商業登記関係 相談事例 【相談事例】ビットコインを現物出資して合同会社を設立したい
合同会社の設立と現物出資
合同会社を設立するときは、当該合同会社の社員になろうとする者は、定款の作成後、合同会社の設立の登記をする時までに、その出資に係る金銭の全額を払い込み、又はその出資に係る金銭以外の財産の全部を給付しなければなりません(会社法第578条)。
設立時社員は1円以上の出資の履行が必須となりますが、これはキャッシュに限られず、貸付金等の債権や、株式・自動車等の動産あるいは土地・建物といった不動産を出資することも可能です。
最近では、仮想通貨が高騰していることも起因しているのでしょうか、節税目的で仮想通貨を現物出資して合同会社を作りたいというお問い合わせをいただくことがあります。
今回はビットコインを現物出資して合同会社を作りたいというご相談でした。
現物出資と合同会社
仮想通貨を現物出資して設立する法人形態は、合同会社が便利です。
500万円以上の現物出資 | 検査役の選任が必要(原則) | 検査役は不要 |
設立登記費用(実費) | 約21万円※ | 約6万円※ |
資本金への計上 | 出資額の2分の1以上 | 制限なし |
決算公告義務 | あり | なし |
役員の任期 | あり | なし |
※設立登記費用(実費)は電子定款を用いた場合で、資本金の額が100万円を想定しています。
仮に仮想通貨を5000万円分出資をしたとしても、合同会社であればその全額を資本剰余金に計上することもできますので、登録免許税を抑えることが可能です。
利確に注意
仮想通貨を個人から合同会社に出資をすると、その時点で利益が生じている場合は、利益確定となり課税の問題が生じます。
仮想通貨を合同会社へ現物出資する際は、利確による所得税にご注意ください。
出資する価額
出資した仮想通貨の内容と価額は定款に記載します。
定款には、仮想通貨の名称・数量・特定するためのアドレス・価額・基準日あたりを記載しておけば登記手続き上問題ありません。
価額は、基準日(現物出資日)のCoincheck等の取引所にある通貨の終値一覧の価額が一つの基準になります(税理士にご確認ください)。
この記事の著者
司法書士
石川宗徳
1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)
2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。
2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。
また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。