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代表司法書士 石川宗徳の 所長ブログ&コラム

遺言を書いた方がいいケース②-内縁の夫婦-

内縁の夫婦

内縁の夫婦とは、事実上の夫婦関係ではあるが、法律上の婚姻成立要件を満たしていないため法律上の夫婦と認められていない男女の関係を言います。

内縁関係は婚姻関係に準ずるものと考えられています。そのため、婚姻に関する民法の規定が一部適用されるとされています。
例えば、日常家事の連帯責任や同居・扶養義務、あるいは婚姻費用の分担義務などがあります。

婚姻関係とは異なる取り扱い

しかし婚姻関係と同様に取り扱われないものもあります。
例えば、内縁の夫婦は同じ氏にはなりません。他にも、内縁の夫婦の間に生まれた子は非嫡出子となるため、父の嫡出子となるためには父の認知が必要です。
相続において注意しなくてはいけない点は、配偶者相続権がないことです。

遺言をのこしていないと、内縁の夫に子がいれば子が、子がいなくても内縁の夫の親が生きていれば親が、内縁の夫の親が既に亡くなっていても内縁の夫に兄弟姉妹がいれば兄弟姉妹が内縁の夫の財産を相続することになります。内縁の夫の兄弟姉妹が亡くなっている場合でも、その兄弟姉妹に子がいれば、兄弟姉妹の子が内縁の夫の財産を相続することになります。

内縁の妻より内縁の夫の兄弟姉妹が優先される

相続においては、何十年も連れ添った内縁の妻よりも、何十年も全く連絡を取り合っていない兄弟姉妹の方が優先されるということになってしまいます。つまり、遺言をのこしていなければ、内縁の夫の子、親、兄弟姉妹、その兄弟姉妹の子である甥姪が、内縁の夫の財産を全て相続することになり、内縁の妻は夫の財産を相続することはできません。内縁関係であるというだけで、相続財産を全くもらえないのは不条理だ、今まで尽くしてくれた内縁の妻に申し訳が立たないと思うのであれば、遺言をのこしてあげてください。内縁関係であっても内縁の妻に自動的に財産が渡るはずだ、遺言がなくても自分の兄弟は内縁の妻に財産を渡してくれるはずだ、と思っている方も多いものです。もし内縁の夫が遺言をのこしていない場合は、妻側からも遺言について伝えてあげてもいいかもしれません。

内縁の夫が名義人となっているマンションに長年一緒に住んでいたが夫が急死してしまい、そのマンションが自分のものになったと思い今までどおりそのマンションに住んでいたところ、相続人である内縁の夫の兄弟姉妹から立ち退きを要求されたというケースもあります。

遺言の必要性

今まで見てきたとおり、内縁の夫婦は特に遺言をのこしておく必要性が高いと思います。しかし、法律的に有効な遺言をのこしておかないとそれが原因でトラブルになってしまう可能性があります。紛争を予防するために遺言をのこしたのに、それが元になって紛争が発生してしまったら元も子もありません。
法律的に有効な遺言の作成は専門家に依頼することをお勧めします。数万円、十数万円で将来のトラブルを予防できるのであれば活用すべきだと思います。せっかく遺言をのこしたのにも関わらず、内容や形式に不備があったためにその遺言が無効となってしまったとしても、亡くなってしまった後では遺言を書き直すことはできません。


この記事の著者

司法書士
石川宗徳

代表司法書士・相続診断士 石川宗徳 [Munenori Ishikawa]

1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)

2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。

2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。

また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。

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商業登記不動産登記相続手続き遺言成年後見など、
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