商業登記関係 外国会社の本店移転の登記手続き
外国会社と本店の変更登記
外国会社が日本で継続してビジネスを行っていくには、外国会社の登記をしなくてはなりません(会社法第818条1項)。
外国会社が日本へ進出するときに、その形態として日本支社(≫外国会社の日本進出)を選択したときは、日本における代表者を選任し、日本における代表者の住所地(営業所を設置するときは、その営業所の所在地)を管轄する法務局にて外国会社の登記を行います。
外国会社の登記簿には「本店」が記載されますので(会社法第933条2項他)、会社本店を移転したときはその変更登記をすることになります。
本店移転と営業所移転
外国会社の本店移転と(日本の)営業所移転は異なります。
外国会社の本店移転とは、外国会社本国の本社の移転のことであり、(日本の)営業所の移転ではありません。
営業所移転の手続きについては、こちらの記事をご参照ください。
いつまでに登記を申請する必要があるか
外国会社の本店を移転したときは、その通知が到達した時から3週間以内に、日本における代表者が法務局へ変更登記の申請を行わなければなりません(会社法第933条4項他)。
変更登記の申請がこの期限に間に合わなかったときは、過料の対象となります(会社法第915条、同法第933条)。
本店移転と経由申請
株式会社が管轄外本店移転をするときや外国会社の営業所を管轄外へ移転したときは新管轄法務局への登記申請は、旧管轄法務局を経由して申請します。
しかし、外国会社の管轄法務局は日本における代表者の住所地(営業所を設置するときは、その営業所の所在地)を管轄する法務局ですので、外国会社の本店移転のみの登記が経由申請になることはありません。
登記申請の添付書類
外国会社の本店移転登記には、次の書類を添付して行うことが一般的です。
- 宣誓供述書
- 宣誓供述書の日本語訳文
- 登記委任状(司法書士に依頼する場合)
宣誓供述書は、外国会社の本国の管轄官庁又は日本における領事その他権限がある官憲の認証を受ける必要があります(商業登記法第130条1項)。
(変更の登記)
商業登記法第130条1項日本における代表者の変更又は外国において生じた登記事項の変更についての登記の申請書には、その変更の事実を証する外国会社の本国の管轄官庁又は日本における領事その他権限がある官憲の認証を受けた書面を添付しなければならない。
宣誓供述書の内容に不備や不足があると、宣誓供述をやり直さなくてはなりませんのでご注意ください。
対応可能言語
汐留司法書士事務所では、外国会社の本店移転登記に使用する宣誓供述書の文案(及びその訳文)の作成も承っております。
なお、宣誓供述書につき当事務所が対応できる言語は次のとおりです。
- 英語
- 中国語
- 韓国語
登録免許税
外国会社の変更登記に係る登録免許税は1回の申請につき9,000円です。
この記事の著者
司法書士
石川宗徳
1982年4月生まれ。早稲田大学法学部卒業。
司法書士。東京司法書士会所属
(会員番号:7210、簡易裁判所代理業務認定番号:801263)
2009年から司法書士業界に入り、不動産登記に強い事務所、商業登記・会社法に強い事務所、債務整理に強い事務所でそれぞれ専門性の高い経験を積む。
2015年8月に独立開業。2016年に汐留パートナーズグループに参画し、汐留司法書士事務所所長に就任。会社法及び商業登記に精通し、これまでに多数の法人登記経験をもつ。
また不動産登記や相続関連業務にも明るく、汐留パートナーズグループのクライアントに対し法的な側面からのソリューションを提供し、数多くの業務を担当している。