商業登記関係 平成28年10月1日から【株主リスト】が添付書類になります。③
株主リスト
株主リストの添付が必要となる平成28年10月1日まで1ヶ月を切りました。これから商号変更、目的変更、法務局の管轄外への本店移転、役員の変更など、株主総会の決議によって効力が生じる登記事項の変更を予定されている株式会社等は、登記申請の時期によっては株主リストも用意しておいた方がいいかもしれませんね。
株主リストについてQ&Aをまとめました。
≫株主リストQ&A
株主リストが必要なケース
必要となる時期
平成28年10月1日以降に申請する登記申請が対象となります。これは、次のようなケースも含みます。
- 平成28年4月1日取締役選任し同日就任したがその登記を懈怠していて、平成28年10月3日にその登記申請をする。
- 平成28年4月1日取締役を選任し、平成28年10月3日にその就任の承諾がされたため、平成28年10月3日にその登記申請をする。
- 平成28年9月20日の臨時株主総会で、同日を効力発生日として目的変更の決議をし、平成28年10月3日にその登記申請をする。
- 平成28年9月20日の臨時株主総会で、平成28年10月1日を効力発生日として目的変更の決議をし、平成28年10月3日にその登記申請をする。
つまり、効力発生の時期を問わず、平成28年10月1日以降に登記申請をする場合は株主リストが必要となります。
必要な会社
株主リストが必要となる会社は次のとおりです。
- 株式会社
- 投資法人
- 特定目的会社
なお、投資法人と特定目的会社については、株主はいないため株主リストではなく社員等のリストとなります。
必要な登記申請
株主リストは全ての登記申請に添付を要するのではなく、添付が必要となるのは次のケースに限られます。
- 登記すべき事項につき、株主全員の同意を要するケース
- 登記すべき事項につき、株に総会の決議を要するケース
会社法第319条1項により株主総会の開催を省略する場合も、株主リストは必要となります。
≫みなし株主総会(決議)-会社法第319条
株主総会の決議が不要で、株主総会議事録の添付を要しない登記申請においては株主リストの添付は不要です。
(例えば、代表取締役の住所変更登記)
会社法第319条1項
取締役又は株主が株主総会の目的である事項について提案をした場合において、当該提案につき株主(当該事項について議決権を行使することができるものに限る。)の全員が書面又は電磁的記録により同意の意思表示をしたときは、当該提案を可決する旨の株主総会の決議があったものとみなす。
株主リストの記載内容
株主リストに記載する内容は次のとおりです。
- 株主の氏名または名称(名称は株主が法人の場合)
- 住所
- 株式数
- 議決権数
- 議決権割合(総株主の同意の場合は不要)
株主に相続が発生した場合の株主リストの記載
株主に相続が発生している場合、当該株主の株式は相続人全員の共有状態となります。
このようなケースでは、遺産分割協議により株式を相続する人が決まっていて株主名簿の名義書換が終わっていれば当該相続人、遺産分割協議が終わっていないが相続人のうち議決権行使者が決まっていてその者が議決権を行使したのであれば当該相続人、相続人全員で議決権を行使し会社がそれを認めたのであれば相続人全員、そうでなければ被相続人を株主リストに記載するようです。
この記事の著者
司法書士
石川宗徳
1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)
2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。
2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。
また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。