前に試算を行い、適用後も初回の処理結果を確認することが重要です。
7.RSM汐留パートナーズによる支援
RSM汐留パートナーズ社会保険労務士法人では、M&A後の人事労務の統合について、運営構想を踏まえた統合範囲の検討から、両社の制度の比較と従業員ごとの影響試算、統合案の設計、就業規則・賃金規程の整備、従業員への説明資料の作成、変更手続、運用の定着まで、一貫してご支援しています。労務DDで把握した課題の是正にもあわせて対応し、グループ内の公認会計士・税理士とも連携して進めます。M&A後の人事労務の統合に少しでも不安がある場合は、お気軽にご相談ください。
