商業登記関係 合同会社の清算手続きと清算結了登記
合同会社の清算手続き
解散をした合同会社は、清算をします(会社法第644条)。
清算中の合同会社は清算の目的の範囲内において、清算が結了するまで存続し(会社法第645条)、清算の範囲外の新たな目的の営業活動や一般承継を除く新たな社員の加入、利益の配当、出資の払戻し等の一定の行為が禁止されています。
清算手続きの概要は次のとおりです。
- 解散の事由の発生
- 解散、清算人選任の登記申請
- 財産目録、貸借対照表の作成
- 債権者保護手続きの開始
- 債権者保護手続きの終了
- 債務の弁済
- 残余財産の分配
- 総社員の同意
- 清算結了の登記申請
合同会社の解散とその登記
合同会社は一定の事由が生じたときに解散し、解散をしたときから2週間以内にその登記申請をします(会社法第915条1項)。
解散の登記と併せて、清算業務を行う清算人の登記も申請します。
合同会社の解散と登記手続きについてはこちらの記事をご参照ください。
財産目録、貸借対照表の作成
清算人は就任後に現務を結了し、かつ清算合同会社の財産の現況を調査をして、解散日における財産目録及び貸借対照表を作成して、各社員にその内容を通知します(会社法第658条1項)。
また清算人には、社員の請求により毎月清算の状況を報告する義務があります。
債権者保護手続きの開始
清算合同会社の清算人は、解散をしてから遅滞なく、官報にて、解散をしたので債権を申し出る旨及び異議を述べることができる旨を公告し、知れたる債権者へは各別にその旨を催告します(会社法第660条)。
清算合同会社においては、知れたる債権者への各別の催告は≫ダブル公告をすることにより省略をすることができません。
解散公告の記載例は次のとおりです。
当社は、平成●●年●●月●●日総社員の同意により解散いたしましたので、当社に債権を有する方は、本公告掲載の翌日から二箇月以内にお申し出下さい。
なお、右期間内にお申し出がないときは清算から除斥します。
東京都中央区銀座七丁目13番8号
合同会社汐留太郎
代表清算人 汐留 太郎
債権者保護手続きの終了
官報による解散公告と、知れたる債権者への各別催告をしてから2ヶ月の期間満了をもって債権者保護手続きが終了します。
知れたる債権者を除き、上記公告期間に債権の申出をしなかった債権者から異議がなかったときは、清算から除斥されます(会社法第665条)。
債務の弁済
債権者保護手続き中は、各債権者への弁済は原則として禁止されています(会社法第661条1項)。
債権者保護手続きを経て、債権者及びその債権額が確定した後は、残余財産から各債権者へ弁済をします。
残余財産の分配
債権者への弁済をした後になお残余財産があるときは、社員へ分配します。
残余財産の分配の割合について定款の定めがないときは、その割合は各社員の出資価額の割合に応じて分配することになります(会社法第666条)。
なお、清算持分会社は、原則として債務を弁済した後でなければ、その財産を社員に分配することができません(会社法第664条)。
総社員の同意
清算合同会社は、清算事務が終了したときは、清算に係る計算をして、社員の承認を受けなければなりません(会社法第667条1項)。
少なくとも、清算人は清算結了に係る貸借対照表の作成をして社員に承認を得ることになります。
合同会社の清算結了登記
清算結了をした清算合同会社は、清算に係る計算書を社員が承認した日から2週間以内に清算結了の登記を申請します。
このときの添付書類は、清算結了に係る計算書を社員が承認したことを証する書類(+清算事務報告書)です。
清算結了に係る登記の登録免許税は2,000円です。
この記事の著者
司法書士
石川宗徳
1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)
2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。
2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。
また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。