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代表司法書士 石川宗徳の 所長ブログ&コラム

株式会社における自己株式の消却手続きと登記

自己株式の消却

株式会社は、その発行している株式を消却することができます。

会社法においては、消却することができる株式は自己株式に限られているため、株主が所有している株式を消却するには、まずは当該株主の所有する株式を会社が取得しなくてはなりません。

無償で自己株式を取得する場合を除き、自己株式を取得する手続きは会社法に定められており、単に発行会社と株主の合意だけでは自己株式の取得をすることはできませんのでご注意ください。

≫株主総会の決議等による自己株式の取得

自己株式の消却決議

自己株式の消却をする決議機関は、会社の機関設計によって異なります(会社法第178条2項)。

  1. 取締役会設置会社
  2. 取締役会の決議によって消却することができます。

  3. 取締役会非設置会社
  4. 取締役の過半数の決定により消却することができます。

自己株式消却にかかる決議内容

自己株式を消却する株式会社は、その決議機関において消却する自己株式の数(種類株式発行会社にあっては、自己株式の種類及び種類ごとの数)を定めます(会社法第178条)。

(株式の消却)
会社法第178条

1. 株式会社は、自己株式を消却することができる。この場合においては、消却する自己株式の数(種類株式発行会社にあっては、自己株式の種類及び種類ごとの数)を定めなければならない。
2. 取締役会設置会社においては、前項後段の規定による決定は、取締役会の決議によらなければならない。

また、自己株式の消却に係る効力が発生する日は下記「自己株式の消却の効力発生日」に記載されている日であるところ、20●●年3月1日付け取締役会決議において単に自己株式たる普通株式100株を消却する旨の決議をしただけでは、取締役会議事録からはその効力発生日が分からないことになります。

そのため、取締役会において自己株式消却の効力発生日も併せて決議することが一般的であり、上場会社はその効力発生日を月末とし、上場会社以外の会社では取締役会決議日(取締役決定日)と同日とすることが多いでしょうか。

その効力発生日の記載が議事録にない場合、登記手続きにおいて別途その効力発生日を証する書面が求められることがあります。

条件付き自己株式消却の決議も可能

自己株式を取得することを条件に、当該取得する自己株式の消却を決議(決定)することも可能です。

20●●年3月1日付け取締役会において、20●●年3月10日に普通株式100株を取得することを条件に、取得した普通株式100株を20●●年3月11日付けで消却する旨を決議するようなケースです。

取締役会を頻繁に開催することができない株式会社では条件付き決議もよく利用されています。

自己株式の消却と登記手続き

自己株式を消却したときは、当該会社の発行済株式の総数が減少するため、その変更登記申請を効力発生日から2週間以内に行います(会社法第915条1項)。

資本金の額と発行済株式の総数は連動していないため、自己株式を消却したとしても資本金の額の変更(減少)登記を申請する必要はなく、もし自己株式の消却と同時に資本金の額の減少を減少させたいのであれば、別途資本金の額の減少の手続きを行う必要があります。

≫株式会社の資本金の額の減少(減資)手続き

自己株式の消却の効力発生日

自己株式の消却に係る効力発生日は次のとおりです。

  1. 株券発行会社
  2. 自己株式の消却決議をし、株券を発行しているときは当該株券を破棄し、株主名簿の記載・記録を抹消した時とされています。

  3. 株券不発行会社
  4. 自己株式の消却決議をし、株主名簿の記載・記録を抹消した時とされています。

一般的に、自己株式消却の効力発生日も取締役会において決議(取締役において決定)することが多いのは前述のとおりです。

添付書類

自己株式の消却に係る登記申請の添付書類の一例は次の通りです。

  • 取締役会議事録(取締役会設置会社) 又は 取締役決定書(取締役会非設置会社)
  • 定款(取締役会決議がみなし決議の場合)

取締役会議事録(取締役決定書)に自己株式消却の効力発生日の記載がない場合は、別途その効力発生日を証する書面が求められることがあります。

登録免許税

自己株式の消却に係る登記申請の登録免許税は3万円です。


この記事の著者

司法書士
石川宗徳

代表司法書士・相続診断士 石川宗徳 [Munenori Ishikawa]

1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)

2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。

2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。

また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。

RSM汐留パートナーズ司法書士法人では、
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