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代表司法書士 石川宗徳の 所長ブログ&コラム

【株式会社】自社で役員変更登記をするときの注意点

役員変更登記

株式会社の取締役や監査役に変更が生じたときは、その変更登記を法務局へ申請します。

最近では、商業・法人登記に関する法務省のホームページの内容も充実しており、また、自社で変更登記を行うことをサポートする有料のサービスも増えています。

これらは物事が決まった後に、それを事実に沿った内容の登記簿を完成させるための良いサービスですが、根本の会社法の知識がないと会社法違反、定款違反の状態を生じさせてしまうことがあります。

このページでは、役員変更の登記に関してよく見かける間違いから、その注意点を記載しています。なお、添付書類の不足や記載ミス、押印ミスであれば、登記官から補正通知(修正依頼)の連絡が来るでしょうから、ここでは添付書類の注意点については記載していません。

ところで司法書士は、単に言われたまま書類を作成して登記申請するのではなく、会社法違反や定款違反とならないかの確認もしています。

役員変更の登記のみであれば、司法書士報酬も数万円であることが多いかと思いますので、それが許容できるのであれば、役員変更登記はお近くの司法書士にご相談されてみてください。

取締役の追加選任と任期切れ

役員が取締役Aのみの株式会社に、取締役Bを追加で選任することがあります。

このときに、取締役Aの任期が切れている場合、取締役Aの再任を行わない限り、取締役Bが選任されると同時に取締役Aは退任します(取締役の人数につき1名以上と定款で定めている会社)。

取締役の任期が2年、取締役Aが2015年に選任されて以降再任の決議がなく、取締役Aの任期が切れている状況で取締役Bが選任されるようなケースです。

取締役AB・代表取締役Aとする予定であったのに、取締役Aの任期が切れていたため、取締役B・代表取締役Bの株式会社になってしまいます。

役員の任期と重任

役員の任期が満了したことにつき、登記官は、登記申請がされた時に株主総会の議事録の記載等によって判断します。

登記簿には役員の任期が記録されませんので、原則として会社側が役員の任期を把握・管理し、役員の再任の手続きや変更登記をしなければなりません。

役員の任期の計算は一律、選任されてから2年後ではなく、役員が選任された日や定款の記載によって異なります。

また、増員や補欠として選任された役員は、定款の内容によっては他の役員の任期に引っ張られることがあります。

代表取締役の住所変更と重任

代表取締役の任期が切れているのに、任期が満了した後の日付で、代表取締役の住所変更登記がされている(している)ことがあります。

2019年に任期が切れて再任の決議をしているにも関わらず、重任登記をしておらず、2021年に住所移転をし、2021年にその住所変更の登記をしているようなケースです。

本来であれば、2019年に(当時の住所で)重任の登記をし、2021年に住所変更登記をするべきですが、新しい住所の登記を入れてしまっている以上、当時の住所で2019年付けの重任の登記をすることができません。

この場合、登記官と調整も必要かと思いますが、2019年付け重任登記は新しい住所で入れることになるでしょうか。

役員の旧姓併記

取締役や監査役の旧姓併記の申出は、その就任登記(重任登記含む)と同時に行う必要があります。

旧姓併記の申出を忘れて取締役や監査役の就任登記が終わった後は、次の再任の登記までは旧姓併記の申出をすることができません。

就任の登記が終わった後でも、一度辞任+就任をすれば旧姓併記の申出をすることができますが、そこまでして旧姓を併記するかどうかは検討が必要でしょうか。

取締役の人数

取締役の辞任による退任の登記や、任期満了による退任の登記をするときに、当該取締役が退任することによって会社法又は定款の定めを下回る取締役の人数になってしまう場合は、当該取締役は権利義務取締役となり退任することができません。

会社法が定める取締役の最低人数は、取締役会設置会社は3名以上、取締役会非設置会社は1名以上です。

取締役会非設置会社において、定款で取締役の最低人数を2名以上と定めているときは、取締役2名のうち1名が辞任しても、辞任による退任の登記を申請することはNGです。

しかし、定款の添付を要しないケースの登記申請においては、登記官からは定款の内容が分からないため、その登記を申請すると審査は通ってしまうものと思われます(定款違反、事実と異なる登記)。

この場合、取締役が1名になるタイミングに合わせて、株主総会の特別決議で当該定款の定め(取締役人数2名以上→1名以上)を変更すれば問題ありません。

取締役会の廃止と譲渡制限規定

非公開会社で、かつ、取締役会を設置している会社は、株式の譲渡につき取締役会の承認を要するとしていることが多いです。

取締役会を廃止するときは、取締役会に関する規定の削除等の定款変更を行うことになりますが、譲渡制限規定についても、その承認機関を取締役会から株主総会や代表取締役等に、変更する必要があります。

取締役を1名にする変更と責任免除規定

取締役等による免除に関する定款の定め(会社法第426条1項)は、取締役が2名以上いる会社が対象となりますので、取締役1名にするのであれば、当該定款の定めを削除します。

この定款の定めは登記事項ですので、取締役を1名に変更する登記と一緒に、当該定款の定めを廃止する旨の変更登記も行います。

監査役の廃止

監査役が1名の会社において、当該監査役が辞任によって退任するときは、監査役設置会社の定めを廃止しない限り、辞任をしても権利義務監査役として残るため監査役を退任することができません。

次の株式会社は、会社法上監査役を設置する義務がありますので、監査役を廃止するのであれば次の対象から外れる必要があります。

  1. 取締役会設置会社
  2. 監査役会設置会社
  3. 会計監査人設置会社
  4. 定款に監査役を設置する旨の記載のある会社
監査役の廃止等と責任限定契約・免除規定

監査役を廃止するときは、責任限定契約規定と責任免除規定の変更・廃止も生じる可能性があります。

責任限定契約規定につき、監査役に関しても記載があるのであれば監査役の廃止と同時に当該箇所を削除する必要があり、当該規定は登記事項ですので、その変更登記も行います。

責任免除規定は監査役設置会社であることが前提の規定ですので、監査役を廃止するときは当該規定を削除し、また、こちらも登記事項ですので、その廃止に関する登記も行います。

監査役の再任と会計限定の登記

平成27年(2015年)5月以降、監査役の権限を会計に関するものに限定している会社は、その旨の登記を申請しなければなりません。

なお、この登記は平成27年5月以降に監査役に関する登記をするまでは、しなくてもOKということになっています。

また、平成18年(2006年)5月より前に設立された会社で、平成18年5月1日0時の時点で資本金の額が1億円未満(+負債の額が200億円以下)の会社は、監査役の権限を会計に関するものに限定している会社とみなされます。

監査役に業務監査権限を付与する定款変更の決議を行っていない場合、平成18年5月1日0時の時点で資本金の額が1億円未満の会社で、監査役の変更登記をするときは、この監査役の会計限定の登記に注意が必要です。

会計限定監査役への業務監査権限の付与

権限が会計に関するものに限定されている監査役に業務監査権限を付与したときは、監査役は退任します。

同じ人に監査役を引き続き行ってもらう場合は、その再任登記が必要となります。

監査役に業務監査権限を付与する定款変更に関する株主総会において、監査役の選任も同時に行うと、株主総会を再度開催する必要が無くなります。

社外監査役の登記

監査役会設置会社においては、監査役につき、社外監査役である旨の登記が必要です。

監査役の過半数につき社外監査役である旨の登記がされないと補正の対象となりますが、監査役ABCDが社外監査役であるのにも関わらず、監査役ABCのみ社外監査役である旨の登記を申請したとしても、それは通ってしまうものと思われます。

監査役Dも社外監査役であるのであれば、監査役Dについても社外監査役である旨の登記を入れることになるでしょう。

会計監査人の重任

会計監査人の任期は、選任後1年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時まで、です(会社法第338条1項)。

そのため、会計監査人を置き続けるのであれば、毎年の定時株主総会後に会計監査人の重任登記を申請しなくてはなりません。

なお、定時株主総会において別段の決議がされなかったときは、当該定時株主総会において再任されたものとみなされますので、議案として会計監査人の選任を盛り込む必要はありません(会社法第338条2項)。

再任されたものとみなされるということは、会計監査人を廃止するのであれば、会計監査人を廃止する旨の決議をしないと、会計監査人は設置し続けることになります。

種類株主総会の決議を忘れる

種類株式発行会社であっても、原則として、役員変更登記に種類株主総会の決議は不要です。

しかし、次のようなケースでは種類株主総会の決議が必要となる可能性がありますので、決議のし忘れにはご注意ください。

  1. 役員選任付種類株式を発行しているケース
  2. 登記事項である定款の定めを変更するときに、定款変更につき拒否権条項付種類株式を発行しているケース

この記事の著者

司法書士
石川宗徳

代表司法書士・相続診断士 石川宗徳 [Munenori Ishikawa]

1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)

2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。

2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。

また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。

汐留パートナーズ司法書士法人では、
商業登記不動産登記相続手続き遺言成年後見など、
様々なサポートを行っております。


 

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