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代表司法書士 石川宗徳の 所長ブログ&コラム

種類株式の内容を変更するときに当該種類株主の全員の同意が必要な事項に注意

種類株式の変更

定款に普通株式以外の種類株式の定めがない株式会社が新たにA種類株式を追加・発行して資金調達をするケースや、普通株式・A種類株式を発行している会社が新たにB種類株式を追加・発行して資金調達をするケース、あるいは同族会社において種類株式を新たに追加・発行・変更するケースにおいては、種類株式を新たに定款に加えることや既にある種類株式の内容を変更することが求められますが、定款を変更するにはまず株主総会の決議が求められます(会社法第466条)。

加えて、新たに種類株式を追加するときや既存の種類株式の内容を変更するとき(会社法第322条1項)、種類株式発行会社が募集株式・募集新株予約権の発行を行うとき(会社法第199条4項、会社法第238条4項)は、種類株主総会の決議の有無がその効力発生に大きな影響を及ぼします。

さらに、株主総会・種類株主総会の決議だけではなく、特定の事項を種類株式の内容とするときは、当該種類株主全員の同意が求められる事項もあります。

株主全員の同意は得られないけれども株主総会・種類株主総会の特別決議を通せるような状況で、株主全員の同意が求められる事項を見逃して手続きを進めてしまうと当初想定した種類株式の内容とすることができないという事態も生じ得ます。

株主全員またはある種類株主全員の同意が必要な事項

株式・種類株式の変更等に関して株主全員またはある種類株主全員の同意が必要な事項は次のとおりです。

  1. 取得条項を付ける、その内容を変更する
  2. 会社法第322条第2項に関する定めを設ける
1. 取得条項を付ける、取得条項の内容を変更するケース

取得条項はその条件が発動すると発行会社がその株式を強制的に取得することができる強力な内容ですので、既に発行している株式に対して新たに取得条項を付けるときは、当該株式を保有する株主全員の同意が求められます。

その発行する全部の株式の内容として取得条項を付ける場合は全ての株主の同意が必要となり(会社法第110条)、種類株式に付ける場合は当該種類株主全員の同意が必要となります(会社法第111条1項)。

これは新たに取得条項を付けるときだけではなく、既に付いている取得条項の内容を変更(取得条項につき定款の定めを廃止するものを除きます)をするときも同様です。

シリーズAよりも前に種類株式(S)で資金調達をしていたところこの種類株式(S)に株式公開をトリガーとする取得条項が付いておらず、シリーズAのタイミングで種類株式(S)にもS種株主全員の同意を得て取得条項を付けることが考えられます。

種類株式(S)が無議決権株式であっても新たに取得条項を付ける、あるいは取得条項の内容を変更するときは、当該種類株主全員の同意が必要な点は同様です。

取得条項が付いていないと株式公開を決定する段になって、種類株式の全てを普通株式に転換できないという事態が生じるリスクもあります。

ある種類の株式につき、当該種類株主の全員の同意は得られないけれどもその議決権の3分の2以上の承認が得られるようであれば、全部取得条項(会社法第108条1項7号)を用いることで当該種類株式に取得条項を付けることもできるでしょうか。

2. 会社法第322条第2項に関する定めを設ける

特定の事項を行うときは種類株主総会の決議を行う必要があるところ(会社法第322条1項)、定款にその決議を要しない旨を定めることができます(会社法第322条2項)。

ある種類の株式の発行後に定款を変更して当該種類の株式について会社法第322条2項の規定による定款の定めを設けようとするときは、当該種類の種類株主全員の同意を得なければなりません(会社法第322条4項)。

一例として、普通・A種を発行している株式会社が新たにB種を追加して発行するときに、普通・A種に会社法第322条2項の定めがないことから新たに普通・A種に対してその定めを付けるのであれば、普通・A種株主の全員の同意が必要です。

また、A種発行後は普通株式も種類株式と認識しやすくなるので、上記の例では普通株主全員の同意も必要であることに気付きやすいのですが、普通株式のみの会社がA種株式を新たに定款に追加するときに、会社法第322条2項の定めを普通株式にも付けるのであれば、普通株主全員の同意を得ることを忘れやすいので注意が必要です。

上記の例で普通株式全員の同意が得られないのであれば、対象から普通株式に係る種類株主総会を外すことを検討します。多くのケースでは普通株式の議決権につきそのマジョリティを経営者株主(及びその協力者)が保有していますので、普通株式を対象から外したとしても特に問題は生じないように思います(都度、会社法第322条1項の種類株主総会の決議をすればOK)。

なお、会社法第199条4項や会社法第238条4項の定めを種類株式に設けるときは、当該種類株主全員の同意までは不要です(種類株主総会の決議は必要)。

全員出席の種類株主総会

種類株式の内容変更の登記申請をするときに、種類株主全員の同意が必要な事項が含まれるときは、種類株主全員の同意があったことを証する書面を添付します。

商業登記法第46条1項

登記すべき事項につき株主全員若しくは種類株主全員の同意又はある取締役若しくは清算人の一致を要するときは、申請書にその同意又は一致があつたことを証する書面を添付しなければならない。

株主全員から同意書をもらいそれを登記申請書に添付するのが原則となりますが、当該定款変更に係る種類株主総会において種類株主が全員出席し、満場一致で当該議案に賛成している種類株主総会議事録をもって、当該同意があったことを証する書面に代えることも可能です。

対象となる種類株主全員の書面又は電磁的記録による同意に基づく、みなし種類株主総会の決議(会社法第319条1項、会社法第325条)に係る種類株主総会の議事録も同様です。


この記事の著者

司法書士
石川宗徳

代表司法書士・相続診断士 石川宗徳 [Munenori Ishikawa]

1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)

2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。

2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。

また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。

RSM汐留パートナーズ司法書士法人では、
商業登記不動産登記相続手続き遺言成年後見など、
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