相続関係 遺言関係 相続Q&A-よくある質問
よくご相談をいただくご質問とその答えについてまとめました。少しでもご参考になりましたら幸いです。お客様からいただいた疑問とその回答は、随時追加していく予定です。
Q.遺言は何歳から何歳まで書けますか?
A.15歳から生存中は何歳まででも書くことが可能です。しかし、遺言の作成には意思能力が必要とされているため、重度の認知症や精神障碍の方など意思能力が十分でない方は、一般的には遺言を書くことはできないとされています。
Q.エンディングノートを書きました。これは遺言をのこしたことになりますか?
A.エンディングノートとは、ご高齢の方が人生の終末期に迎える死に備えて、自身の希望や今までの人生について書き留めておくノートのことです。自分の介護や葬儀をこうして欲しい、自分の財産はこのように使って欲しい、分けて欲しいといった希望を書いたりされる方もおりますが、遺言には方式が法律で定められており、エンディングノートはこの方式を遵守していないことがほとんどですので、自分の財産を死後にこのように分けて欲しいと記載をしても、法的な効果が無い以上相続人は必ずしもそれに従う必要はないことになります。
亡くなられた本人の意思を尊重するという点においては、相続人全員が任意にそのエンディングノートに記載された相続財産の分配方法に従うということもあります。しかし、本人の希望のみを記載しても相続人間の紛争の種になってしまう可能性は十分にありますので、法的効力のある遺言という形にしておくことをお勧めします。
Q.遺言を書いた後にやっぱり気持ちが変わってしまいました。後で訂正したりもう一度書き直すことはできますか?
A.遺言者は遺言をいつでも、そして何度でも自由に取消したり、書き直すことができます。新しく遺言を作成し、その中で以前に書いた遺言の内容を撤回・修正することもできます。
遺言を何回も書くときは、それぞれの遺言の形式が異なっていても問題はありません。
以前に作成した遺言の内容を、その遺言に加筆するなどして訂正することも可能ではありますが、加筆・訂正には様式が決まっているため(文字を×印で消すだけではダメです)、訂正をしたいときはその訂正が無効とならないように専門家に相談をするか新しい遺言を作成してください。
Q.遺言を作成したほうがいい人やケースとはどのような場合ですか?
A.将来、遺産をめぐって相続人同士で紛争が起こりそうな場合です。
こちらの遺言を書いたほうがいいケースをご参照ください。
Q.遺言の形式はどのようなものがありますか?そしてどの方法が良いのでしょうか?
A.基本的なところで自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類があります。他にもあまり使われることのない遺言の形式はありますが割愛します。
一般的には自筆証書遺言か公正証書遺言が利用されることが多いのですが、弊所では公正証書遺言をお勧めしております。
その理由は、自筆証書遺言は様式不備で無効になる可能性、紛失や偽造変造されてしまう可能性があるからです。さらに自筆証書遺言は、死亡後に遺言書を家庭裁判所で検認してもらう必要があります。
一方で公正証書遺言は、公証役場で保管されるため紛失の心配もなく、偽造変造の心配もありません。公証人が遺言の作成に関わっているため、様式不備の可能性も非常に低いと言えるでしょう。また、遺言作成時の遺言者の意思能力についても公証人が関わっている方が、関わっていない自筆証書遺言に比べて、意思能力があったであろうとプラスに判断されることが多いです(公証人が関与していても意思能力が否定されるケースもあります)。家庭裁判所での検認手続きも不要です。
ただし、公正証書遺言の作成には公証人に対する手数料などが発生するため、事前に費用については確認しておいた方がいいでしょう。
こちらの遺言の種類と選び方もご参照ください。
Q.遺言作成にあまりお金をかけたくありません。自筆証書遺言にしようと思いますが気を付けることはありますか?
A.自筆証書遺言の特徴として、自筆で遺言の内容、氏名、生年月日、日付を記入し、最後に押印すればよいので費用もほとんどかかりません。用紙代くらいです。遺言書を作成したことと、その内容を秘密にできることも特徴でありメリットと感じる人もいます。
デメリットもあります。内容が明確でない場合に(ままこのような遺言を見かけます)、その解釈をめぐって相続人同士で争いが起こってしまう可能性があります。また、自分で遺言内容の一部を訂正しようとすると、その訂正の仕方を間違えてしまい遺言内容の一部が無効となってしまう、あるいは遺言書の様式に不備があるために(押印が無い、パソコンで作成してしまったなど)遺言書そのものが無効となってしまうこともあります。遺言書を見つけた(自分に不利な内容であることを知ってしまった)相続人の誰かに隠される、偽造される恐れもあり、さらには自分の死後に遺言が発見されないこともあり得ます。
そのためにも文面や様式の確認、遺言書の保管を専門家に依頼することをお勧めしております。
Q.手が震えて文字が一切書けません。それでも遺言書を作成することはできますか?
A.もしご自身の氏名だけでも書くことができれば、秘密証書遺言として作成できます。秘密証書遺言においては、氏名を除く遺言の内容は代筆が認められているからです。
もし氏名を書くことすら難しいようでしたら、公正証書遺言として作成することが可能です。遺言者が遺言内容を公証人に口頭で伝え、その内容に沿って公証人が遺言書を作成します。
Q.遺言執行者を選任したほういいと言われました。遺言執行者を選任するメリットは何ですか?
A.遺言執行者とは、遺言の内容を実現する為に必要な行為や手続をする人のことを指します。
相続に伴う煩雑な手続きを相続人に代わり執行し、遺言執行者を選任しておくと相続手続きを行う人が遺言により明確なため金融機関や役所での手続もスムーズに行うことができます。
遺言執行者の仕事は、まず財産目録の作成し、次に遺言内容に従って各相続人や受遺者に財産分配の手続きを執行します。
具体的には、不動産の所有権移転登記や預貯金の名義変更・払い戻し、車や株式の名義変更などです。
法定相続人以外の人に不動産を遺贈する場合、名義変更をする際に法定相続人の協力を必要としないこともメリットです。
なお、遺言によって①子を認知するとき、②相続人の廃除をする場合は、必ず遺言執行者を選任する必要がありますのでご注意ください。
Q.父の死後、父の机の引き出しから封筒に入った遺言書が見つかりました。開封してもいいですか?
A.開封しないでください。その遺言書が自筆証書遺言の場合、家庭裁判所の検認が必要になります(遺言の開封は裁判所が行います。)
もし、開封してしまった場合は、その旨を家庭裁判所に申告してその後の対応の指示を仰いでください。遺言書を勝手に開封してしまった場合は、5万円以下の過料が処せられることがあります。
この記事の著者
司法書士
石川宗徳
1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)
2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。
2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。
また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。