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代表司法書士 石川宗徳の 所長ブログ&コラム

【相談事例】種類株式の内容を一部変更+追加し、株主の持つ種類株式を変更したい

種類株式の内容変更

普通株式とA種株式の2つの種類株式を発行している株式会社が、A種株式の内容を変更し、更にB種株式を新たに定款に設け、新たに株式を発行することなく、既存の株主が有する株式の種類を変更したいというご相談を受けることがあります。

一例として表にすると次のようなイメージです(株主XYZQの4名)。

変更前
変更後
発行済普通株式 1,000株
(X:500株、Y:500株)

発行済A種株式 2,000株
(Z:1,000株、Q:1,000株)
発行済普通株式 1,500株
(X:500株、Z:500株、Q:500株)

発行済A種株式 1,000株
(Z:500株、Q:500株)

発行済B種株式 500株
(Y:500株)

株主総会及び種類株主総会の決議

定款で定められているA種株式の内容を変更すること、及び新たに定款にB種株式を追加するには、株主総会及び各種類株主総会の特別決議による承認が求められます(会社法第322条1項)。

具体的には、次の3つの株主総会の決議が必要です。

  1. 株主総会(全体)
  2. 普通株式に係る種類株主総会
  3. A種株式に係る種類株主総会
株主の有する株式の種類の変更

上記の例では、各株主が有する株式の種類及び数が次のように変更しています。

株主
変更前
変更後
X
普通株式500株普通株式500株
Y
普通株式500株B種株式500株
Z
A種株式1,000株普通株式500株、A種株式500株
Q
A種株式1,000株普通株式500株、A種株式500株

株主の有する株式の種類の変更は、

  1. 有する株式の種類の変更をする株主と発行会社の合意
  2. 上記株主以外の、当該種類株式を有する株主全員の同意

の手続きを経ることによって行うことが可能です。

≫発行済株式の一部の株式の内容を変更する登記手続き

例えば、株主Yの有する普通株式はB種株式に変更する場合、株主Yと発行会社の合意及び普通株主である株主Xの同意が必要となります。

なお、株主Z,Qの株式につきその一部を普通株式に変更する手続きを先行すると、普通株主たる株主Z,Qの同意も必要となりますが、時系列を整理して書面又は電磁的記録の数が少なくなる方法を選択するとスムーズかと思います。

登記申請

株式の種類の追加並びに発行済株式数及び発行済種類株式数を変更すると、登記事項に変更が生じますので、それぞれ変更が生じてから2週間以内に登記申請をする必要があります(会社法第915条1項)。

この登記の添付書類の一例は次のとおりです。

  • 株主総会議事録、普通株式に係る種類株主総会議事録、A種株式に係る種類株主総会議事録
  • 上記3つの株主総会に係る株主リスト
  • YZQの合意書
  • XYZQの同意書
  • 変更後の定款(上記株主総会議事録において定款の変更内容が分かる場合は不要)

この登記の登録免許税は3万円です。


この記事の著者

司法書士
石川宗徳

代表司法書士・相続診断士 石川宗徳 [Munenori Ishikawa]

1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)

2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。

2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。

また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。

RSM汐留パートナーズ司法書士法人では、
商業登記不動産登記相続手続き遺言成年後見など、
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