商業登記関係 合同会社の設立登記時の払込証明書
合同会社の設立登記添付書類として払込証明書が必要
合同会社の設立登記の添付書類として「払込みがあったことを証する書面(払込証明書といいます)」というものがあります。
合同会社の各社員は定款の作成以後(作成日と同日に払い込み可)、設立の登記申請(申請までであれば同日に払い込み可)までに、出資の履行を全部しなければならないとされています(会社法第578条)。
出資の履行を設立する合同会社の社員がしっかりと行っているか法務局が確認するために、払込証明書の添付が求められています。
一般的には払込証明書=預金通帳の写し
合同会社の払込証明書も、株式会社の払込証明書と同様に発起人代表者の預金通帳の、
- 表紙の写し
- 1ページ目の写し
- 振込関するページの写し
と「証明書」あるいは「払込証明書」の表紙に代表社員が会社実印を押印して作成します。
実店舗のある銀行の通帳の写しではなくインターネットバンクの明細ページでも、一定の記載事項があれば問題ありません。
出資金領収書
合同会社は株式会社と異なり、設立手続きにおいて出資金の払込みにつき、銀行等の払込取扱機関でしなければならないという決まりはありません。
そのため、上記通帳の写しに代わり、代表社員(のうち印鑑を届出る人)が作成した出資金の領収書でも問題ないとされています。
合同会社に対する現物出資と検査役
株式会社の設立においては、不動産・動産など金銭以外の財産を出資するとき(現物出資といいます)で、その総額が500万円を超えるときは、一般的には裁判所に選任された検査役の調査を受ける必要がでてきます(会社法第33条)。
それに対して合同会社の設立においては、現物出資にかかる金額に関わらず検査役の調査は不要とされています。
現物出資についてはこちらの記事をご参照ください。
架空の資本金と公正証書原本不実記載等罪
上記のとおり払込証明書として出資金の領収書を添付することにより合同会社の設立登記をすることはできます。通帳の写しと異なり、領収書は代表者が単独で作成をすることができてしまうため、実際にその金額が出資されたのかどうかは代表者等しか分かりません。
つまり、実際に出資金そのものが無くても領収書を代表者が作成すれば、その金額の資本金の額で登記申請ができてしまうということになります。
もちろん架空の出資金を計上することが(登記はできても)許されるわけはなく、実際にやってしまうと公正証書原本不実記載等罪(刑法第157条)などの刑法に触れてしまう可能性が高いですのでやらないようにしましょう。
この記事の著者
司法書士
石川宗徳
1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)
2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。
2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。
また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。