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代表司法書士 石川宗徳の 所長ブログ&コラム

司法書士が株式会社の定款の条文を解説します(株主総会議事録編)

定款の条文の内容を解説します。

会社法が施行されてから株式会社の設立も容易になり、また現在は色々なサイトで株式会社の設立に関する情報が溢れているため、起業される方自身で株式会社設立の手続きをされるケースも少なくありません。

しかし、インターネット上にある定款の内容の一部、あるいは全部をよく理解せずにそのまま利用している方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで、会社設立後にこんなはずではなかった、、、という方が一人でも少なくなるように、日本公証人連合会のホームページに掲載されている

1 小規模な会社(Small-Sized Company)
株式が非公開で、取締役が1名のみの小規模な株式会社の定款記載例であり、定款の内容も簡潔なものを紹介しています。
起業者の方が小規模な会社からスタートしたいと考える場合に、定款ドラフトの作成に当たって、参考にされる一つの定款記載例です。

≫定款等記載例(Examples of Articles of Incorporation etc)【日本公証人連合会】

を基に、定款の各条文の内容について解説をしていきたいと思います。

ビジネスに専念したい方

一方で、会社設立の手続きは初めて行う方には時間がかかる上に、一生のうちにその知識を何度も使うわけではありません。

会社設立の手続きは専門家に任せて自分のビジネスに集中したい方は、こちらのページをご参照ください。
≫株式会社設立サービス
≫合同会社設立サービス

株主総会の決議に関する条文

(議事録)
第15条 株主総会の議事については、開催の日時及び場所、出席した役員並びに議事の経過の要領及びその結果その他法務省令で定める事項を記載又は記録した議事録を作成し、議長及び出席した取締役がこれに署名若しくは記名押印又は電子署名をし、株主総会の日から10年間本店に備え置く。

株主総会議事録の記載事項

株主総会議事録の法定記載事項は次のとおりです(会社法施行規則第72条)。

  1. 株主総会が開催された日時及び場所
  2. 株主総会の議事の経過の要領及びその結果
  3. 会計参与、監査役等から意見又は発言があるときは、その意見又は発言の内容の概要
  4. 出席した役員の氏名又は名称
  5. 議長がいるときは、議長の氏名
  6. 議事録を作成した取締役の氏名

上記定款の規定は、株主総会議事録の記載事項について会社法の規定を改めて記載していることになります。

株主総会議事録の作成義務、保管義務

株式会社は、株主総会議事録の作成が義務付けられており(会社法第318条1項)、株主総会の日から10年間、株主総会議事録をその本店に備え置かなければなりません(会社法第318条2項)。

上記定款の規定は、株主総会議事録の作成義務と保管義務について会社法の規定を改めて記載していることになります。

この保管期間につき、定款で伸長(15年や20年等)することはできても、短縮することはできないでしょう。

株主総会の議事録への記名押印

会社法上、株主総会議事録への署名若しくは記名押印又は電子署名をする義務(以下、単に「記名押印義務」といいます)がありません。

そのため、定款に株主総会議事録への記名押印義務について特に定めていない会社は、議事録作成者が記名押印して保管している会社が多いのではないでしょうか。

議長兼議事録作成者を代表取締役として、会社の実印を押印することが少なくないかと思います。

定款で出席取締役にも記名押印義務を課した場合

上記定款第15条の定めを設けた場合は、「議長及び出席した取締役がこれに署名若しくは記名押印又は電子署名をし」なければ定款違反となってしまいます。

取締役が複数いる場合は、上記定款第15条の規定を設けることによって株主総会議事録を取締役の1名に勝手に作られるというリスクは下がりますが、反面、毎回議長及び出席取締役全員の押印が必要となるためコスト(労力)がかかることになります。

記名押印義務を「議長」だけにするのか、「議長及び出席した取締役」にするのかは、定款に定めることにより決めることができます。

内容は自由に定めることができますので、株主総会議事録への記名押印義務者を「議事録作成者」とすることも可能でしょう。


この記事の著者

司法書士
石川宗徳

代表司法書士・相続診断士 石川宗徳 [Munenori Ishikawa]

1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)

2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。

2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。

また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。

RSM汐留パートナーズ司法書士法人では、
商業登記不動産登記相続手続き遺言成年後見など、
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