商業登記関係 発起人等が外国人等であるときの定款への契印
公証役場での定款の認証
株式会社や一般社団法人を設立するときは、公証役場でその定款を認証してもらう必要があります。
定款認証の際に、株式会社の発起人や一般社団法人の設立時社員(以下、発起人等といいます)その委任を受けた司法書士は、当該委任状に定款を合綴したものを公証役場に提出します。その他には発起人等の印鑑証明書や司法書士の本人確認書類、公証役場によっては空のCD-R(電子定款の場合)を提出したりもします。
定款には契印が必要
「委任状に定款を合綴したもの」には発起人等が実印で押印します。また、用紙が複数枚になりますので各ページに契印をするか、製本テープなどで袋とじにしてテープの部分と用紙の部分に割印をしなくてはなりません。
発起人の数が多いときや、発起人の一部が遠方に住んでいるときは、1つの定款に全員が押印をすることが難しいときもあります。そのときは、定款や委任事項が同じ内容であれば、1つの書類に全員が押印しなくても発起人それぞれが1部ずつに押印する方法でも問題ありません。
発起人等が外国人や外国会社のとき
発起人等が外国人や外国会社であるケースの場合も同様に、「委任状に定款を合綴したもの」に押印と契印が必要です。
日本に住所を有しておらず印鑑証明書のない外国人や外国会社の登記をしていない外国会社(以下、外国人等といいます)が発起人等になるときは、外国人等は押印ができないため代わりにサイン(署名)をすることになります。併せて、このサインが本人のものであることを証明するために、印鑑証明書の代わりにサイン証明書を公証役場に提出します。
いわゆる割サイン
発起人等が外国人等になる場合は、各ページへの契印の代わりに、各ページに割サインをするか、製本テープなどで袋とじにしてテープの部分と用紙の部分に割サインをしなくてはなりません。
しかし、この割サインを外国人等のクライアントに説明するのは面倒ではありました。
発起人等が外国人等であるときの、定款への割サイン以外の方法
平成29年2月28日付の法務省民事局のお知らせによると、発起人等の割サインが必要なケースにおいて、割サイン以外に次のような方法でも良いとされました。
- 各用紙の余白部分に署名
- 各用紙の余白部分にイニシャルサインを自書
イニシャルサインとは、例えばTaro Shiodomeさんの場合はTSと各ページに自書します。
平成29年2月28日付の法務省民事局のお知らせ
この記事の著者
司法書士
石川宗徳
1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)
2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。
2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。
また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。