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日本における「在留カード」の概要と外国人を雇用する際の論点・注意点

日本における「在留カード」の概要と外国人を雇用する際の論点・注意点

日本進出, 外国人雇用・イミグレーション
2026年3月12日

近年、日本国内で働く外国人の数は増加傾向にあり、多くの企業にとって外国人人材の確保は重要な経営課題の一つとなっています。しかし、外国人を雇用する際には、日本人を雇用する場合とは異なる法的な確認手続きが求められます。その中心となるのが「在留カード」の確認です。本記事では、入管法(出入国管理及び難民認定法)の基礎知識に基づき、在留カードの概要、正しい見方、および雇用主が留意すべき論点について解説します。

在留カードは、日本に中長期間在留する外国人に対して、出入国在留管理庁長官がその在留許可に伴って交付するカードです。これは、その外国人が適法に日本に滞在しており、かつどのような活動(就労など)が認められているかを証明する「許可証」としての性質を持っています。

原則として、3ヶ月を超える在留期間が付与された中長期在留者が対象となります。したがって、観光目的の「短期滞在」や、外交官などの「外交」「公用」の在留資格を持つ者には交付されません。

中長期在留者には、在留カードの常時携帯が法律で義務付けられています。また、入国審査官や警察官等から提示を求められた場合には、提示する必要があります。

企業が外国人を雇用する際、最も避けなければならないリスクの一つが「不法就労助長罪」です。雇用しようとする外国人が就労可能な在留資格を持っていない場合や、許可された範囲を超えて働かせてしまった場合、事業主も処罰の対象となる可能性があります。知らなかった場合でも、確認を怠った過失があれば免責されないケースがあるため、在留カードによる厳格な確認が求められます。

採用面接や雇用契約の締結時には、在留カードの原本(コピー不可)を確認することが推奨されます。特に以下の項目は、就労の可否を判断する上で重要な論点となります。

在留カードの表面には「就労制限の有無」という欄があります。ここの記載内容によって、その外国人がどのような条件で働けるかが決まります。

  • 「就労制限なし」
    永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者などが該当します。日本人と同様に、職種や労働時間の制限なく就労が可能とされています。
  • 「在留資格に基づく就労活動のみ可」
    「技術・人文知識・国際業務」や「特定技能」などが該当します。許可された在留資格の範囲内の業務に限り従事することができます。例えば、エンジニアとして許可されている外国人を、工場の単純労働や飲食店のホールスタッフとして雇用することは、原則として認められません。
  • 「指定書により指定された就労活動のみ可」
    「特定活動」などが該当します。具体的な活動内容はパスポートに添付される「指定書」を確認する必要があります。
  • 「就労不可」
    「留学」や「家族滞在」などが該当します。原則として働くことはできませんが、後述する「資格外活動許可」を得ている場合は、一定の範囲内で就労が可能となります。

表面で「就労不可」となっていても、カード裏面の「資格外活動許可欄」に以下の記載がある場合は、アルバイト等での雇用が可能となります。

「許可(原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く)」

留学生などをアルバイトとして雇用する場合は、この記載の有無と、週28時間以内という労働時間の上限管理が重要となります。

在留カードには有効期間があります。有効期間満了日を過ぎているカードは失効しているため、その時点で不法滞在となっている可能性があります(ただし、更新申請中である場合を除く)。採用時だけでなく、雇用継続中も期限管理を行うことが望ましいと言えます。

近年、精巧に偽造された在留カードが出回っている事例が報告されています。目視での確認に加え、デジタルツールを用いた確認を行うことで、リスクを低減できると考えられます。

出入国在留管理庁は、Webサイト上で「在留カード等番号失効情報照会」サービスを提供しています。在留カード右上の「在留カード番号」と「有効期間満了日」を入力することで、そのカード番号が失効していないかを確認することができます。

また、ICチップを読み取るスマートフォンアプリも公式に提供されており、これによりカード券面の情報とICチップ内の情報が一致しているかを確認することも有効な手段とされています。

外国人を雇い入れた場合、および離職した場合には、事業主は「外国人雇用状況の届出」を行うことが法律で義務付けられています。

ハローワークへ雇用保険被保険者資格取得届(様式第2号)又は雇用保険被保険者資格喪失届(様式第4号)を提出することで、外国人雇用状況の届出を行ったこととなります。届出期限は、雇用保険被保険者資格取得届又は雇用保険被保険者資格喪失届の提出期限と同様です(雇入れの場合は翌月10日までに、離職の場合は翌日から起算して10日以内)。

ハローワークへ外国人雇用状況届出書(様式第3号)を提出してください。届出期限は、雇入れ、離職の場合ともに翌月末日までです。(インターネットでの届出も可能です)。

この届出を怠ったり、虚偽の届出を行ったりした場合には、罰金等の対象となる可能性があるため、確実な手続きが求められます。

外国人を雇用する際は、人物等の評価だけでなく、在留カードを通じた「就労資格の適法性」を確認することが極めて重要です。特に以下の3点は基本的な確認事項と言えます。

  1. 在留カード原本の確認(写真との同一性、偽造の有無)
  2. 就労制限の有無と内容の確認(自社の業務内容と合致するか)
  3. 在留期限の管理

制度は複雑であり、法改正も頻繁に行われる分野です。判断に迷う場合や、特定技能などの複雑な手続きを要する在留資格の申請については、専門的な知識を持つ行政書士等の専門家へ相談することも、コンプライアンス遵守の観点から有効な選択肢の一つと言えるでしょう

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