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代表司法書士 石川宗徳の 所長ブログ&コラム

責任を限定する契約を締結することができる旨の登記手続き

取締役の追加と責任限定契約の登記

株式会社において設立時から、あるいは資金調達等の際に業務執行取締役等でない取締役が就任するタイミングで、当該取締役と株式会社が責任限定契約を締結することがあります。

  • 業務執行取締役
    =代表取締役、代表取締役以外の取締役であって取締役会の決議によって取締役会設置会社の業務を執行する取締役として選定された取締役及び当該株式会社の業務を執行したその他の取締役(会社法第2条15号イ、同法第363条1項)
  • 業務執行取締役等
    =業務執行取締役若しくは執行役又は支配人その他の使用人(会社法第2条15号イ)

業務執行取締役等でない取締役は、責任限定契約を締結することで一定のリスクヘッジを図ることができ、株式会社と取締役が責任限定契約を締結するにはその旨の定款の定めが必要です。

責任限定契約とは

取締役、会計参与、監査役、執行役又は会計監査人は、その任務を怠ったときは、株式会社に対し、これによって生じた損害を賠償する責任を負うところ(会社法第423条1項)、この責任は総株主の同意があれば免除することができます(会社法第424条)。

上記にかかわらず、株式会社は、取締役(業務執行取締役等であるものを除く。)、会計参与、監査役又は会計監査人(以下「非業務執行取締役等」といいます。)の上記の責任について、当該非業務執行取締役等が職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がないときは、一定の額を限度とする旨の契約を非業務執行取締役等と締結することができる旨を定款で定めることができます(会社法第427条1項)。

このページではこの契約を「責任限定契約」といいます。

責任限定契約における責任の限度額

責任限定契約における責任の限度額は、次のいずれか高い額です。

  1. 定款で定めた額の範囲内であらかじめ株式会社が定めた額
  2. 最低責任限度額

上記の最低責任限度額とは、契約する者がその在職中に株式会社から職務執行の対価として受け、又は受けるべき財産上の利益の1年間当たりの額に相当する額として法務省令(会社法施行規則第113条)で定める方法により算定される額に、2を乗じて得た額です(会社法第425条第1項)。

定款の定め

責任限定契約を締結できる旨の定款の定めの一例は次のとおりです。

当会社は、会社法第427条第1項の規定により、取締役(業務執行取締役等であるものを除く。)との間に、会社法第423条第1項の責任を限定する契約を締結することができる。但し、当該契約に基づく賠償責任の限度額は、法令が規定する額とする。

当該契約に基づく賠償責任の限度額を上記の制定責任限度額としています。具体的な金額を定め、当該金額又は最低責任限度額の低い方と定めるケースもあります。

ところで、2015年(平成27年)5月1日より前に責任限定契約を締結できる旨の定款の定めを置いている株式会社は、契約の対象を社外取締役又は社外監査役のままとしていることも少なくありません。

社外取締役又は社外監査役は取締役(業務執行取締役等であるものを除く。)又は監査役よりも対象範囲を狭めたものですので、そのままでも会社法上はOKですが、対象の範囲を広げるのであればその定款変更が必要です。

定款変更の手続き

定款の変更は、株主総会の特別決議によって行います(会社法第309条2項)。

  1. 取締役会の決議(取締役の決定)
  2. 監査役の同意
  3. 株主総会の決議
  4. 登記申請
1. 取締役会の決議(取締役の決定)

株主総会を招集するため、取締役会の決議で株主総会の日時、場所、目的である事項等を定めます(会社法第298条1項)。

会社法には定められていませんが、株主総会を会社法第319条1項のみなし決議で行う場合、会社法第298条1項に順じて、株主への提案内容を取締役会で承認するケースも多いように思います。

株主間契約等で定款変更につき株主の事前承諾が求められている場合は、当該事前承諾を得ておきます。

2. 監査役の同意

株式会社(監査役設置会社)が責任限定契約の定めの定款変更に関する議案を株主総会に提出するには、各監査役の同意を得なければなりません(会社法第427条3項)。

同様に、監査等委員会設置会社又は指名委員会等設置会社は、各監査等委員又は各監査委員の同意を得る必要がありますが、これらの会社は既に責任限定契約の定めの定款規定があることがほとんどでしょう。

なお、責任免除規定(会社法第426条1項)と異なり、責任限定契約の定めの定款を設けるには監査役を設置することはその条件ではありません。

3. 株主総会の決議

定款変更の議案があるときは、その招集通知にその議案の概要を記載します(会社法施行規則第63条7号)。

この株主総会の決議要件は、特別決議です(会社法第309条2項)。

種類株主発行会社で、定款変更につき拒否権(会社法第108条1項8号)が付いている種類株式があるときは、当該種類株式に係る種類株主総会の決議も必要です。

4. 登記申請

責任限定契約を締結できる旨の定款の定めを設けたときは、その時から2週間以内に管轄法務局へその変更登記の申請を行います(会社法第915条1項)。

この登記の添付書類の一例は次のとおりです。

  1. 株主総会議事録
  2. 株主リスト

この登記の登録免許税は3万円です。


この記事の著者

司法書士
石川宗徳

代表司法書士・相続診断士 石川宗徳 [Munenori Ishikawa]

1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)

2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。

2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。

また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。

RSM汐留パートナーズ司法書士法人では、
商業登記不動産登記相続手続き遺言成年後見など、
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